辺野古手続きに「瑕疵」 沖縄知事、承認撤回へ
沖縄県が設置した有識者委員会が、埋め立て承認手続きに「法律的な瑕疵があるとの報告書を取りまとめる方向で調整に入り、今月下旬に知事に提出する見通しとのこと。
6月県議会では、埋め立てのための県外からの大量の土砂搬入に対し、外来種の搬入を防ぐ「土砂規制条例」が成立した。
また、琉球王朝時代の船舶用の重りの「碇石」が発見された。「法治国家」として、文化財保護法にもとづく調査、その間の工事の禁止の定めがある。
【辺野古手続きに「瑕疵」 沖縄知事、承認撤回へ 東京7/10】
【社説[土砂規制条例]次世代に豊かな自然を 沖縄タイムス7/9】
【県教委が「碇石」と認定 新基地作業へ影響大 琉球新報7/1】
【辺野古手続きに「瑕疵」 沖縄知事、承認撤回へ 東京7/10】米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設先、名護市辺野古(へのこ)沿岸部の埋め立てを承認した前知事の判断の是非を検証するため、沖縄県が設置した有識者委員会が、埋め立て承認手続きに「法律的な瑕疵(かし)(欠陥)」があるとの報告書を取りまとめる方向で調整に入った。今月下旬にも翁長雄志(おながたけし)知事に提出する見通し。複数の関係者が明らかにした。
翁長氏は報告書を「最大限尊重する」と明言しており、辺野古阻止に向け、埋め立て承認取り消しに踏み切る公算が大きくなった。
承認の効力が失われれば政府の移設計画の続行は困難となるため、沖縄防衛局は知事の取り消し処分を不服として、関係法を所管する太田昭宏国土交通相に行政不服審査法に基づき審査請求する可能性がある。
関係者によると、有識者委は、防衛局による埋め立て承認申請書で示された辺野古周辺の環境保全措置を米側が確実に実施しない懸念が残っているのに、県が防衛局から十分な説明を受けないまま承認に踏み切った点などを問題視。環境保全や災害防止への配慮を規定した公有水面埋立法に抵触する可能性があると指摘し、法的瑕疵として盛り込む考えだ。有識者委は一月に設置された知事の私的諮問機関。埋め立て申請を審査した県職員から聞き取りするなどしてきた。
政府は二〇一三年三月、公有水面埋立法に基づき、県に辺野古沿岸部埋め立てを申請。仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事は同十二月「現段階で取り得ると考えられる環境保全措置が講じられ、基準に適合していると判断した」として承認した。<有識者委員会> 沖縄県の仲井真弘多前知事が2013年末、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認した手続きに法的瑕疵がないかを検証する有識者委員会。県が今年1月、辺野古移設阻止を公言する翁長雄志知事の私的諮問機関として設置。環境問題に詳しい大学教授や弁護士の計6人で構成し、6月末までに計12回会合を開いた。翁長氏は有識者委の報告を受け、埋め立て承認を取り消しまたは撤回する必要があるか判断する。
【社説[土砂規制条例]次世代に豊かな自然を 沖縄タイムス7/9】名護市辺野古の新基地建設をけん制する狙いがあるのは事実だとしても、「そのためだけの条例」にしてはならない。沖縄固有の生態系を守るという条例の目的をしっかり受け止め、これを契機に、生物多様性保全の機運を盛り上げたい。
県議会の特別委員会(仲宗根悟委員長)は、埋め立てによる特定外来種の侵入を防ぐことを目的とした県外土砂規制条例案(議員提出)を賛成多数で可決した。10日の最終本会議で可決、成立する見通しで、11月1日から施行される予定である。当面、名護市辺野古の新基地建設と那覇空港の第2滑走路建設の2事業が対象になりそうだ。
防衛省によると、辺野古沿岸部を埋め立てるには2100万立方メートルの土砂が必要である。東京ドーム17個分に相当するこれだけ大量の土砂を県内で調達するのは不可能だ。 このため、キャンプ・シュワブ陸上部や辺野古ダム周辺から約400万立方メートルを採取し、残る約1700万立方メートルは、奄美大島や徳之島、九州など県外から確保する計画。
大量の埋め立て用材を県外から搬入する際、アルゼンチンアリなどの外来種が用材に付着して持ち込まれ、島の生態系に悪影響を与えるおそれがある。仲井真弘多知事の時代に県環境生活部がまとめた埋め立て承認申請に対する意見の中でも、外来種混入の防止対策が「具体的に示されていない」と疑問視していた。
今回の条例案は、県環境生活部や環境保護団体、住民などから上がっていた懸念に応える意味もある。
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条例案は、特定外来生物が付着・混入した埋め立て用材(海砂、石材、山土)の県内への搬入を禁じ、搬入する場合、予定日の90日前までに採取地や外来生物の有無、混入防除策を県知事に届け出るよう義務づけている。
県の立ち入り調査や、事業者に対する知事の搬入中止勧告なども盛り込んだ。
ただ、土砂搬入を止める罰則規定はなく、立ち入り調査についても、誰がどのような方法で土砂をサンプリングし調査するのか、具体策が示されているわけではない。
条例案が規制の対象にしている特定外来生物は、特定外来生物法で指定されたものが対象になっており、国内由来の外来生物は規制の対象になっていない、という制約もある。
実際に条例を運用するためには、立ち入り調査の方法などさまざまな規定を整備する必要があり、実効性の確保に向けたハードルは高い。
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沖縄特有の自然は、次世代に引き継ぐべき「しまんちゅぬ宝」である。「沖縄21世紀ビジョン」にも、目指すべき将来像の1番目に「沖縄らしい自然と歴史、伝統、文化を大切にする」ことが掲げられている。
県は2013年3月、生物多様性基本法に基づいて「生物多様性おきなわ戦略」を策定した。豊かな自然環境を保全し、自然と共生するために成すべきことの一つとして外来種対策を位置づけ、特定外来種にとどまらない総合的な対策に取り組んでほしい。
【県教委が「碇石」と認定 新基地作業へ影響大 琉球新報7/1】沖縄県教育委員会は6月30日、米軍キャンプ・シュワブの海岸沿いで発見された石は琉球王朝時代の船舶用の重りの「碇石(いかりいし)」であると鑑定し、文化財と認定したと発表した。名護市は文化財保護法に基づき、発見された区域の調査を求めていく方針で、政府が進める新基地建設作業に影響を与える可能性が高くなった。
遺跡や文化財が見つかった付近を工事する際は、文化財保護法に基づき段階的な調査が必要になる。調査完了前の工事は同法96条で禁じられている。
翁長雄志知事は30日、記者団に対し「米軍、沖縄防衛局は貴重な文化財の調査に積極的に協力いただきたい」と求めた。
県教委は鑑定で、発見された石に人工的に加工した溝があることを確認し、過去に見つかった碇石と比較。県内の砂岩で作られており、県産の碇石としては5例目、本島東海岸で見つかったのは初めて。
碇石は琉球王朝時代に船のいかりの重りとして使われた。その存在は発見された海域に船の往来があったことを証明し、当時の交易文化を知る手掛かりとなるという。
海域調査の実施は名護市教委が最終決定する
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沖縄辺野古、米軍の新基地の埋め立てに瀬戸内海からおおくの土砂が運ばれようとしています。ここ周南の島の採石場は優良な御影石の産地です。そこからの土砂の搬入ということですが、確かに、埋め立てにするんだから良い石を採ったクズ石でもいいんだと、、、そんぁ安易な考えも聞くが、祖父母や父が営んだ「石屋」 その地から辺野古、米軍基地の埋め立てに使われるというだけで、腹がたち、胸が痛い。
Posted by: カモメ | July 15, 2015 03:23 AM