日本でも電気料金レベルに達した太陽光発電の経済性
自然エネ財団のコラム。
地産地消される太陽光と、送電コストなどのある大規模発電を単純比較するのは意味がない。電気料金との比較すれば、太陽光発電のコストは、2010年頃は2倍もあったが、14年10月~12月には、24.9円/kWhに下がり、その年の電気料金の平均値26.3円/kWhより低くなっている、というもの。
技術革新もめざましい。ブレードのない風力発電など・・・
ホルムズ云々するなら、攻撃に脆弱な原発をなくし、地域分散型のネットワークに真剣になるべき。
【グリッドパリティ−日本でも電気料金レベルに達した太陽光発電の経済性 自然エネ財団コラム7/30】
【グリッドパリティ−日本でも電気料金レベルに達した太陽光発電の経済性 自然エネ財団コラム7/30】2015年7月30日 木村啓二 自然エネルギー財団上級研究員
「太陽光発電はコスト高」と言われる。例えば、2015年5月に政府の委員会(総合資源エネルギー調査会発電コスト検証ワーキンググループ)で試算された住宅用太陽光発電の発電単価は、29.4円/kWhだった。そして、日本の主力電源であるLNG火力の13.7円/kWhに比べて、太陽光発電は2倍以上の発電単価であると評価されている。
しかし、住宅用太陽光発電やコージェネレーションなど、電力を消費する場所に設置される電源と、需要地から離れた場所に設置される電源との経済性を、単純に発電単価のみで評価することは妥当性に欠ける。なぜなら、後者の場合、つくられた電気をその場で消費するわけではないからである。
私たちがつかう電気は、一般電気事業者(以下、電力会社と呼ぶ)の保有する送配電網を通じて、発電所から送られている。このコストは送配電コストとして別途生じるコストである。電力会社の決算資料をもとに、2014年度の送配電コストを計算すると、3.3円/kWhであった。これに加え、その他の電力会社のもろもろの経費や税が2.8円/kWhほどかかっているため、合計6.1円/kWhが発電とは別途かかっていることになる。最終的にこれらさまざまなコストや電力会社の利潤を含めて、消費者に電気料金が請求されている。
他方で、太陽光発電を個人で家庭につけた場合、直接消費する場合は、送配電コストも必要なく、電力会社を通して買っているわけではないので、彼らへの支払いもない。そのため、太陽光発電の電気を使うのにかかるコストは、太陽光発電を設置して、維持管理をするためのコストのみということになる。
つまり、設置する人の視点から太陽光発電の経済性を評価すると、他の電源との発電単価の比較は意味がなく、電気料金と比較するほうが実際的である、ということである。太陽光発電を家庭に設置する人にとっては、電力会社から電気を買うときの電気料金よりも太陽光発電を設置するコストのほうが安ければ、設置するほうが得だということになる。
そこで、近年の太陽光発電の発電単価を推計し、電気料金と比較した(図を参照)。なお、以前の記事でも比較は行っているが、今回は金利(割引率)を現実に合わせて見直している。今回の推計によれば、たしかに2010年ごろの発電単価は40円/kWh程度で、電気料金と比較しても2倍あるが、その後継続的に下落し続けていることがわかる。そして2014年7月~9月には、太陽光発電の発電単価は26.0円/kWhとなり、その年の電気料金の平均値26.3円/kWhよりも安くなっている。さらにその後も発電単価は下落し続け、14年10月~12月には、24.9円/kWhに達した。このことから、2014年下半期には、太陽光発電でつくる電気は電気料金よりも安価になった可能性が高いと言える。
上記は電気料金が今後20年間一定価格であると仮定した場合の見方である。しかし、近年、エネルギーのコストについては、原子力の事故リスク評価が厳しくなり、また化石燃料の燃料費変動リスクなどの不確定要素が多い。太陽光発電を設置することは、設置者にとって経済的にも魅力的なだけでなく、こうした不確実性を減らすことにもつながる。
海外のいくつかの地域では、すでに太陽光発電の発電単価が電気料金よりも低い。Grid Parity Monitoring (2015)によれば、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリア、イスラエル、メキシコではすでに2011年から12年にかけて同様の状況に達しているが、日本もようやく世界に追い付いてきたといえよう。
【未来の風力発電機には「羽がない」 WIRED 5/21】地表から空に向かって伸びる巨大な葉巻、あるいはアスパラガスのような物体。それが、スペインのVortex Bladeless社が提案する新しい風力発電機である。風がつくり出す渦を利用したこの発電機は、低コストで無音、そして衝突するブレードがないため野鳥にとっても安全だという。
高速道路を運転中に30メートルの風車が回っているのを見かけるのは、いまやすっかりおなじみだ。しかしそんな光景を見慣れすぎてはいけない。スペインの企業Vortex Bladelessが提案する革命的な風力発電法は、車窓の風景を一変させるかもしれないからだ。
そのアイデアとは、ブレードのない風力タービン「Vortex」。その見た目はまるで天を衝く巨大な巻きタバコだ。
Vortexの目的は、従来の風力タービンと同じく、風を運動エネルギーに変え、電気として使えるようにすることだ。しかし、その仕組みはまったく異なる。
プロペラの回転運動からエネルギーを得るかわりにVortexが利用するのは、「渦度」と呼ばれる渦の回転から生じる空気力学的効果だ。渦度は長いこと建築家やエンジニアに嫌われ、これを回避するデザインが追求されてきた。それも当然で、風の力が強ければ、渦度によって建物に振動が生じ、場合によってはタコマナローズ橋の崩落のような事故につながることさえある。
しかし、このデザイナーの天敵は、Vortex Bladelessの創業者、ダヴィド・スリオル、ダヴィド・ヤネス、ラウル・インヘニエローにとってはチャンスだった。「このエネルギーを避けるのではなく、利用してみたらどうだろう、と考えたのです」とスリオルは言う。この振動エネルギーを生産的に利用するため、彼らは2010年にVortex Bladelessを設立した。
Vortexの形状は計算に基づいて設計されたもので、風の渦がマスト全体に沿って発生するようになっている。ファイバーグラスとカーボンファイバーの合成素材でできた本体は、その重さによってマストの振動を最大にする。円錐の基部には反発する2つの磁石のリングが取り付けられ、風速に関係なくマストの動きが増幅させられる構造になっている。これして生まれた運動エネルギーが、発電機で電気に変換されるのだ。ギアもボルトも機械駆動部品もないVortexは、製造もメンテナンスも安くつくと、開発者たちは言う。さらに高さ12.5メートルの彼らのVortex Miniは、理想的な条件下(風速毎時約42キロメートル)では風力の最大40パーセントを捕捉できるという。野外実験では、Vortex Miniの出力は従来の風力タービンよりも30パーセント低かったが、Vortexは同じ面積にプロペラタービンの2倍の数を設置できるため、この欠点は帳消しになる。
Vortexは製造コストが低く、完全に無音で、衝突するブレードがないため野鳥にとっても安全だ。Vortex Bladelessによれば、彼らのタービンは従来型の風力発電機から約51パーセントのコストカットを実現できる。ブレードとサポートシステムが、従来型のコストの主要部分を占めるためだ。しかも、見た目も最高にクールだ。スリオルは言う。「アスパラガスのようで、この方がずっとナチュラルでしょう」
同社はすでに100万ドルを民間資本とスペイン政府資金から調達し、まもなく米国でのプロモーションツアーを行う予定だ。注目度は高く、彼らはタービンに関する問い合わせメールを毎日200件以上さばいているという。もちろん、この技術はまだ発展途上だ。彼らの目標は、最初の製品として途上国向けの高さ3メートル、出力100ワットのタービンを年内に完成させること。高さ12.5メートルのVortex Miniは、1年以内に完成予定だ。
しばらくは風車の立ち並ぶ風景を見続けることになりそうだが、スリオルは決してそれを嫌っているわけではない。「従来の風力タービンを悪く言う気はありません。素晴らしい機械だと思っています。わたしたちはただ、新しい、従来とは違ったやり方を提案しているだけなのです」
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