伊方原発再稼働 知事の「容認」発言に抗議の申し入れ
本日、県議団の面々と、岩城副知事に下記の申し入れをおこなった。
ちょっと時間をようしたのは、知事のコメントが、そんな単純ではないからである。まず主因は安倍政権にあることを明確にし、次いで知事コメントについて言及している。
まず、コメントは「福島事故の被害を見たとき、原発の依存度を減らすべき」を述べ、四国電力が、脱原発の方向性をしめしていないことに「不満」を表明している、ことは確認しておきたい。
そのうえで、コメントについては、新規制基準の不備、「リスクが残る」原発再稼働への住民合意という問題を指摘し、四国住民の6割が再稼働に反対してるという、その懸念をまず率直に代弁していない点で、「受け入れがたい」と抗議している。
ただし、今回の県の判断の肝、「現時点で再稼働やむなし」(「現時点」が重要)は、「老朽火力の故障による停電の危険性」への懸念である。
節電と太陽光発電のピークカットで夏場の対応はかなり余裕があるが、冬場の朝夕のピーク時に・・・そこに故障が重なれば・・・という懸念について、「心配いらない」とまで言える具体的な根拠(感覚的には判断できるが)を、私は現時点でもっていない。
(例えば、現在、受電先の電源開発の1基105万kwが不具合で停止中など、様々なトラブルは実際起こる)
電力供給の仕組みは複雑で、他社受電、系統連係など、どこまで対応可能なのか、それこそ現場を知る人の知恵がほしい(県も、その判断に「一生懸命勉強しているが・・」と苦慮している様子である)。
それを踏まえ、本質的には、国が脱原発に踏み切らず、老朽火力対策などに真剣に取り組んでないことが原因であることを指摘したうえで、電力供給の懸念については、説明が不十分ではないか、また懸念があるのなら、ピーク時対応で「節電をよびかける」など、努力がつくされてない問題を指摘し、実際の再稼働にはまた時間があることから、さらなる対応を求め、抗議の意思を示したものである。副知事は「知事にしっかり伝える」「新たな疑問に対しては四国電力に問いただしていく」と述べている。
確固とした多数派を形成するために、「できれは原発をなくしたい」「再稼働をしてほしくない」と考えている、おそらく多数派である人達と共同をつよめるための努力こそが必要であり、議会論戦なおいては、1つ1つ丁寧に再稼働の論拠を、的確に批判していく地道な努力が重要と思っている。
そんな思いで、声明づくりに参加させてもらった。
【伊方原発再稼働を推進する安倍政権と愛媛県知事の「同意」表明、尾﨑知事の「容認」発言に抗議する】
2015年10月27日 日本共産党高知県委員会
- 日本共産党高知県議会議員団
愛媛県の中村時広知事は10月26日午前、経済産業省や四国電力から要請を受けていた四国電力伊方原発3号機の再稼働への同意を表明した。
福島原発事故はいまだに収束の見通しもなく、住み慣れた故郷に帰れない被災者は10万人を超えている。その現実を省みることなく、四国住民の6割を超える再稼働反対の声を無視し、原発回帰をすすめる安倍政権と、再稼働に同意を与えた愛媛県知事に対し強く抗議する。
世界では、福島原発事故を契機に、ドイツ、スイスなど原発ゼロを決断するなど、原発政策は大きく見直しが進んでいる。地震・津波・火山大国の日本に50基もの原発が存在していること自体が異常であり、根本的に見直すことが求められている。しかし、安倍自公政権は、財界の利益第一に、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて20基以上の原発の再稼働を狙うとともに、原発メーカーやゼネコン、経団連と連れ立って、トルコや中東、東欧諸国へ原発輸出の「トップセールス」に奔走している。
原発再稼働の「根拠」としている原子力規制委員会の「新基準」は、再稼働を進めるためにスケジュールありきで策定されたもので、原発の存在が不可能となる「立地審査指針」の削除、EUで義務づけているコアキャッチャの設置は求めないなど最新の知見を反映していない。IAEAの深層防護の第五層である避難計画など原子力防災を規制基準から外すなど世界水準とほど遠いものである。使用済み核燃料の処理方法も定まっていない。加えて、「新基準」は「リスクは残る」としながらも、再稼働の判断は事業者まかせで、同意自治体の範囲も電力会社の自主性に任されるなど住民不在のあり方は、福島原発事故以前となんら変わっていない。
四国の住民の再稼働反対の声は、こうした無責任な政府の姿勢へのきびしい批判のあらわれである。
同日午後、尾﨑正直高知県知事は、愛媛県知事の「同意」表明について、「福島事故の被害を見たとき、原発の依存度を減らすべき」との立場を改めて明らかにするとともに、「現時点で再稼働はやむなし」「四国電力の説明には合理性がある」と述べた。安全対策については、県と四国電力との勉強会で示された中身を列挙し、また「安全対策には終わりがないとは述べてはいるが、世界水準にも達していない「新基準」を前提とし、住民合意の不在という根本問題には触れておらず、県民に責任を持つべき知事の発言としては、極めて不十分であり、容認できない。
今回「現時点でやむなし」の「根拠」となっているのは、昨年12月の事例をもとに、「老朽火力発電の故障などによる停電の危険性」である。大規模停電より社会的な混乱は当然避けなければならないが、本来、原発ゼロを政治がいち早く決断し、総合的な努力をしてきていないことが最大の問題である。
その上で、電力需要は、国民的な節電の努力により、四電管内では最大時約600万kW〔2010年〕から500万kW前後へと大きく低下している。また、夏場では、太陽光発電がピークカット・供給で役割を発揮〔7月、最大電力のうち80万kW〕していることも証明されている。昨冬の事態は、前年比で他社受電を37万kW少なく運用したことの是非が問われる。いずれにしても、四国電力の設備だけでなく、電源開発などからの他社受電、関西電力・中国電力との地域間連携〔関西電力とは140万kW、中国電力とは120万kW〕、事故時のバックアップとしての揚水発電の活用(本川発電所61.5万kW)などネットワークのもとで行われている電力供給の全体について、「停電の危険性」が避けられない事態なのか、より詳細な検証と説明責任が求められる。また、「再稼働反対」の住民の意思を信頼し、ピーク時の「節電の協力」「自家発電の活用」を呼びかければ、大きな効果を発揮することはまちがいなく、まずは、こうした努力がなされるべきである。この点で、高知県として、安易に「再稼働」に「理解」するのではなく、より慎重で、踏み込んだ対応が求められる。
また電力料金については、原発は発電していなくても600億円を超える維持費が毎年発生していることが経営圧迫の最大の要因であり、再稼働がなければ「さらに650億円の不足」が生じると説明していたが、すでに、昨年度黒字に転換しており、この点でも再稼働の根拠とはなりえない。
一方、尾﨑知事は、四国電力が「脱原発」の方向性をしめしていないことに「不満」を表明している点は、大局としては県民の声にこたえたものであり、政府と四国電力の原発固執政策が再生可能エネルギー推進の障害となっていることからも、より強く脱原発の声を発信することを求めるものである。
日本共産党は、安倍政権の原発回帰・輸出推進政策の根本的転換を求め、幅広い人々との共同を広げ、「原発ゼロの日本」の実現、低エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの推進ために力をつくす決意である。
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