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緊縮財政のギリシャ  EUトップの軍事費(GDP比)は「無傷」の理由

  堤未果さんのブログより。
  ギリシャの軍事予算は、NATO28カ国でアメリカについで2位、EU内では、GDP比2.4%で最大規模。債務の半分を占めるといわれる軍事費は、最低賃金切り下げや社会保障の切捨てがされる中で、維持・拡大されている。
 その背景・・ギリシャの武器輸入の第二位はドイツ、第三位はフランス。ともに財政支援の中心国である。
【緊縮財政のギリシャで 軍事予算だけは削られない理由 堤未果 7/23】

 ギリシャ財政危機については、EUの制度的欠陥が指摘されている。通貨は共通だが、経済財政政策は各国に決定権があるため貿易赤字が発生すれば、通貨が下落し、赤字を減少させる仕組みが働かない。一方、中心のドイツは、黒字が発生しても通貨は上昇せず、輸出力が強化されるという格差を拡大するシステムである。

 その元で、ギリシャの国債は、高利回り(リスクが高い)の投資先として、独仏の巨大金融機関が大量に保有していた。ギリシャが財政破綻すれば、金融機関に莫大な損失が発生し、EU全体の経済が大混乱におちいる。

 ギリシャ支援は、独仏の巨大金融機関の利益を守るためのものでもあることが指摘されてきたが、そのために、ギリシャ国民の生活犠牲で財政規律を担保しながら、一方で武器購入の予算は確保させる・・・ まさに「利潤第一」という資本の本質がここにある。
 
  日本でも「ギリシャにしてはならない」と、庶民増税、社会保障削減を主張する声があるが、本質は同じである。


【緊縮財政のギリシャで 軍事予算だけは削られない理由 堤未果 7/23】

 二〇一五年六月三十日。ギリシャはIMFへの返済が出来ず、事実上債務不履行に陥った。七月五日には、 EUからの要望である緊縮策の賛否を問う国民投票が実施された。

 ここまで財政赤字が膨れ上がった原因は、高すぎる年金、公務員優遇だなどと報道されているが、何故か触れられないもうひとつの重要要素についてはあまり知られていない。
 債務の半分以上を占めるといわれる、防衛予算だ。

 NATO同盟国28か国の中で、ギリシャの軍事支出はトップのアメリカに次いで2位と突出している。金融危機から5年たった2015年においても、財政赤字がGDPの175%だった前年よりも軍事費は1%増やし、GDP比2.4%というEU最大規模を維持し続けているのだ。

 この問題について、欧州外交政策財団のサノス・ドコス所長はガーディアン紙のインタビューでこう答えている。
「1300車両という、イギリスの二倍以上の数の戦車が本当に必要なのかどうかは議論が分かれるところだろう。だがトルコの軍事的脅威に対しバランスをとるためには、やむを得ない措置なのだ」

 トルコの脅威。だが本当にそれだけだろうか?

 奇妙なことに、危機に陥ってからこの間、IMFやEU、欧州中央銀行から提示された緊縮財政メニューの中に、軍事費削減はのっていない。

 ギリシャへの財政支援条件として最も強く緊縮財政を要求していた債権国のドイツも、ギリシャに軍事費を半減させ、ドイツと同じGDPの1%台に抑える事でIMFへの当座の支払いをさせるという現実的な要求は決してしなかった。代わりにメルケル首相は、救済金の大半を国内経済の立て直しではなく軍事支出に振り分けるよう、ギリシャ政府に圧力をかけている。

 だがメルケル首相にはそうするだけの理由があった。ドイツは武器輸入大国ギリシャから、アメリカに次いで最も恩恵を受けている国の一つだからだ。ちなみに三位は、ドイツ同様長年ギリシャ政府に軍事費増の政治的圧力をかけてきた、やはり債権国のフランス。2010年から2014年までの5年間、ギリシャ政府は5億5100万ドル分の武器をドイツから、1億3600万ドルの武器をフランスから購入している。

 二〇一二年に金融支援の条件としてギリシャ政府が課された20%もの最低賃金引き下げや、公務員の給与凍結は一体何のためだったのか?IMFに言われるままに、障害者の自己負担を高騰させ、医師数を大幅に減らし、病院を閉鎖させ、国家にとって最大の財産である筈の国民を公衆衛生上の危機に陥れた対価は、更なる財政赤字となってギリシャ政府にのしかかった。

 二〇一〇年に、メルケル首相とサルコジ大統領が、借入金が入る前に武器輸入契約の維持をギリシャ政府に約束させた事実や、二〇一三年にドイツの防衛産業からの収賄が暴露されたギリシャの元防衛大臣他政府高官らの逮捕など、次々に暴露される腐敗劇に国民の怒りは爆発寸前だ。

 百万人の失業者、ホームレス人口の急増、若者の二人に一人が職を失い、二十万人もの国民が国外へ逃げ、貧困層の間で感染症が拡大しているギリシャ。

 欧米の商業 マスコミが描く公務員天国の自堕落なギリシャ像の裏で、笑いが止まらない勝ち組たちの姿が、私たちに見えるだろうか?

(週刊現代「ジャーナリストの目」2015年7月掲載記事)


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