都市計画マスタープラン「改ざん」と「大きな声」
高知市が、突如もちだした、道のないところに道をつくって建設するという「道の駅」構想。
そもそも道があって、民間の提案・主導で設置されるのが「道の駅」事業だか、道はない、よって民間の提案もない、具体的な検討・計画もないまま(コンサルに調査を委託中)、「アクセス道路」の計画だけが先行するという、何重にも逆立ちした事業。総公費は40億円以上・・・という声が聞こえてくる。
市は都市計画マスタープランに沿ったものというが、高知民報の取材で、プラン策定の経緯に大きな問題点があることが明らかになった。
そこには「大きな声」に弱く、公正・市民が主人公という自治体の魂を失った高知市の姿が、どうしても頭から離れない。
【1】 マスタープラン改ざんの経過
・2011年11月 第1回会議、2012年6月 第2回会議
・マスタープランの策定で、高知市都市計画マスタープラン策定委員会は4回の会議をしている。
・13年3月1日 第3回会議で、全体構想(案)が確定、
・13年4月に全体構想についてパブコメを実施。
・13年11月 第4回会議で、寄せられた意見について「回答」と、全体構想の修正案を確認。地域別構想について事務局の説明と議論 ( 旧3町村のもとは活発に議論されているが、旧高知市の地域別構想には特に意見が出ず)
・14年1月 策定委員会の委員長が死去
・14年2月 「地区別構想」についてパブリックコメント(25日まで)を実施。
→その後、策定委員会は開かれず。パブコメの意見も公表されていない。
第4回会議では、パブコメ後の手続きとして、修正内容が軽微の場合、委員長と事務局で「修正」「調整をかける」ことが確認されている。
・14年3月7日 策定委員会・副委員長より、市長に「完成品」の報告
★当初のスケジュール(第二回会議で修正のうえ確定)、
第1回 2011年11月
第2回 2012年6月
第3回 2012年11月(全体構想案の検討)~パブコメ、地区別懇談会~
第4回2013年5月(全体構想の策定、地区別構想案の検討)
第5回 2013年7-8月(地区別構想の策定)
第6回 2013年10月(地区別構想の策定)~ パブコメ、都市計画審議会会~
第7回2014年2月(最終とりまとめ)~2014年3月、マスタープラン公告
(結局、第4回が、2013年11月まで延期され、5-7回の会議は実施されなかった。)
私が、「改ざん」というのは・・・
◆14年2月1日に公表(パブコメにかけられた)された長浜の「地区別構想」より
・都市防災の方針
「安全で安心な暮らしを確保するため、地震・津波対策として津波避難タワーや避難路・避難場所の整
備促進、緊急避難道路の橋梁の耐震化、市街地での排水能力強化など、防災機能の強化により、災害に
強いまちの形成を図ります。」
◆14年3月7日に市長に提出されたプランの当該部分
・都市防災の方針
「安全で安心な暮らしを確保するため、地震・津波対策として津波避難タワーや避難路・避難場所の整備促進、緊急避難道路の橋梁の耐震化、市街地での排水能力強化など、防災機能の強化を図るとともに、高台の土地利用に合わせ、防災道路を整備し、災害に強いまちの形成を図ります。」
→ ここで突如「高台の土地利用に合わせ、防災道路を整備」の文言が入る。
これまでの会議で「高台の利用」「防災道路」という話は、全体構想の議論でもでていない。
(策定委員会で確認された手続きなら、事務局と副委員長との修正協議の記録の存在がないとおかしい。要調査)
高知民報が、市都市計画課に取材したところ「ぬかっていたので追加した」ということ。つまり、何の議論もなく、行政側が、こっそり「挿入」。「改ざん」といってよい(そんなことが1部局でできるわけがない)
【2 伏線~土佐電鉄の私的整理】
13年3月、土佐電の会長である西岡寅八郎自民党県が、株主対応で暴力団組長との関係を持ち出した威圧したことが公になり、県は補助金を執行停止。その後、県のイニシアによる調査委員会で、株主優待券の扱いなと「個人商店」という、ずさんな経営実態が明らかにされる。また、優待券を活用しながら、政務活動費を受け取っていた事例も発覚。
・2013年11月22日 西岡寅八郎県議辞職(人口のすくない地域にバス会社が2社もあり、経営統合の必要性がいわれてきたが、そのネックの人物が完全に排除される)
・12月議会で、副知事は、予算の凍結解除には「土佐電鉄が生まれ変わった」ということが県民の目に見える形で示され、信頼回復を得ることが重要と答弁。
・2014年2月県議会で、一連の改革の意志を受けて、県は凍結解除。公共交通の再生のための経営統合について「昨年9月に立ち上げた中央地域公共交通再構築検討会で3月末をめどに、再構築のスキーム案を取りまとめるよう、関係者間で鋭意検討をしている」と答弁。
・2014年4月28日 中央地域公共交通再構築検討会で土佐電鉄と県交通の統合、公共交通の資産を売却しないでよい私的整理での統合する案を了承(高知市は、赤字路線への補助金支出、また株主としても決定に参加)。
→・これにより「株券」は紙クズになる
・その筆頭株主が、「高台の土地利用」で、「道の駅」構想が出された土地の9割を所有している。
★つまり、経営統合、株券が紙くずになることが、自明となる情勢の中、市によるマスタープランの「改ざん」がおこなわれ、土地利用の計画か持ち上がったわけである。
★この人物・・・ 国分川の川底を法外な値で県に買わそうとして、当時の橋本知事に拒否され、されを何とかしようと、自民党支部と自民党県議に多額の献金(2500万円)をし、知事攻撃に暗躍した過去をもつ。
■仁井田産業団地・・・
13年12月の質問をうけ、急きょ動き出したのが、南海トラフ地震対策を「理由」とした産業団地の形成。今年3月に関連予算(調査・設計と土地買収を並行して進める)が計上され、16年度分譲を目指すというもの ( 市街地調整区域だか、地区計画によって、産業振興に活かす、とパブコメ前の地域別構想にもあがっていたが、事業期間としては2014-2020年 )
この間、県は、高台移転と企業誘致を目的に、香南市、南国市、高知市と共同で、香南工業団地、南国日章工業団地、高知一宮工業団地に取り組んでいる(香南は完成)。高知新港にも整備をした。
これだけでおよそ27haである。
が、この仁井田産業団地(5ha)だけは、高知市単独の事業・・・ これまた同じ会社のもつ土地が関与している。
【企業の高台移転 県の対応】
●2012年8月 県・市連携会議 一宮産業団地
・知事「もう一つは、企業の高台移転についてであります。市内の企業さんにも高台移転を具体的に検討しておられるところもあると伺っておるところでございます。この高台移転についての工業団地の確保、そもそも工業団地自体が全県下的に不足しているということがあります。従前よりいろいろと共に調査をさせていただいてきたところでありますが、昨年度に実施しました適地調査の結果も踏まえて、早期に開発の適地を決定させていただいて、県と高知市が共に連携を図りながら、開発を進めていく方向で事務作業を進めさせていただければと思います。」
・市長「市長:我々も独自で市内の企業50 社について、アンケート調査をしています。BCP対応で高台移転を資金面を含めて考えておる大手の企業さんと、移転するとなると相当資金が要りますので、そこまでは残念ながら資金がないので例えば防潮堤、防波堤の強化をしていただきたいという、2つの意見に分かれております。
実際には高台へ移転したいという企業が幾つかございますので、今、県と一緒になって候補地をピックアップしながら絞り込みをしているところなんですが、最終的には高台へ移転したいという企業はかなりおりますので、現実なものにできるだけ早くしていきたいと考えております。
県外へ一部移転した企業もございますので、そういう受け皿を作っていきたいと考えております。1カ所では足らないような感じになっておりますので、今1カ所を想定していますが、まず1カ所を決めて、それから可能性のあるところを探っていかなければと思っています。」
→ 一般的に次にふれているが・・・ それから1年半、とくに動きなし。/13年12月から動きだす。
●13年12月議会 知事提案説明
今後も、新たな企業立地による産業集積と高台への企業立地による震災に強い産業基盤づくりが一層求められます。本年4月から開発に着手しております高知市一宮地区の工業団地のほか、適地調査が完了し、条件が整ったところから、新たな工業団地の開発を順次進めてまいりたいと考えております。
★15年2月 南国市日章工業団地 調査 11ha 南国市と共同
★13年完成 香南工業団地 7.9ha 香南市と共同
★15年分譲 新港高台工業用地 4.5ha 県
★17年分譲 高知一宮工業団地 5.0ha 高知市と共同
とにかく、今後、徹底究明が必要である。
■追記
市長選のさなかだが、現職が公約で、小学校卒業までの医療費無料化を掲げ、選挙に突入してからは、次の4年間で、中学卒業までの無料化の実施に言及した。
市民・職員犠牲でつくった「財政再建」、その一部で、県下最低の状況を改善できることを、当ブログで明らかにしてきたが、この点は、投票日をまたず「勝負あった」と言える。
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