不正経理の東芝トップ 安倍政権の経済財政政策に関与
第三者委員会の報告書は、利益の水増しが歴代経営トップの関与のもと「経営判断として行われた」と断じ、「利益の先取り」「費用・損失の先送り」「事実の隠蔽」「上司に逆らえない企業風土」など目先の利益に目のくらんだ企業体質を浮き彫りにした。
この東芝のトップ()が、安倍晋三政権の「成長戦略」策定に深く関与し、安倍政権の国民犠牲、大企業奉仕の政策を推進してきた。佐々木則夫副会長は、政府の産業競争力会議の民間議員、政府税制調査会の特別委員を務め、2013~14年には経済財政諮問会議の民間議員にもなっている。そんな政策がまともなのか・・・
こうした角度からのツッコミがもっとあってしかるべき。
佐々木則夫・副会長の発言の一部
●政府税調、「法人実効税率の引き下げがグローバル競争の中で不可欠」と主張、早急な「10%引き下げ」を迫る意見書を提出(14年4月14日)
●産業競争力会議 「所得税について、我が国の納税者の83%の税率が10%以下で、米国の29%、英国の30%に比べ、極端だろうということもあり、もう少し負担能力に応じて公平に満遍なく負担する仕組みの再構築が必要ではないか」(15年6月11日)
●経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議 医療費抑制について「病床数の適正化はもちろんのこと、過剰な入院、過剰な外来、過剰な投薬、これを抑制していく必要がある」(14年4月16日) /「望んで非正規の人も多いと思う。全く働かないよりは、適度の仕事を望んでいるのではないか」(14年4月22日)
●経済財政諮問会議 「消費税率引き上げを整斉と進めていくことが肝要である」(13年7月30日)。社会保障についても「公共、民間ともに負担が少なくなるような効率化、重点化をぜひお願いしたい」(13年2月5日)
【東芝、利益水増し1562億円 歴代3社長、辞任発表 不正会計会社ぐるみ 赤旗 7/22】東芝は21日、不正会計問題の責任を取り、田中久雄社長、佐々木則夫副会長、西田厚聡(あつとし)相談役の歴代3社長が辞任すると発表しました。副社長ら取締役も含め、合計9人が辞任します。後任の社長については、室町正志会長が22日から暫定的に兼任します。
田中社長は21日夕、東京都港区の本社で記者会見し、「本件に対する重大な責任は私をはじめとする経営陣にある」などと謝罪。経営責任を明らかにするため同日付で社長を辞任すると述べました。一方で不適切な会計処理について「直接的な指示をしたという認識はない」とも繰り返しました。
不正会計問題をめぐって東芝の第三者委員会は20日、利益の水増しが歴代経営トップの関与のもと「経営判断として行われた」とする報告書を同社に提出しました。日本有数の総合電機メーカーの歴代経営トップが、不正に手を染めていたと認定しました。
利益のかさ上げはインフラ、半導体、パソコン、映像など主要事業で行われ、税引き前利益の過大計上額は2008年4月~14年12月で1562億円に達しました。
報告書は、歴代トップが長期的な視点ではなく当期利益の最大化という「当期利益至上主義」に基づいて無理な成果を押し付けたことで、各部門が「見かけ上の利益のかさ上げという不適切な方法によらざるを得ない状況に追い込まれたことも多かった」と指摘。なかには、期末まで残り3日間で120億円の「利益改善」を求められたこともありました。
歴代トップは不正会計を黙認しただけでなく、水増しの解消に「難色を示した事実も認められる」と指摘しています。本来不正会計を防ぐべき経理部や財務部が逆に不正に積極的役割を果たしていた事例があるなど、会社ぐるみで利益の水増しが行われた実態が浮かんできます。【東芝不正会計 歴代社長が関与 ・・・目先の利益で事実隠蔽、安倍政権のゆがみ象徴】
「利益の先取り」「費用・損失の先送り」「事実の隠蔽(いんぺい)」。そして「上司に逆らえない企業風土」―。東芝が利益を水増ししていた問題を調査してきた第三者委員会の報告書は、目先の利益確保に目がくらんだ東芝の企業体質を浮き彫りにしました。東芝のトップは、安倍晋三政権の「成長戦略」策定に深く関与していました。国民生活を犠牲にしつつ、大企業に奉仕する安倍政権の経済政策のゆがみの象徴でもあります。
(金子豊弘、佐久間亮、杉本恒如)リーマン・ショックや原発事故などを受けて業績が停滞する中、東芝の経営トップは、社内の事業部門に対し、過大な収益目標設定を課し、利益のかさ上げを迫っていました。そのもとで不正な会計処理が同時並行的かつ組織的に行われ、しかも繰り返されていました。
報告書は、「経営トップらが意図的な見かけ上の当期利益のかさ上げ」を「認識したのに、中止ないし是正を指示しなかった」として「経営判断として行われたもの」と断定。「経営トップらの関与を含めた組織的関与」があったとしました。◆意図的な操作
社長らが出席する月例の会議の場では、業績不振の事業部門に対して収益が改善しなければ事業から撤退することをトップが示唆することもありました。社内では、「チャレンジ」と呼ばれる過大な目標が設定されていました。この「チャレンジ」のほとんどは長期的な利益目標などの視点から設定されたものではなく、「当期または当四半期における利益を最大化するという観点(当期利益至上主義)から設定される目標達成値だった」と報告書は指摘しました。
各部門の責任者は、この「チャレンジ」の数値を「必達しなければならないというプレッシャーを強く受けて」おり、利益を先取りしたり、損失や費用の計上を先送りするなど意図的な会計操作を行っていました。そのことが次期以降の利益計上をさらに厳しくし、悪循環が「継続され」、不正会計の「規模も拡大」していきました。
東芝には、「上司の意向に逆らうことができないという企業風土が存在」しており是正されることがありませんでした。
会計処理が不適切かどうかをチェックする財務部は、その役割を果たすこともありませんでした。財務部の担当者自身は、不適切な会計処理が行われている事実を知りつつも、なんら指摘・是正するなどの対応もとっていませんでした。
会計監査人の質問や資料要求に対しては、「事実を隠蔽したり、事実と異なるストーリーを組み立てた資料を提示して説明」するなど、悪質な対応を行っていました。◆原発子会社も
米国の原発子会社も不正会計の舞台となりました。米子会社ウエスチングハウスが手がけた発電所建設をめぐり、13年度第2四半期と第3四半期にそれぞれ、3億8500万ドル、4億100万ドルの追加コストが発生する可能性が同社から報告がありました。しかし、東芝は、独自評価にもとづき、「具体的な根拠がない」(報告書)過少な損失額を採用。第三者委員会は、この会計処理は不適切で子会社側の数値を採用すべきだったとしました。
【東芝・佐々木副会長 法人税減と消費税増主張】
社長在任中に過大な収益目標を事業部門に課したと指摘された東芝の佐々木則夫副会長は、政府の産業競争力会議の民間議員や政府税制調査会の特別委員などを務め、大企業の目先の利益を増やす政策を追求してきました。2013~14年には経済財政諮問会議の民間議員にもなっていました。
政府税調では、「法人実効税率の引き下げがグローバル競争の中で不可欠」だと主張し、早急な「10%引き下げ」を迫る意見書を提出しました(14年4月14日)。
経済財政諮問会議では、「消費税率引き上げを整斉と進めていくことが肝要である」(13年7月30日)と、国民に負担を転嫁するよう要求。社会保障についても「公共、民間ともに負担が少なくなるような効率化、重点化をぜひお願いしたい」(13年2月5日)などと、大企業の保険料負担を減らすための費用削減を求めました。
政策決定にかかわる公職にこうした人物を任命した安倍晋三政権も責任を免れません。
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