伊方再稼働めぐる知事発言の深化
6月県議会の提案説明では、議案が少ないこともあれ、2期目の成果と課題について網羅的に発言している。その中での原発問題。
知事は「徐々に徐々に依存度」を減らすと繰り返しながら、様々な論戦を通じ、「理想は原発ゼロ」「脱原発の大きな方向性の維持」など表現を深化させてきている。今回「徐々に依存度を引き下げる」と変え、四国電力に対し「『原子力発電所が稼働していなくても電力の不足が生じていない今、なぜ再稼働が必要なのか』という県民の疑問に対し、説得力ある説明をもとめていく」と、強調した。
「先月20日、原子力規制委員会において、伊方発電所3号炉の発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査書案が取りまとめられるなど、再稼働に向けた手続きが進められているところであります。
原子力発電につきましては、私は、これまで申し上げてまいりましたとおり、脱原発に向けてその依存度を徐々に引き下げていくべきだと考えております。他方、その過程の中で、止むを得ず原子力発電所を再稼動せざるを得ない場面が出てくる可能性も否定できないものの、仮にそうした場合であっても、安全対策が万全であることが大前提である、との考えであります。
これまで、15回にわたる四国電力との勉強会を通じて伊方発電所の安全対策の徹底を求めてまいりました。勉強会では、県民の皆様が日頃から心配されている原子力発電の安全性に対する疑問点や、重大事故時の対策などについて質問し、真摯な回答を求めております。
引き続き、四国電力に対しましては、勉強会を通じて原子力発電所の安全対策に万全を期すよう求めていくとともに、「原子力発電所が稼働していなくても電力の不足が生じていない今、なぜ再稼働が必要なのか」といった原子力発電の必要性に関する県民の皆様の率直な疑問について、説得力のある説明を求めてまいります。」
→ 特に、経産省と電力会社の再生エネ接続可能量の推計が、伊方原発1-3号機をフル稼働させることを前提しており(老朽化した1.2号機の運転にも固執)、県の安全性、経済性、産業振興上の懸念に聞く耳をもたない電力会社の態度が、知事のより踏み込んだ言動の背景にある。
党県議団として、一貫して、情報提供的質問で、安全対策の問題点、経済対策としての問題点を明らかにすることで「徐々に徐々に」という知事の認識を一歩でも二歩でも前進できるような論戦に心がけてきた。
再稼働を認める立場で「けしからん」という接近の仕方はしていない。
・新規制基準の問題点 深層防護について指摘し「非常に大事」と答弁させ、基準地震動の低さ~入倉式と武村式の差、原発立地指針を廃棄した問題、実効ある避難計画がないなどなど
・発電ゼロでも膨大なコスト、原発ゼロなら値上げしなくても黒字との指摘に、知事は「原発が停止していた平成24年度のコストが574億円であることに照らすと、同程度の負担がかかり、多額の費用になると考えます」「これに加えて、万が一の事故がおこった場合の対応や、将来にわたって使用済核燃料を管理していく費用など原発に伴う社会的負担は大きいといえます」と答弁している。
・再生エネの契約保留問題 知事は「(再生エネ)対価をかける価値がある」「大いに普及」の立場で、受け入れ拡大に「四国電力に働きかけていく」と答弁。
県は、四国電力との勉強会を公開し、その席で、さまざまな疑問を提起し、説明をもとめることで、四電の姿勢をただしている。この手法自体が、住民自治の立場にたった極めて重要な接近の仕方である。
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