全水道管の1割が耐用年数超過、16%の水道局で20%超の漏水
全国の水道管総延長の12・1%、8万192キロが耐用年数を超過。14年度の更新割合は0.76%。このペースでは130年かかる〔厚労省試算〕。水道水の2割以上が水漏れなどで無駄になっている水道局などは全体の16%。道路陥没など水道管破裂による事故も年4千件を越えている。
国土交通省予算案5兆9737億円で、インフラ老朽化対策は4100億円〔他にも防災・安全交付金など老朽化対策に使えるものもあるが〕、公共投資の重点を抜本的に転換する必要がある。
更新費用や人口減にともない県内でも水道料金値上げが相次いでいる〔昨年12月議会だけでも四万十市20%、土佐町10%〕。
また、公営企業は独立採算が原則となっているが、資源節約、環境にやさしい生活をすれば事業が赤字になる、というのは大きな矛盾〔これは公立病院の経営も同じ。自治体は予防、健康づくりで患者減に取り組んでいる〕。こうした点も含め新たなスキームが必要ではないか、と思う。
【水道事業の基盤強化方策に盛り込むべき事項(参考資料) 厚労省1/22】
【全水道管の1割が耐用年数超過 老朽化で事故の恐れも 共同1/22】
【老いる水道管、漏水が頻発 「水の4割ムダ」自治体も 朝日1/5】
【水道管 老朽化が進行 1割以上が「期限切れ」 毎日12/31】
【全水道管の1割が耐用年数超過 老朽化で事故の恐れも 共同1/22】2014年度末時点で、全国に敷設されている水道管の総延長66万163キロのうち、12・1%に当たる8万192キロで既に耐用年数を超過していることが22日、厚生労働省の調査で分かった。一方、14年度中に更新された水道管の割合は0・76%にとどまり、このペースだと総延長分の更新に約130年かかる試算になるという。
厚労省の検討会は「放置すれば、遠くない将来、老朽化による漏水事故の頻発を招き、国民生活に重大な影響を及ぼす」と指摘。今後は人口減などにより財源確保が難しくなる事態が予想されることから、水道料金値上げの検討などを求める提言をまとめた。(共同通信)
【老いる水道管、漏水が頻発 「水の4割ムダ」自治体も 朝日1/5】水道管の水漏れなどで水道水がむだになる割合(無効率)が20%超と極めて高い水道事業体(自治体や企業など)が、全事業体の16%にあたる236に上り、老朽化した水道管の更新が追いついていないことがわかった。地方を中心に人口減によって料金収入が減り、予算不足で更新費用を捻出できずにいる背景がある。専門家は「20%超は、老朽化した水道管が限界を迎えていることを示している。このままでは10年後には各地で噴水状態になりかねず、手遅れになる」と警鐘を鳴らす。
公益社団法人日本水道協会が発行する水道統計(全国1496事業体を対象、2015年公表の13年度データ)をもとに割り出し、無効率が高い水道事業体に朝日新聞が背景などを取材した。協会によると、13年度の無効率の全国平均は7・1%。政府は、13年に打ち出した「新水道ビジョン」で無効率の目標を盛り込まなかったが、それまでは「5%未満」だった。20%を超す事業体が多いのは北海道(28事業体)、長野(23)、岐阜(15)、栃木(13)、福島(11)など。一方、県庁所在地や政令指定都市では、一部を除いて大半が1ケタだった。
無効率が13年度に20%を超し、かつ10年前より悪化しているのは182事業体。無効率が30%超の事業体は56あり、背景を取材すると、43事業体が人口減の影響に言及した。直接的な理由を①予算不足②人手不足③その他、の3択で聞くと、33事業体が「予算不足」を一番に挙げた。一般的に水道管の耐用年数は約40年とされ、70年代に造られたものが一斉に更新時期を迎えている。これらの水道管の更新が停滞することなどで、管の破損事故が頻発している。水道統計によると、13年度には182事業体のうち133の事業体で計1万1097件が発生。10年前より2千件以上増え、断水時間は5千時間以上延びた。
無効率が44%だった三重県紀北町では、約40年前に敷設した水道管が一斉に更新の時期を迎えているが、担当者は「すべての更新に50年かかる」。更新の頻度を上げるには資金が必要で、将来的な水道料金の値上げも視野に入れている。自治体側には、水道料金の値上げをしたくても高齢世帯などでは負担増への反発が強く、なかなか踏み切れない事情がある。32%の兵庫県新温泉町では、1万数千人の人口が年間に約300人ずつ減っており、担当者は「歳入も減って予算不足で更新が進まない」。無効率が40%近かった群馬県下仁田町の担当者は「予算の制約から水道管の更新を民間企業に委託できず、職員でやっている。まったく追いつかない」と取材に話した。
【水道管 老朽化が進行 1割以上が「期限切れ」 毎日12/31】■人口減で水道料金収入の落ち込み 進まぬ更新
水道管の老朽化が進み、総延長の1割以上が法定耐用年数の40年を過ぎていることがわかった。整備が進んだ1970年代の水道管が更新時期を迎えているが、人口減による水道料金収入の落ち込みが影響して更新が遅れている。水道管の破損などトラブルも相次いでおり、厚生労働省は対策を検討している。
全国の水道は市町村や複数の自治体がつくる企業団などによって70年代に整備が進み、78年に普及率が9割に達した。2013年度の国内総延長は約65万4000キロで、普及率97.7%。
水道管は地方公営企業法施行規則で法定耐用年数が40年と定められている。最近の水道管は耐久性が高く、100年使えるといわれる管もあるが、70年代やそれ以前に敷設された水道管は強度が十分でなく、更新時期を迎えているものが多い。厚労省水道課は「古い水道管は地震などの災害時に破損する恐れもあるため更新が必要」としている。
しかし、厚労省が日本水道協会の水道統計を分析したところ、法定耐用年数を過ぎた水道管は06年度は全体の6%だったが、13年度は約6万8000キロ、10.5%と初めて1割を突破した。一方、13年度に更新された水道管は約5200キロで、全体のわずか0.79%。厚労省はこのままのペースだと耐用年数を過ぎる水道管は43年度に56%に達すると予測する。
更新が進まないのは、原資になる料金収入が人口減少や節水機器の普及で減少しているためだ。料金収入のピークは00年ごろで約2兆5000億円だったが、近年は約2兆3000億円程度に減っている。
都道府県別で法定耐用年数を超えた水道管の割合が高いのは、大阪府25.0%▽山口県18.0%▽奈良県16.7%−−の順。大阪府の担当者は「早くから水道管の整備を進めたため古い水道管が多い。年間で全体の1%を新しくしているが、財政に余裕がない自治体もあり更新が進まない」と説明する。
水道管の破損や水漏れなどのトラブルは13年度に全国で約2万5000件発生。奈良県桜井市では今年10月、42年前に設置した水道管の継ぎ目が腐食して破損し、約4600世帯が断水したり、水が濁ったりするなどした。長崎市では11月、45年が経過した水道管が破損して道路が陥没し、約1500世帯が断水した。
厚労省は9月から専門家検討会で対策を協議している。単独自治体で維持するのではなく、周辺自治体との事業統合で経営基盤を強化することなどを盛り込んだ報告書を近くまとめる予定だ。【古関俊樹、黒田阿紗子】■値上げ5年で279地域
水道事業を巡っては、2009〜13年に279の自治体や企業団が料金の値上げに踏み切った。減収が主な理由だ。
人口約1万6400人の大分県玖珠町は、1998年、07年に続いて16年4月に約9%値上げする。14年度決算は2200万円の赤字で、担当者は「人口減による減収は深刻。老朽化で漏水事故も増えており、このままでは水道事業が立ちゆかなくなる」と危機感をあらわにする。
水道料金が「日本一安い」とPRしてきた静岡県富士市も16年4月、19年ぶりに約32%値上げする。人口減少などで料金収入が減ったうえ、東日本大震災後の人件費高騰で更新や施設の耐震化費用もかさむようになった。担当者は「赤字を避けるためにはやむを得ない」と話している。■迫られる待ったなしの対応
作新学院大経営学部の太田正教授(地方公企業論)の話 水道施設の老朽化が進み、待ったなしの対応が迫られている。人口が減り、財政的な制約が増す中、借金をして水道管を更新し、後の世代に負担を回す手法は難しく、料金負担を求めざるを得なくなる。街づくりの視点に立って、どの施設を優先的に残し、統廃合していくのか、費用を負担する住民にも選択を委ね、納得できる形で水道事業の将来像を決めることが求められている。
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