認知症700万人時代とマイナンバーの管理
マイナンバーが の適用拡大が強行され、金融分野(預金残高の管理等)や医療分野(予防接種の履歴や、検診結果等)にも広げられた。今後、クレジットカードや健康保険証、資格証明などとしての活用も検討されている。
この重要な番号、そして今後これなしには生活できないように半ば強制される恐れもあるマイナンバーカード〔現在は任意発行〕の管理をどうするか。超高齢化社会を向かえ、まったく真剣な検討がなされていない。
2025年には、認知症が700万人、65歳以上の5人に1人となる。「日本の世帯数の将来推計」から単純計算すると、
認知症の単身高齢者は、135万世帯・135万人、夫婦とも認知症の世帯は、24万世帯・48万人となる〔計159万世帯183万人〕。
次のやり取りは「認知症」の方への対応について、国会でのやり取りである。
・政府答弁「信頼できる施設の人など代理人に交付が可能」
・質問議員「信頼できる施設の方とはどういう条件の人か」
・政府答弁「本人が同意した人」
・質問議員「やいや、ちょっと待ってくださいよ。認知症の方ですよ」
対応をせまられる施設や自治体の現場は、大変であろうと思う。
【マイナンバー通知、275万世帯届かぬ恐れ 「受取人不在」で 産経9/2】
【まるみえマイナンバー(下) 活用 民間にも拡大案 情報管理の不安大きく 東京9/10】
【認知症患者は2025年に700万人を突破。65歳以上の5人に1人 認知症ネット 1/9】
■単身・夫婦とも認知症世帯 159万世帯183万人 2025年
65歳以上世帯 うち単身世帯 夫婦のみ
2015年 1803万世帯 562万世帯 594万世帯
2025年 1901万世帯 673万世帯 594万世帯
2030年 1903万世帯 717万世帯 59万世帯
〔日本の世帯数の将来推計(全国推計)(平成20年3月推計 国立社会保障・人口問題研究所〕
認知症出現率 約5分の1なので・・・単身・夫婦とも認知症の世帯・人数は 〔 2025年〕
673万 × 1/5 135万世帯・135万人
594万 × 1/25 24万世帯・48万人
■10月から簡易書留で、個人番号の通知カードが来るが、住民票のある住所に送られてくるので、病院や介護施設に入居している場合、派遣労働などで全国を転々と移動してる場合、ホームレスになっている場合など、届かない恐れがあり、その数を、総務省は、275万世帯と試算している。通知カードの意味がわからなかったり、紛失する事態も続出するだろう。
■参-内閣委員会-9号 平成27年05月26日
江口議員 障害者や認知症の方々への対応は?
政府答弁 やむを得ない場合、信頼できる施設の人など代理人に交付が可能。
江口議員 「信頼できる施設の方」とはどういう条件の人か
政府答弁 本人が同意した人
江口議員 いやいや、ちょっと待ってくださいよ。認知症の方ですよ。本人が同意したらいいんですか。
政府答弁 成年後見人がついている場合は成年後見人。そうでない場合は家族など、とかです。任意代理について、代理権授与手続きを明確化したい。
江口議員 極めて曖昧模糊とした信頼という言葉だけでは、大変なことになる。
【まるみえマイナンバー(下) 活用 民間にも拡大案 情報管理の不安大きく 東京9/10】国民一人ひとりに番号を振って管理するマイナンバー制度。国が国民の家計や貯蓄を把握し、税金逃れや社会保障の不正受給の防止に役立てられるほか、予防接種などの管理にも活用される。今後は、クレジットカードや健康保険証、資格証明などにも適用を広げることも検討されている。行動や経歴も把握されかねないことに、一部からは「趣味や嗜好(しこう)、病歴も分かるようになる」と不安視する声が上がっている。 (三浦耕喜)
一枚の行程表がある。今年五月、政府のIT総合戦略本部のマイナンバー等分科会に提示された「マイナンバー制度利活用推進ロードマップ案」だ。
案は、マイナンバー制度の活用を行政機関だけではなく、民間にも広げようという内容。来年一月から希望者に発行される「個人番号カード」を二〇一七年以降、キャッシュカードやクレジットカード、預金口座とリンクし即時決済されるデビットカード、ポイントカードなどとしても利用できるようにすることも盛り込んでいる。
さらに、個人番号カードを運転免許や医師免許、教員免許、学歴証明などにも使うことも検討。健康保険証や、薬の服用履歴などをまとめる「お薬手帳」として利用する案もある。消費税率が10%になった場合、食料品にかかる2%分を還付するためにカードを使う案も浮上している。
国民には、個人番号カード一枚で、買い物から資格証明が必要なとき、病院、薬局までさまざまな場面で手続きが簡単になるメリットがある。ただ、適用先が広がり便利になるにつれ、プライバシー保護の対策も重要さを増す。
政府は、行政機関が持っている個人情報は、各機関が分散して管理し、各機関がやりとりする場合、マイナンバーを暗号化して照会するとしている。民間企業が活用する場合は、個人番号カードに付けられるICチップで本人確認するため、マイナンバーそのものを使うわけではない。そのため、外部にマイナンバーが漏れる可能性は低い上、漏れても個人情報を引き出すことは困難と説明している。だが、個人情報管理をめぐっては、日本年金機構からの百万件を超える情報漏れもあった。マイナンバー制度は、年金システムより多くの情報と結びつく可能性があるだけに、情報流出が発生したらという不安はぬぐえない。カード所有者となる国民にも、不必要に番号を他の人に教えないなどの管理徹底が必要だ。
また、制度が「個人の尊重(尊厳)」を定めた憲法一三条に反するという見解もある。上智大の田島泰彦教授(憲法、メディア法)は「プライバシー権の重要な部分は自己情報のコントロールだ。憲法で保障されており、マイナンバーはこれに反する」と言う。弁護士や市民らのグループが制度は違憲として、マイナンバーの使用差し止めなどを求める訴えを全国一斉に起こす動きもあり、世話人の水永誠二弁護士は「個人のプライバシーが有名無実化されかねない。制度の歯止めが必要だ」と訴えている。
【189-参-内閣委員会-9号 平成27年05月26日】
★江口克彦君
それから、障害者や認知症の方ですね、未成年の方もそうですけれども、こういった方々に対して十分配慮した制度設計とすることも当然考えられているというふうには思うんです。マイナンバーですから、数字ですから一人一人が覚えるということになる。こういう方々に対してどのような的確な対応をなされようとしているのか、お考えをお教えをいただきたいというふうに思います。★政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
まず、個人番号カードでございますが、病気あるいは身体の障害など、やむを得ない理由がある場合には代理人に対して交付することが可能というふうな制度設計となってございます。また、点字の導入、音声コードによる案内を実施することなどについて、現在、総務省において検討が進められているところでございます。
そのほか、個人番号利用事務実施者に対しますマイナンバーの提供、あるいはマイナンバーに関わります個人情報の開示請求などの手続におきましても代理人が行うことができるようになっております。この代理人も、法定代理人だけではなくて任意代理人がなれるようになっておりまして、例えば高齢者の施設ですと、例えばその施設の信頼できる方に代理していただくとか、そういうふうなことが考えられるというふうに考えてございます。
それから、画面設計に当たりましても、情報弱者にも配慮しまして、誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインの考え方を取り入れるとともに、代理人によりますマイナポータルへのアクセスを可能とするなどの対応も必要と考えているところでございます。★江口克彦君 今ちょっと信頼される施設の方に代理人をということを言われましたけど、信頼されるというのはどういう内容なんですか。どういう条件があったら信頼されるということになるんですか。
★政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
任意代理人につきましては本人の任意で代理人が選べるということでございますけれども、その場合に、本人が信頼される方、あるいは周りの家族の方が信頼される方というふうなことが考えられるのではないかと思っています。★江口克彦君 いやいや、ちょっと待ってくださいよ。認知症の方ですよ、そういう方の場合とか、先ほど申し上げましたように、いわゆる障害者という方々ですね、意識のある方はいいですけど、それ以外の方もいっぱいおいでになる。それを施設の信頼される方に任せるというのは、何か条件がないと駄目なんじゃないですか。それだけでいいんですか、信頼されるという。本人が信頼すると言ったら、それで許可するんですか、認めるんですか。
★政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
認知症の場合、成人後見人制度というのは法的にはございまして、その制度を利用されている方は、当然、後見人が法定代理としてなると思います。
そうでない場合、多数あると思うんですが、その場合ですと、通常、家族ないしお子様とか、そういう家族の方が法定代理人になるか、あるいは法定代理の方を決めていただくようなことに現実問題としてはなっていくのかなというふうには思いますが、いずれにいたしましても、任意代理をするにいたしましては、代理権の授与とかそういうのをはっきりさせていく必要がございますので、その辺の手続等も明確化していきたいと考えております。★江口克彦君 是非その辺は明確にしておかないと、家族だから信頼できる時代じゃないですよね。でしょう。ましてや施設だから、施設の人がだから信頼できるということもないんですよ。「家族という病」という今本が出ていますよね、ベストセラーになっていますけれども、お読みになったかどうか知りませんけれども。
だけど、別に家族を疑えとか施設の方を疑えということじゃないですけれども、そういう信頼とか、あるいはまた頼りになるとか信じられるとかという、この場合には、そういう抽象的な言葉で──全部入っているんですよ、これ、カードの中に。例えば認知症の方だと、認知症になる前に個人で、さっきの質問じゃないですけれども、あれも入れてくれ、これも入れてくれ、これも入れてあれも入れてくれといって膨大なデータが入っているというものを、これは極めて曖昧模糊とした、信頼という言葉は、私は言葉で飯を食ってきた人間ですから、これは極めて曖昧なんですよ。信頼というのは信頼できない言葉なんですよ。
例えば、青いという言葉は、私が青いと言われたときに、私の青と、それから、内閣官房、あなたの考える青とは違うわけですよ。信頼という言葉もそうなんですよ。信頼という言葉は信頼できない言葉なんですよ。お分かりになるでしょう。
それを用いて信頼できる方にカードを、番号を預けるとか、これは大変なことだと思うんで、その辺は、私、繰り返し申し上げますけれども、マイナンバー制度というのは必要だと思うし重要だと思う、思うからこそ、その辺のことをしっかり押さえておかないと問題が起こりますよ、大変な事件が起こりますよということを今から申し上げておきたいというふうに思うということです。
【189-参-内閣委員会-11号 平成27年06月02日】
★江口克彦君
私、このマイナンバー制で認知症の方が非常に負担というか問題になるんじゃないかということをずっと言い続けているんですけど、山本参考人にお尋ねをしたいと思うんですけれども、この認知症の方々に対してのマイナンバー制度の管理、特段の配慮がないといけないんじゃないかというふうに思うんですね。これは、政府の方は、成年後見制度の活用ということを質問するたびに答えが返ってくるんですけど、その成年後見人制度という、そのことにも私は大変不安と危険を感じているんですが、この認知症の方々に対するマイナンバー制度の対応、管理というか、どういうふうにすればいいのかということを、もしお考え、お教えいただければと思います。★参考人(山本隆一君)
認知症、かなりの数の患者さんがいらっしゃいますし、それへの対策というのは多分非常に重要だと思いますけれども、基本的には、成人後見人という制度を使うのかに関しまして、私はちょっとどれが一番いいのかということに関しては分かりませんけれども、やはり信頼できる代理人による保護というのはもう避けられないことだと思うんですね。
現状の番号法の適用範囲、別表一の範囲では、認知症の方が自らその情報を利活用しなければいけないことはそんなには多くないので、そういう意味では、成人後見人なのか、あるいは社会福祉士なのか何か分かりませんけれども、そういった方が代行することはそれほどの負担ではないんだろうと思いますけれども、仮にこれが医療健康情報に広がって、それこそ認知症の管理にまで広がった場合というのは、それはやっぱりそれなりのしっかりした対策を考える必要があるだろうというふうに考えています。
これは、多分そうでなくても、別に番号でなくても、現状の医療を受ける上でというのは、やはりそれなりのサポートが必要だと思うんですね。したがって、その延長で、より手厚いサポートというのを制度として整備すべきだろうというふうには考えております。★江口克彦君 今までそういう後見人制度というか、それが行われているということですけど、それは確かにそうなんですけれども、マイナンバー制度になったら、もう膨大なデータというか、それを言ってみれば活用、後見人の人に活用というか、利用されるというか、もっと言うなら悪用されるということも考えられてくるんじゃないかと思っているんですけど、現にアメリカの方はIDカードが売買されたり、あるいはまたほかに流用されたりというようなことがあるので、認知症の方々に十分な配慮というか、そういうものをしていく必要が、認知症の方について余り質問される委員の方がおいでにならないので認知症の方についての質問ばかりになって恐縮ですけど、その対応というか、そういうものをしっかり考えていかないと、結構これから認知症の方々が増えていくというふうに思いますので、是非先生の方でお考え等々がありましたら、また後日でも改めて御指導いただきたいと思います。
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