「アベチャンネルにするな!」 明日25日 NHK包囲行動
明日25日、「アベチャンネルにするな!」と、NHK包囲行動( NHKを監視・激励する視聴者コミュニティなどの呼びかけ )が実施される。 いくつかの地方でも呼応した取り組みが計画されているとのこと。
同行動の主催団体の1つ「放送を語る会」は、5月11日~6月24日までの各テレビ局のニュース番組をモニターし、NHKの報道姿勢について
①政権にとってマイナスになるような出来事を報じない傾向
②政権の見解、方針の伝達を重視し、多様な批判的言論、運動を伝えない傾向
を明らかにし「NHKの政治報道の姿勢は、安保法案に関する現在のテレビ報道で最大の問題であるといわなければならない。」「公共放送として、その在りようが問われている」と指弾する。
【NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ 】
【安保法案の国会審議・テレビはどう伝えたか 放送を語る会 8/19】
「包囲行動」が、NHKに申し入れ項目は・・・
1. 政権に不都合なことを隠すな
2. NHKは戦争法案に加担するな
3. 中国の脅威をあおるな
4. 国民の抗議の声を伝えよ
5. 国会審議をまともに放送せよ
6. 政治家と会食するな、癒着するな
7. 籾井会長はNHKを私物化するな
8. 権力を監視するメディアになれ!
9. 籾井会長はただちにやめろ!
【放送を語る会の中間報告の結論部分の引用】
具体的な事例は前項までの報告で明らかにしたが、あらためてNHKの安保法案報道の特徴を整理しておきたい。1)政権にとってマイナスになるような出来事を報じない傾向
典型例がいくつかある。
5月20日の党首討論で、共産党の志位委員長がポツダム宣言について安倍首相を質した。志位委員長は、ポツダム宣言が日本の戦争が世界征服のための戦争だったと明瞭に判定している、とし、首相にこれを認めるかと質問した。安倍首相は「その部分は詳らかに読んでいないので、承知していない」と答弁した。
降伏後の日本について、軍国主義の排除と民主主義の実現を指し示した歴史的文書を「読んでいない」というのは、首相の資格を疑わせるものだった。
「報道ステーション」は、志位委員長の「日本が過去にやった自らの戦争の善悪の判断もできない総理が戦争法案を出す資格はない」という発言も含め、一連の討論を伝えた。
しかし、「ニュース7」「ニュースウオッチ9」は、党首討論の映像の中でこのやりとりをカットしている。
5月28日の衆院特別委員会で、民主党の辻元清美議員の質問中、安倍首相は「そんなことより早く質問しろよ」といった下品なヤジを2回にわたって飛ばした。表情といい言葉といい首相の品格を疑わせる場面だったが、この日の「ニュースウオッチ9」ではまったく報じず、翌日の「today's watch」コーナー3項目目で短く伝えただけだった。
6月23日、沖縄慰霊の日、安倍首相のあいさつ中に参列者から厳しい抗議の声が浴びせられた。「あなたは沖縄の平和を語る資格がない」、と立ち上がって抗議する老人もいた。しかし、この日の「ニュースウオッチ9」は、この異例の出来事について抗議の音声はもちろん抗議されたこと自体も伝えなかった。2)政権の見解、方針の伝達を重視し、多様な批判的言論、運動を伝えない傾向
法案についての政府見解や首相の発言を効果的に伝達する傾向もよく見られた。
「ニュースウオッチ9」では、CG、パネルなどを使った政治部記者・アナウンサーなどによる法案解説があったが、本報告で指摘したように、多くは政府説明や安倍首相答弁のなぞり・繰り返しになっていて、問題点の指摘、批判的評価・見解をほとんど伝えないのが特徴となっていた。
国会審議についての解説にも同じような傾向が見られた。6月17日には、党首討論について、記者が、「安倍総理は政府の立場を平易に国民に伝えることに力点をおいていた」と評価、「総理は、集団的自衛権について外国での武力行使は例外的で極めて限定的と強調した」と、首相側に寄り添うような解説をしている。
一方で、各種世論調査で安保法案反対の意見が賛成を大きく上回っているにもかかわらず、法案の問題点を指摘、批判する識者、専門家のコメントはほとんど伝えていない。
市民の反対運動の報道も限定的だった。6月13日から14日にかけて全国的に展開された市民の行動を、「ニュースウオッチ9」は報じなかった。14日は学生たちのグループSEALDsが渋谷で大規模なデモを行ったが、まったく無視した。
この姿勢は、若い人びとの思いや行動を丁寧に取材した「報道ステーション」とは鮮やかな対比を見せた。上記のほか、本報告でも指摘したように、NHKニュース番組は、安保法案にかかわる重要な争点である、後方支援、機雷掃海、砂川事件、といった問題について、歴史的事実に迫る調査報道が可能であるにもかかわらず、ほとんど行っていない。短く国会の論戦の経過を伝え、ときに政治部記者の解説、といった簡略な報道に傾いている。
こうしたNHKの政治報道の姿勢は、安保法案に関する現在のテレビ報道で最大の問題であるといわなければならない。政府の側ではなく、視聴者・市民の側に立つべき「公共放送」として、その在りようが問われている。
NHKには優れた番組があり、視聴者の信頼もなお高いものがあるが、その陰で、政権寄り、政府広報、と批判されるような政治的に偏向した報道が続いているのである。
このことに気づいた市民が、政府に対する抗議と併せて、NHKに対して抗議の声をあげ始めた。すでに市民がNHKを包囲する行動も生まれている。一般市民がこのような行動に出るのは前代未聞であり、NHKはこのことを深刻に受けとめる必要がある。
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