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子どもの貧困  1学年だけで「社会的損失4兆円」

  子どもの貧困を放置した場合、15歳の子ども120万人を対象にした推計で「経済的損失約2.9兆円、財政負担約1.1兆円増」。
  1学年だけの数値であり、  すべての子どもを対象にすれば、数十兆円規模と想定される。
  目先の利益第一の規制緩和と「自己責任論」で「貧困と格差の拡大」「少子化」を推進してきた経済、雇用、教育、社会保障制度が生み出した政治の責任である。
【子どもの貧困対策法・大綱~ 特徴と課題(メモ)2014/11】

 報告は「さらに「犯罪による被害額やそこから波及する刑務所の運営費などの矯正コストも含まれておらず、実際の影響額は同調査結果を大きく上回るのが予想される」と警告しているが、貧困の放置の影響は広範囲に及ぶ
【格差が社会を不健康にする~社会的包摂を/阿部彩(メモ)2012/2】

この推計を「がんばる子への教育支援の強化」に矮小化するのでは、こどもの貧困は大人の貧困であり、貧困そのもの解消が問われている、と捕らえなくてはならない。


【「子どもの貧困」に関する経済的影響を推計経済的損失約2.9兆円、財政負担約1.1兆円増の可能性も 日本財団12/1】

【子どもの貧困「社会的損失4兆円」 NHK12/3】
【子どもの貧困 対策次第で経済損失2.9億円差 教育新聞12/5】

【「子どもの貧困」に関する経済的影響を推計経済的損失約2.9兆円、財政負担約1.1兆円増の可能性も 日本財団12/1】

日本財団は、深刻化する子どもの貧困を経済的視点から捉えることを目的として、子どもの貧困の放置による経済的影響の推計を行いました。

■研究の結果

本推計により、子どもの貧困を放置した場合、わずか1学年(※) あたりでも経済損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加するという推計結果が得られました。子どもの貧困問題が社会問題に留まらず、経済へ大きな影響を及ぼす問題であることが明らかとなりました。

※現在15歳の子ども(約120万人)のうち生活保護世帯、児童養護施設、ひとり親家庭の子ども(約18万人)

■研究の背景

我が国の子どもの貧困率は一貫して上昇傾向にあり、2012年には16.3%、およそ6人に1人の子どもが貧困状態であるとされています。これは経済協力開発機構(OECD)加盟諸国の中でも極めて高い水準にあり、問題の深刻さが伺えます。問題が深刻化する背景に、貧困が次の世代の貧困を生む「貧困の連鎖」の存在も指摘されており、子どもの貧困対策は急務となっております。
  また、子どもの貧困問題は、経済的観点からも重要な問題といえます。我が国の経済は内需に大きく依存している構造であり、人口減少時代に突入した今、内需をいかに維持するかが重要です。しかし、子どもの貧困をこのまま放置しますと、国民の所得ひいては消費の低下を招くため、国内市場の縮小を一段と加速させることが想定されます。このことから、子どもの貧困対策は経済対策として捉えることが重要です。


【子どもの貧困「社会的損失4兆円」 NHK12/3】

貧困状態にある子どもに教育などの支援を行わなかった場合、個人の所得が減る一方で、国の財政負担が増えることから、経済や国の財政に与えるマイナスの影響=「社会的損失」は、15歳の子どもの場合、4兆円に上ることが日本財団の推計で初めて明らかになりました。

これは貧困状態にある子どもの割合が国の推計で6人に1人と増え続けるなか、子どもの貧困が社会全体に与える影響を明らかにしようと日本財団が行いました。対象は現在15歳の子どものうち、生活保護世帯やひとり親家庭のおよそ18万人で、現状のまま進学や就職をした場合と、学習支援などを行って高校や大学への進学率を貧困でない世帯と同じくらいにした場合とで、就職や所得がどのように変化するかを予測しました。

その結果、現状のままの場合、将来、正社員として就職する人が9000人減るほか、無職になる人が4000人増えることになり、生涯で得られる所得は学習支援を行った場合と比べて2兆9000億円、少なくなるとしています。その一方、国の財政的負担は税収や保険料などが減ることで1兆1000億円、増えるとしています。こうした状況から、日本財団は経済や国家財政に与えるマイナスの影響=「社会的損失」は所得の減少と国の財政負担の増加で、合わせて4兆円に上ると推計しています。

子どもの貧困について社会全体に与える影響が具体的に数値で示されたのは初めてだということで、日本財団は「子どもの貧困は経済にも大きな影響を及ぼす問題としてきちんと対策をとることが重要だ」と指摘しています。

■「貧困の連鎖断ち切るためさらに研究必要」

今回の推計について、教育経済学が専門の慶應義塾大学の中室牧子准教授は「これまで子どもの貧困は個人の問題と捉えられがちだったが、社会や経済全体に影響があることが示され、私たち一人一人の問題として考えるきっかけを作ってくれたことは非常に重要だ」と話しています。さらに「努力すれば何とかなる社会であることは非常に大事で、不幸にも親が子どもの教育に十分投資できないときには社会が補うべきだ」としたうえで、「貧困の連鎖を断ち切るためにどの年代の子どもに学習支援を行うことが効果的なのかや、中退する子どもはどういった問題を抱えているのかなど、分からないことも多く、今後、研究していく必要がある」と話しています。



【子どもの貧困 対策次第で経済損失2.9億円差 教育新聞12/5】

(公財)日本財団は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱との共同で「子どもの貧困の放置による経済的影響」の推計調査を今年7月から11月にかけて実施。東京都港区の同財団ビルで結果報告を行った。生産年齢の人口推計で、現状のままと改善対策を講じた場合では、経済損失で2.9億円の差が生じるとの結論だった。

共同調査では、このたびの推計には加味しなかった要素もほかにあり、経済損失の差は、さらに広がるとみている。
調査は、子ども時代の経済格差が教育格差を生み、将来の所得格差につながるという推定で、深刻化する子どもの貧困を経済的視点から見つめ、有効施策の立案や幅広い議論に生かす基礎データになるのを期待して実施した。
2013年、総務省の人口推計データに基づき、生活保護世帯やひとり親家庭、児童養護施設で暮らす15歳の子ども約18万人が64歳までの所得と税、社会保障費の純負担額を「貧困対策を行わず教育・所得格差が継続した場合(現状)」と「貧困対策が行われ、教育・所得格差が改善された場合(改善)」の2つのシナリオで算出。両シナリオの差分を「社会的損失」とし、推移や結果を比較、分析した。

推計の結果、生活保護世帯やひとり親家庭、児童養護施設で暮らす15歳の子ども約18万人が64歳までに得る所得の合計は、現状シナリオで約22.6兆円。対して、改善シナリオでは約25.5兆円で、約2.9兆円の差額が生まれるとした。これは貧困対策を行わない場合、将来的に約2.9兆円の市場の縮小、経済損失が生まれると指摘する。

さらに、所得の差は、税と社会保障費用の個人負担額の差となって現れるとし、社会保険料と税の合計負担から社会保障給付を差し引いた「税、社会保障の純負担額」は、現状シナリオで約5.7兆円、改善シナリオで約6.8兆円で、約1.1兆円の差額が生じるとする。これは、貧困対策が行われない場合、将来的に政府の財政負担が約1.1兆円増加するという意味をもつものと強調する。

両シナリオ推計のステップは、①貧困世帯の子どもの進学先や就業先の将来推計から就業形態別人口を推計②生涯所得と同所得に紐付いた税、社会保障純負担額を算出③両シナリオの①②ステップを算出し、所得や税、社会保障純負担額の差分を社会的損失として推計――した。

また現状シナリオに対し、主に「未就学児への教育支援対策など」を行うと、例えば、生活保護世帯の子どもの高校進学率が90.8%から99.6%に向上するなどと想定。高校進学率や中退率、大学進学率の変化とその連動による就業構造の変化も考慮した推計を進めた。

同調査は、現状入手可能な統計データから推計を行い、子どもの貧困を放置した場合の経済的影響を具体的な数値で示したものと振り返る。今回は15歳の子どもだけが対象だが、全年齢層や今後生まれる子どもを考慮すると、経済への影響は甚大になるという。統計上の制約から、犯罪による被害額やそこから波及する刑務所の運営費などの矯正コストも含まれておらず、実際の影響額は同調査結果を大きく上回るのが予想されるなどとも警鐘を鳴らしている。

調査データや結果を生かし、子どもの貧困対策を、慈善事業の視点だけでなく、経済対策として捉える重要性や、教育と所得格差の解消に有効な投資対効果の高い施策の模索に活用してもらえたらと投げかける。
調査の詳細を記載した「推計レポート」の全文は、12月中旬に、日本財団サイト(http://www.nippon-foundation.or.jp/)で公開予定。

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