「介護離職ゼロ」 ~ 報酬引き上げ、「骨太」撤回こそ
介護の「離職ゼロ」や「施設整備」をうちあげるだけで、実際は、担い手不足をさらに深刻化させる報酬削減に突き進む安倍政権。「矛盾だらけだ」と保団連記事。
基本法集4.48%の削減、そして要支援の通所・訪問サービスが市町村事業に移行されるが、緩和した基準のサービスの委託先は、結局、従来の介護事業者となり、より低い単価が押し付けられる。特に、人口密度が低く、中山間地の多い高知県のような地方の事業者はただでさえ経営的に厳しい。
地方への「高齢者の移住促進」って、あまりにも無責任な主張。
【矛盾だらけだ「介護離職ゼロ」 ―報酬引き上げ、「骨太」撤回こそ― 保団連 11/15】
【矛盾だらけだ「介護離職ゼロ」 ―報酬引き上げ「骨太」撤回こそ― 保団連 11/15】 (全国保険医新聞2015年11月15日号より)安倍首相は、「新・三本の矢」の目玉として、2020年に向けて、年間10万人超と言われる介護離職をゼロにするとして、「介護施設の整備や、介護人材の育成を大胆に進め、仕事と介護が両立できる社会づくりを加速する」としている。これまでの利用者負担増や報酬削減による介護サービス切り捨てを改めない上、安倍政権はさらなる介護削減を計画しており、「介護離職ゼロ」の看板は矛盾というほかない。
■サービス縮小、介護職 離職も深刻
実質4.48%の過去最大のマイナス改定の中、1~9月で介護事業者の年間倒産数は介護保険制度の開始から過去最悪を更新している。削減幅の大きい小規模デイサービス、訪問介護などで倒産が多い(東京商工リサーチ調査)。事業所の廃止・休止はそれ以上の規模で広がる。8月からの各種負担増もあり、介護事業者の打撃は計り知れない。
介護職員の平均賃金は一般労働者に比べて月10万円も低く、人材確保に困難を極めている。処遇改善加算で多少賃上げされても、報酬減で経営が厳しくなる中、労働条件のさらなる悪化が避けられない。サービスの低下・縮小などによって介護離職の増加が懸念される。■事業者、職員、利用者に影響
施設では、基本報酬が約6%減。最大13%減の特養は、1施設年平均で約650万円の減収だ(全国老人福祉施設協議会調査、6月4日)。
福祉医療機構の特養調査では、68.8%の施設で収益減。9割の施設が最も加算率の高い介護職員処遇改善加算(Ⅰ)を算定するが、約65%が基本報酬引き下げを「補えない」としている。
改定への対応で削減した費用は、人件費18.1%となる一方(図)、処遇改善加算対象となる介護職員以外にも処遇改善を実施しているのは、加算の届出事業者の33.6%に留まっており、職場全体での労働条件悪化も推察される。 見送った計画では、設備投資36.9%、正規職員採用9.5%のほか、新規サービスの立ち上げ、行事の中止・縮小があげられ、削減した費用でも給食費7.5%となっており、利用者にも影響が及ぶ。■入所者に次々負担増
4月から特養入所は原則要介護3以上になり、介護保険施設の相部屋の光熱水費は引き上げられている。8月からは特養の相部屋の室料徴収を開始し、配偶者が住民税課税等の場合、施設入所における食費・居住費補助が打ち切られた。さらに、65歳以上で年所得160万円以上は原則2割負担となり、次々と負担増が施設利用者を襲う。
報道では、介護離職ゼロの具体化に向けて、在宅で特養待機待ちの約15万人(要介護3以上)を2020年代初めまでに解消するとして、施設増設に向け国有地を格安で事業者に貸し出すとしているが、特養等を増設しても、職員が確保できないなど矛盾に陥るだけである。■さらなる削減
しかも、安倍政権は、「骨太の方針2015」で、当面3年で社会保障費を9000億円から1兆5000億円削減する姿勢を示している。要介護認定率の引き下げ、利用者負担料の見直し(2割負担の対象拡大等)、要支援・要介護1・2の生活援助サービス・福祉用具貸与等の見直しなどさらなるサービス削減を検討している。
介護離職ゼロを言うのなら、介護報酬の大幅引上げ、利用者負担軽減を早急に行うとともに、「骨太の方針」の中止・撤回こそが求められる。
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