ISD条項 トランスカナダ社 パイプライン計画却下の米国を150億ドルで提訴
本日、オバマ大統領が最後の一般教書演説をおこないTPPの早期承認も米議会に訴えた。が、直前の6日に、TPPをめぐり議論噴出の米国で、火に油を注ぐような出来事がおきている。
オバマ大統領が、パイプライン建設は石油消費が増え気候変動に悪影響があると判断し、昨年11月に申請を却下したことにカナダ企業が、NAFTAのISD条項を使って提訴した。
環境や安全性など社会的な利益は考慮されず、投資家の利益だけで判断されるのがISD条項。TPPの危険性を示唆したものと言える。
【トランスカナダ社 キーストーンXLパイプライン計画を却下した米国を150億ドルで提訴 TPPが批准されればこれが当たり前になる? デモクラシーナウ1/7 】
内田聖子さんのツイート
「TPPをめぐり議論噴出の米国。その火に油を注ぐようなニュース。1月6日、トランスカナダ社はオバマ大統領がキーストーンXLパイプラインの建設を拒否したのは大統領権限の越権行為だとして、NAFTAのもと150億ドルの賠償請求をした。
もちろんこの訴訟はNAFTAにおけるISDS条項を使ったもの。同社が計画したのは、カナダから米テキサス州に原油を運ぶ「キーストーンXLパイプライン」。オバマ政権は建設を認めると石油消費が増え気候変動に悪影響があると判断し、昨年11月に申請を却下していた。
もともと米国ではTPPにおけるISDS条項によって、米国政府が日本や豪州など先進国の多国籍企業・投資家から訴えられる危険性が高まるとの懸念が強かった。数日後に議会演説でTPP批准を強く訴えたいオバマ大統領にとっては、まさか年明け早々に米国が訴えられるとは、大打撃だろう。
これは決して「対岸の火事」ではない。11月のオバマ大統領のパイプライン計画申請却下は「気候変動に悪影響がある」との判断で基本的に正しいといえる。
しかし企業にそのような社会正義は関係ない。TPPのもと日本が同様の訴訟を起こされる危険性を示唆しているのではないだろうか。」
なお、この計画について、共和党は推進の立場で、ブッシュ氏やトランプ氏は、計画却下を批判している。この点でも誰がTPPをのぞんでいるのか、がよくわかる。
【トランスカナダ社 キーストーンXLパイプライン計画を却下した米国を150億ドルで提訴 TPPが批准されればこれが当たり前になる? デモクラシーナウ1/7 】1月6日、トランスカナダ社はオバマ大統領がキーストーンXLパイプラインの建設を拒否したのは、米国憲法で定められた大統領権限の越権行為だとして米連邦裁判所へ提訴しました。同社はまた北米自由貿易協定(NAFTA)に基づき、同パイプライン建設許可を拒んだのは「独断的かつ不当」だとして訴えを起こし、NAFTAに基づく請求として150億ドルの賠償を求めています。
オバマ大統領は任期最後の一般教書演説を数日後に控えていますが、その演説で物議を醸す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の成功を大々的に宣伝すると見られているところに今回の訴訟が起りました。秘密裡に交渉されたTPPは米国および環太平洋11カ国間の協定で、世界経済の40%を占める国々の貿易を統治する可能性があります。
トランスカナダ社による提訴を受けて、環境NGO「フレンズ・オブ・ジ・アース」(FoE)は、「我々がTPPとその他の貿易協定に反対するのは、公衆衛生や環境保護を優先する主権国家の決断に、企業および投資家が異議申立てをできるようになるからです」という声明を出しています。
グローバル・トレード・ウォッチ(Global Trade Watch)代表ロリ・ウォラックに話を聞きます。
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