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アベノミクス2年間の「実績」~格差拡大と国民経済の停滞〔メモ〕

関野秀明・下関市立大学教授「アベノミクスの失敗と暴走 ~「資本論」第二部のバブルの理論に立ち返る」〔「経済」2015年10月〕のメモ。

 論考は①2年間の「実績」の検証 ②アベノミクス推進論者に共通する「資産バブル形成」と「成長戦略」へ暴走する論理の解明。そのバブル待望論をもっとも理論的に解明したのが資本論第二部およびその第一草稿を明らかにし ③アベノミクスの金融バブル促進策を整理したうえで、その失敗と破綻の必然性を、マルクスの「バブルの論理」に立ち返り、批判し解明。
 Data460

【アベノミクスの失敗と暴走 ~「資本論」第二部のバブルの理論に立ち返る】
「経済」2015年10月   関野秀明・下関市立大学教授

■はじめに アベノミクス2年間の「実績」
・大企業と労働者の格差拡大と国民経済の停滞

 〔上記、表を参照〕


■異次元の金融緩和

①ポートフォリオ・リバランス効果はなかった  増えない貸出し

・「金融緩和」論者 日銀の国債・資産買取→マネタリーベース供給増→銀行による貸出増加、マネーストック増
・日銀  マネタリーベース  GDP比54.9%  〔米国22.6 EU11.8〕
  07年初め~14年末 2.28倍に増加  マネーストック23%増  国内民間需要-4%
  08-14年 国内民間銀行 預貸ギャップ 148.5兆円→ 224.5兆円  貸出/預金の率74.2→68%へ低下

②実質マイナス金利も、増えない投資
・ 名目金利-インフレ率=実質金利 
「金融緩和」論者・・・インフレへの期待→プラスのインフレ率→ マイナス実質金利→ 投資増
・実質金利-2%を実現〔14年4月を景気に+から-へ〕 → 機械受注額は横ばい、住宅着工数は減少

③金利低下、資産価格上昇も、増えない消費

・「金融緩和」論者 物価上昇、金利下落→高利回り、資産価格上昇を期待しリスク資産への投資増→資産増大効果から消費需要増
 2011年11月~15年初め  ETF  J-REⅠT  34.6倍、63.6倍に増加

・家計消費  13年9月~14年3月の増  クレジット借入による駆け込み需要
         消費税増税後 マイナス値が続く
・実質賃金 15年2月まで22ヶ月連続、前年同月費減

④実質賃金低下でも増えない雇用

・「金融緩和」論者 ・・・物価上昇による実質賃金低下が雇用を増やし、やがて実質賃金も増加
・有効求人倍率 09年7-9月期を底〔0.4強〕に、15年1-3月期まで上昇〔1.2弱〕続く
     〔メモ者  アベノミクス以前から上昇基調〕

・重要! 2013年1月以降、就業者数が減少。14年秋、リーマンショック時の水準  
劣悪な労働条件の結果 → 有効求人倍率の増加

⑤円安でも増えない輸出

・「金融緩和」論者・・ 金利低下→円売り、円安→輸出増
・実質成長率の「外需寄与度」  2013年-0.3%  14年0.0%
 輸出数は増えず   海外現地生産化、サプライチューンによる逆輸入

〔メモ者 一部輸出大企業の収益拡大・・・円安効果に国内の家計・中小企業からの所得移転〕

⑥雇用者報酬の低迷とGDPギャップの拡大

・「金融緩和は様々な経路を通じ需要を高める」という主張・・・どの経路も行き詰まっている。
・消費税増税により、脆弱だった実質成長率は、大きく下振れ
 → GDPギャップ 再びマイナスに転化

■「金融緩和」から「成長戦略」待望への暴走

・「異次元の金融緩和」 あらゆる指標で既に失敗
・より重要なのは・・・ 「金融緩和」論者において「失敗を認めない楽観論者」も、「失敗に不安な悲観論者」も、
 共に、「資産バブルの形成」と「成長戦略・構造改革」を必要すると「論理」に取り付かれていること

〔1〕 楽観論者の「成長戦略」待望論

・金融緩和で「株価などの値上がりで豊かになった財布から消費してもらい、景気を底上げしようとして」おり「金融緩和でGDPギャップが縮小できた」/が、その後は「追加の需要刺激が効かなくなる状況」が予想され「後は構造改革によって潜在成長率を高め、供給力をあげる改革が必要」〔浜田宏一エール大名誉教授・内閣官房参与〕
→  金融関与で需要不足が解消ずみなので、次は供給側の生産性向上策、構造改革が必要、との主張

〔2〕 悲観論者の「成長戦略」待望論

・低い実質金利のもとで「リスク性の高い株式から安全性の高い社債、国債、預金へと『質への逃避』が発生」し「利下げが経済の刺激に失敗すれば、大量に供給された貨幣が質への逃避先に加わる」
・名目金利ゼロなら、マイナスのインフレ率=実質金利なので「貨幣需要の理由はもっぱらデフレからの収益期待」となり「貨幣はそのまま資産として保有され」「デフレの罠に陥る」
・「ゼロ金利」デフレに陥った経済から抜け出すには、金融緩和だけでは不十分で「質への逃避」を断ち切る策が必要
・解決策は「インフレ率目標を掲げ、貨幣需要を減らすこと」だが、それだけでは不十分で
・リスク性の高い資産の収益率回復を図り、株式、住宅等の資産市場への資金の流れをつくる政策、「資産バブルの形成により、貯蓄から投資のシフトを」と、主張/ さらに自己資本資本収益率が低下が、デフレと長期停滞を引き起こしているとし、資本の利益率を引き上げる「構造改革」「成長戦略」を、主張 〔櫻川昌哉・慶応大教授〕

→金融緩和したが貯蓄から投資に向かっていないので、「株主資本主義」を実現する「成長戦略」と、資産バブルによる投資を引き出せ、と主張

〔3〕展望なき「成長戦略」  法人税減税、残業代ゼロ、派遣法改悪

①法人税減税

  「5%の減税で立地競争力強化」はない
  経産省「害外事業活動基本調査2013年度」   海外直接投資の決定要因
    現地の製品需要67.5%でトップ。「税制」は8.9% → 減税は、内部留保増やすだけ

②「働き方改革」の1   「高度プロフェッショナル労働制」 

労働時間規制から場外 年収1075万円以上 /なくなるのは残業でなく残業代  
労働政策研究所 残業の3大理由  過大な仕事量57.2%、突発的業務の発生45.9%、人手不足20.3%
 02-12年 週60時間労働 年収400万円以上の層がじりじり減少、年収200万円増が急増

③「働き方改革」の2  「労働者派遣法改定」  臨時的一時的の原則廃止

 97年〔派遣法の規制緩和〕以降  年収149万円、199万円以下で働く20代男女の増加
    12年 149万以下 男19.4%、女32.2% 199万円以下 男28.1%、女46.9%

  → 非正規雇用拡大の結果  97-12年  男7.1→28.8%  女20.5→43.1%
      生涯派遣は、生涯貧困化に他ならない

④社会保障「改革」  

「医療産業の競争力強化」と結びつけられているのが特徴 /具体策として「患者申出医療」

⑤「女性の活躍促進」
 「女性の働き方に中立的な税・社会保障制度等への見直し」   「配偶者控除」、「配偶者手当」の廃止

 が、新システムのもとでの認可保育所の待機児は増加、介護サービスの後退と地域負担の増加、限定性社員制度や派遣法改悪など雇用の不安定化と差別待遇の固定化などなど・・とあわせて考えると、
→  女性を「安上がりの労働者」、「安上がりの『子育て・介護』の担い手」として酷使しようとするもの〔介護の地域支援事業、小規模保育の担い手として「活用」/ 「資格」がなくてもね講習だけで「担い手」にできる〕

 以上の「成長戦略」は、大企業の利益・株価を増やしても、労働者・国民の賃金、所得を押し下げるだけ

 「金融緩和」論者・・・「企業の株式時価総額を実物資産の価値で割った値〔q〕が、1より大きくなればなるほど設備投資が増える」「株式時価総額の高さは市場関係者の評価の高さを反映し、経営者に投資を促す」〔トービンのq効果〕

→ 設備投資の停滞は、「株式市場からの資金調達不足」ではなく「家計の消費需要不足、労働者・国民の賃金・所得の減少」/  現在の「成長戦略」こそ、慢性的な需要不足による長期停滞の原因

〔メモ者 資本論によれば、利子とは、剰余価値を原資としており、平均利潤率の形成により、同規模の資本には、同規模の利潤が発生する。生産資本の利潤率を起点に貨幣資本の利潤率と同じ平均利潤率を形成する。
よって金利ゼロとは、社会全体では利潤率ゼロとなっていること。資本主義ゆきづまりを、投機、M&Aなど短期的利益の追求で「打開」、〕

■ アベノミクス・バブル待望論と「資本論」第二部バブルの論理

〔1〕 アベノミクスのバブル待望論と膨張策

・アベノミクス楽観論者~「金融緩和による実質金利低下が資産効果を通じ、民間需要を高めることに成功した」、その効果は一時的なので「構造改革」にすすむべき。
・     〃  悲観論者~「実質金利低下だけでは投資ほのシフトは不確実で、リスク性の高い資産の収益率を高め、株主資本主義をすすめる「構造改革」で、株式・資産需要を高める必要がある

→ 両者とも、「資産バブルが必要」であり、「資産バブルのテコとして大企業の収益率を高める成長戦略が必要」という認識を共有している。

《 安倍政権   昨秋以降の「資産バブル膨張策」 》
①14年10月31日  日銀「追加金融緩和策」、年金積立金管理運用独立法人の運用指針見直し〔国債60→35%、株式12→50%、外国債券11→15%〕
②15年2月25日 国家公務員、地方公務員、私学の共済もGPIFと同様の運用
③14年12月26日 日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の15年秋の株式上場の発表
④15年度 税制改革  少額投資非課税制度の拡張、こどもNISA創設

 ~①②③と日銀のETF購入・・・公的資金による株購入余力27兆円となり、1月以降の株価上昇を演出

〔2〕「資本論」第二部第一草稿   バブルの論理

・80年代後半の日本経済の成長と平成バブル、2000年代半ばの米国経済の成長と住宅バブル、そしてアベノミクスの「バブル待望論」・・・資本主義は実態経済の停滞を金融・資産バブルによる資産効果、「架空の需要」増大で解決を試みてきた

・資本論 「流通過程の短縮を信用の中でつくりだす」・・・商品流通が現実の需要から独立して「架空の需要」にそって膨張する ・・・ 商業資本による「掛売り」の存在。最終消費の前に再生産過程に入る

・資本論  「資本の回転」に描かれた住宅バブル

 発達した資本主義では「注文による建築はごくまれ」となり「思惑で建てられる」/ 建築業者は「顧客のためでなく、市場めあてに仕事する」「広大に土地を買い…100戸、200戸とかの家屋をそこに建て」「自分の資産の20倍から50倍になる事業に」手を出す。/資金は「銀行」から「抵当の設定で調達され」る。/最後に「恐慌が起こり」、「前払い払込が停止される」と、全事業の瓦解、未完成のままにされ競売される。

⇒ マルクス 家屋・不動産の需要が専ら「地代、地価騰貴の思惑」により膨張する様を指摘
それは、不動産業者の思惑による購買〔建築業者からの〕と銀行の担保貸付が利子と「地代、地価の騰貴」を目的に繰り返されることで「架空の需要」が膨張する

〔3〕アベノミクス・不動産バブルの形式

アベノミクス・不動産バブルの形成を「流通の短縮」視覚から考察

・不動産物件・・・銀行の抵当貸付をうけた「不動産業者」が「思惑」購入・・・J-REIT法人に転売・・・「投資家」へJ-REIT証券を販売・・・「投資家」は、J-REIT法人から、不動産物件の「地価、地代騰貴の運用収益」からの分売金を受け取る

・「運用収益」増大の「思惑」が高まれば → 証券の騰貴、証券需要が高まる →「J-REIT法人」の不動産需要増大→建設需要増大
→ 家屋・不動産の最終消費を待たずに、建設業の設備投資、建設労働者の個人消費が膨張。不動産建築の続行

実際の需要 → 不動産業者、J-REIT法人の思惑による不動産購買→実際の需要を超える需要の増大〔可能性として〕→地価・地代の高騰 → 銀行の担保貸付、投資家の証券購入が、利子・分配金の増大への期待で拡大
→ その資金で、不動産業者、J-REIT法人の思惑による不動産購買 →  と、膨張しつづける。

〔メモ者  最終購入者も転売などを目的とした投機目的の場合 → J-REIT法人は代金を回収、銀行に返済 → 新たな融資が可能に・・・という実際の需要を、さらに覆い隠す仕組みも存在〕

■おわり

・無限に膨張・拡大する資産バブルは存在しない/ まして政府・日銀による資産バブル膨張策であれはなおさら
〔メモ者  「架空の需要」の新の姿・・・実際の需要の壁に直面。不動産、証券価格の暴落、銀行の不良債権増大に〕

・財政赤字が拡大すれば・・今後も国際価格は安定してゼロ金利が継続し不動産、証券市場への資金提供は可能か?
→主要銀行、信金は「貸出金・有価証券利回り」「総資金利ざや」が「金融緩和」の下で下落し続けている
→市中銀行が、利回り向上を求め国債入札に応じなくなれば、金利急騰、国債価格急落 の危険性

・バブル破綻の前に、貸金主導・社会保障充実による内需拡大をすすめ、応能負担による財政再建、家族農業と自然エネルギー振興策を進め、国民経済を優先した貿易赤字解消と安定経済政策が求められる


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