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臨時職員問題と公務の効率性 ~ 県内の実態から

 「行政改革」という名の正職員の減少といったいで、民間委託とともに、臨時職員が増え、基幹的業務を担うというゆがみが広がっている。
臨時職員は、行政に不可欠の存在になっているのに著しい処遇の差があること。また、多くの自治体が、臨時職員には、1ヶ月とかの「雇い止め期間」がもうけられており、収入や社会保険が継続できないなど、さらに処遇が悪化している。
防災、介護、子育て・教育など地域の力の構築、地域の資源に光をあてたまちづくりなど極めて重要となっている。さまざまにある資源・力をまとめる力量、専門性を安定的に継続させるためには公務の役割が決定的である。
先日の議員団会議でも議論になった、臨時職員の処遇改善、人件費問題、自治体の効率性について、改めて考えてみた。

《 昨年7月、総務省通知 「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」 》
・臨時は臨時的・補助的業務としたうえで、公正な募集をすれば、再度の任用をつまだけられないこと、「雇い止め期間」を根拠を示す法はないこと、手当て支給の対象となる「常勤の職員」も、実態で判断すべきで「任用根拠から直ちに定まるものではない」としている。また、任期付職員としての採用も次善の策である。

★なお、議論のきっかけは、県東部のA村で、臨時の保育士の処遇改善のため、「せめて任期付職員に」との要望に、行政側から 「職員定数に入り、定数をオーバーする」と否定的な説明をされたことをどう考えるか、にある。

【職員数について】
〔1〕条例定数 
・「第一項の職員の定数は、条例でこれを定める。ただし、臨時又は非常勤の職については、この限りでない。」〔自治法172条3項 
→ ただし、この数に理論的根拠があるわけではない
 ( 任期付職員については一般職の常勤職員の位置づけとなる〔「短時間」は定数外〕。 )

また、「定数条例における定数は、職員数の限度を示しているものと解すべきものであって、現実の実人員が定数に達していなくても差し支えない。」(学陽書房 逐条地方自治法第3次改訂版より) となっている。

〔2〕よって、実際の指標には「類似団体」比較が使われる場合が多い。
  その場合、数字的な状況だけでなく、自治体の行政課題の特徴、公務の質を確保していく視点など、複眼での検証が必要となる。、

【A村の状況 】  2013年・市町村財政比較分析表より
①人件費物件費等の状況 類似団体131中12番目の低さ  
     住民一人あたり 22万8721円   類似団体平均 35万5101円

②定員管理の状況  類似団体中 5位の低さ
     住民一人あたり 12.88人  平均20.81人
  町のコメントにも「類似団体平均を大きく下回っている」と述べている。また、「今後は住民ニーズが多様化し、行政サービスが一層求められてくる・・」と認めている。

③物件費 87位と高い。経常収支比率で14.1%  平均12.9%
  → 正規の職員が少なく、臨時・委託が多いためと考えられる  

④その他
 ・財政力  131自治体中16位。  類似団体平均0.16に対し.0.23
・公債費  11位の低さ  経常収支比率12.0%  平均18.5%
 ・将来負担率 マイナス  類似団体中1位    〔同率一位が多いと思う〕
 ・扶助費   5番目の高さ  経常収支比率で、平均2.5%に対し、6.8%
(国保への一般財源の繰り入れも大きく、介護保険にも繰り入れを実施した実績がある) 

★ 小活 
・類似団体の中では、財政力も上位、将来負担もない〔マイナス〕
  ・一方、職員数は、きわめて少ない。人件費・物件費等のきわめて低い。一方、物件費は高め
・ 福祉部門はがんばっている。 コメント欄には「今後も増加は避けられない」「少子化対策、高齢者福祉に関する経費であることから削減を見込めず、今後とも厳しい財政運営が強いられる」となっている。

 ⇒ 公的役割を支えるために、条例定数を改めて必要な配置をすることが必要だし、可能

〔3〕真の効率性とは
  「最少の経費で最大の効果」〔自治法第2条14項〕、「地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない」 〔地方財政法第4条〕
となっているが、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として・・」〔地方自治法1条2項〕となってるように、安上がりでも、目的が達成できない、将来的に支える人材を育成できない、ブラックな働き方が蔓延〔モチベーション低下、メンタル疾患などで、結局、「効率」が低下する〕していては、元も子もない。

★ 県 地域支援企画員60名、南海トラフ地震対策・地域推進本部25名など、真に推進する体制を強化〔結果として、類似団体平均を上回る職員〕。
★ 高知市 清掃工場の直営  効率的運営で中核市6番目のごみ処理費用の低さ。メーカー委託だったら不可能だった灰溶融炉撤去の判断と実行。 その結果、売電益増加とふくめ年数億円の財政効果
 
 以下は、市議会での論戦と到達点など整理したもの

【高知市 定数管理  「行過ぎた削減」の是正へ 2015.5】  

 この間、党市議団は、計画以上の財政の大幅改善、高知市の人的経費の効率的な運営の実態を明らかにするとともに、合併前より200人も削減するなど行過ぎた職員削減が、防災事業の遅れ、福祉など専門性の低下、長期病休の増加など、行政の劣化を招いていると、繰り返し指摘し改善を求めてきまた>

今回の「定数管理計画」は、その指摘を事実上認め、是正に踏み出す内容となっている。
 同時に、「中核市平均より職員数が多い」と相変わらず主張。そのゴマカシを追及。民生部門は「今以上の配置必要」、直営の効率的なごみ行政に「職員の取り組みを大変心強く思っている」との部長答弁を引き出した。

≪2015年3月市議会の論戦より ≫

◆定数管理  「行過ぎた削減」の是正へ   

  総務部長は、あらたな「定数管理計画」を「これまでの定数削減を前提とした計画」から「少し方向を転換」し、「類似団体との比較では若干多い職員数の肥大化はさけながら」とも「必要な部署に必要な人材を確保し、市民サービスを充実させることを目的」としたこと、必要な人役を計上したうえで、短期間勤務の再任用職員・任期付職員などで条例定数外の人役を確保し「現行2860人の条例定数を維持する」と説明した。

 現在、条例定数となっている短時間再任用職員を定数外とすることで「条例定数の欠員が生じ、新規採用職員等の任用をおこなっていく」と答弁。

◆「職員数が多い」の問題点追及   実態無視した比較を叱り、職員の努力を評価

○人的経費(人件費・物件費)の低さ ~ 「比較できない」と新たなゴマカシ

 「人的経費が中核市平均より33億円も低い」――党市議団の質問で明らかにさせた内容だが、「都合が悪い」と思ったのが、今議会では「比較できない」と否定。
 しかし、総務省の「市町村財政比較表」は7項目の1つとして「人件費・物件費等の状況」を指標として明らかにしており、コメント欄に、市自ら「類似団体に比べ低い」と書いている。

○民生部門「今以上の配置が必要」、ゴミ処理費用「中核市6倍目の低さ」と認める

 「中核市平均と比べて職員数が多い」という説明に、「職員がサボっている」かのような誤解を与えると批判し、撤回をもとめた。同時に、職員のがんばりを評価する質問を行った。

 < 中核市平均との比較 > 

①「都市要覧 2013年度」より
          平 均   高知市
人  口     404152  338087
人口密度      2163    1097 人/k㎡
職員 数      3153    2699
一般行政職    1398    1628
〃/市民千人     3.5     4.2
生活保護     7698人 13094人
市道延長     2188k  1955k
市営住宅     4582戸   4987
財政需要額  623.6億円 648.0億円

①平均より人口が少なく、人口密度が低いので、行政コストが高くなる構造にあること。職員数が多いのは民生部門と衛生部門。

②民生部門は、低所得者(生活保護率が平均の2倍以上)の多さ、働く女性の多く保育需要が高いからと指摘。

 → 健康福祉部長も「現状以上の職員配置が必要」と認めました。

③衛生部門は、ゴミ行政が直営だからですが、高知方式、清掃工場の直営により効率的運営を指摘。

 → 環境部長も、中核市で6番目というゴミ処理費用の安さ(平均より11.5億円低い)を実現しており、「職員の取り組みを大変心強く思っている」

④清掃工場で、灰溶融炉撤去の判断できたのは、直営による専門性があったから、と指摘。灰溶融炉の撤去で、7千万円のコスト減。売電益の大幅増(1.5億円→7億近い額)の実態を明らかにさせた。

 → 部長に「先進的に取り組みが現場の職員から出されて実現できたことは大きな意義があった」、売電益の一部は、清掃工場建設の財源として「基金造成に繋げていきたい」と答弁させた。

◆職員の育休、長期病休  「臨時でなく、予備定数の配置で対応」と、前進築く  

 今回の提案された「定数管理計画」は、増大する業務量に対して、職員不足になっていることを認め、再任用を含む正職員の人材確保の必要性を示した。

 その中で、育児休暇、長期病休にたいしても「現行の臨時を原則とする対応」から「一定の配慮を検討する」とし、総務部に「予備定数」を配置し、業務量の増減も含めて、正職員で対応できる柔軟な対応に踏み出した。

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Comments

非常勤の保育士の現状はひどいもんです。今や正規を声越え嘱託・臨時・ぱーと保育士が処遇賃金の改正のないまま働いています。ましてや、正規の代替えをしても何も手当もない、正規の休みの日は正規のかわりの任務を担う、個別ケースの記載、障害児の加配担当など、給料に担ったものではありません。
ちなみに我が市では非正規の保育士の時給は920円。地域格差はありましょうが、
アベさん***目を向けるとこが違うんじゃないんって::
この戦争法案反対署名、
保育部会からの署名出たんで、先ほどしました。

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