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「異次元金融緩和の2年 リフレ政策の帰結」(メモ)

「異次元金融緩和の2年 リフレ政策の帰結  小西一雄さん〔立教大学名誉教授〕に聞く」 「経済」2015年5月号から、前半の“明らかな失敗、この道しかないという「大本営発表」”、最後の方の“異次元の金融緩和がもたらす負の副作用”部分のメモ。

「マインド」に働きかける「政策」が、 経済の実態を認めず、「おだやかな回復基調」「この道しかない」といい続け、金融緩和を追加措置を強要し、外国人投資家・投機家の行動で、日本経済が左右される危険な淵に追い込んでいっている。負の影響など、簡潔ながらわかりやすい内容

 以下、備忘録

【異次元金融緩和の2年 リフレ政策の帰結】

 小西一雄さん〔立教大学名誉教授〕に聞く  「経済」2015年5月号
 インタビュー時期は1月 

◆明らかな失敗、この道しかないという「大本営発表」

1. 異次元金融緩和策は、成功だったか、失敗だったか

・異次元金融緩和策 2年間でマネタリーベース〔日銀の通貨供給量〕を2倍にし、2%の物価上昇率をめざすもの

→ 目標は達成できなかったが、本来、物価上昇が自己目的ではなかったはず/実体経済はどうなったか
<14年度の実質GDP>
1月の予測  -0.5  個人消費-2.7 住宅投資-10.7 設備投資1.2
設備投資はかろうじてプラスだが、13年度4%からの大幅ダウン

〔メモ者 インタビュー後の数値 〕

*5月確定値  -1.0  個人消費-2.9 住宅投資-11.9 設備投資0.1
→ 予測より悪化 〔最近の経済指標はどれも確定値がより悪化している〕

*実質賃金2015年4月 前々同月比-3.3
  厚労省の毎月勤労統計調査の4月速報 前年同月比 プラス0.1。
比較対象の14年4月は、-3.4%。
→ 異次元緩和などアベノミクスが本格的に開始された13年4月比で-3.3%と、低迷し続いている。

*有効求人倍率の高さ  
  増えたのは非正規。少子化も影響し、そもそも求職者が減っている。
  外食産業、福祉・介護など低賃金の職場の人手不足が倍率をたかめている。
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・結論=資産市場は膨らんだが、実体経済に波及せず、スタグフレーション〔インフレと不況の並存〕に陥っている。/ リーマンショック後の09年以来のマイナス成長/ 明らかな失敗

 → が、政府・日銀も「詐欺」に等しい発言を繰り返している
甘粕担当大臣 「穏やかな回復基調が続いているものの・・・」
黒田総裁 「ゆるやかな回復基調にある」

2.「ゆるやかな回復基調」なんていえない

・マスコミの突っ込みが弱い理由

①マイナス成長が消費増税の影響、それが長引いているとの見方が強い
②求人倍率が上がり、失業率が下がった。労働市場は改善している、との思い込み

~ だから、政府・日銀の「詐欺」を追及できない

・安倍内閣の誕生時期  2012年11月を谷とした景気の拡張期に入った時期
 → 戦後最短の景気拡張期間22ヶ月 /14年9月までは余程のことがない限り、景気拡張しても不思議でない
・が、14年 第2四半期、第3四半期 2期連続のマイナス
→ 「駆け込み需要があった」という第1四半期 売上高345兆円
13年第1四半期 327兆円  12年第1四半期 347兆円 と大きな変化なし

・バブル経済崩壊後 売上高がのびず、設備投資がのびない ~ 停滞基調がつづいている。
 → 安倍政権のもと、基調に変化がないばかりか、むしろ悪化
 → 停滞基調の中で、消費増税したので一気に悪化は当然 / 停滞基調という根本を見逃してはいけいない

・円安が行き過ぎて、物価が上昇 ~ コスト・プッシュ・インフレで中小企業の経営を圧迫

・労働需給の改善も、非正規の増加 / 介護職、外食産業など低賃金の業種が人手不足で、求人倍率が上昇
 → だから、実質賃金 18ヶ月連続マイナス 

☆増税の影響が吸収されれば景気は回復基調に戻る、というのは根拠がない
→ 確かなのは、円安を主因とするコスト・プッシュ・インフレと売上高・設備投資の低迷による実態経済の縮小という
  軽微のスタグフレーション状況に陥っていること / アベノミクスは完全に失敗していること

3.「現実」を認めることができない異次元緩和策

・異次元緩和政策の特徴~デフレマインド(今後も景気が悪くなり物価がさがるのではないかという心理状態)に働きかけ、予想インフレ率を高める、そして実質金利を下げる。(メモ者 そして、お金の価値の切り下げを避けるために、消費が活発になり、経済が拡大する)
→ マインド、予想がカギを握るので、マインドを冷やす発言はできない ~ 「大本営発表」と同じ

・昨年10月31日の金融の追加緩和も、「2%の物価上昇」が見込めないことがハッキリしたが、ここで撤退したら、インフレ期待のマインドがしぼむとして、5対4という僅差で強行。

・マインドに働きかける「理論」ゆえ、経済指標がいくら悪くなっても「ゆるやかな回復基調」、「この道しかない」といい続けるしかない。

(メモ者  「原油安」を言い訳にするのは「理論」の破綻~リフレ派の「理論」は、 物価水準を規定するのはマネーの量であり、原油価格が下落すれば、余裕のできた分を他の支出に回すことで、全体の物価水準は下がらない、としている。)

◆ 異次元の金融緩和がもたらす負の副作用

1.破綻の影響

①金融資本市場の麻痺

・日銀の金融政策の主戦場であった短期金融市場・・・ ゼロ金利、実質マイナス金利/これ以上の緩和不可能
→ 異次元緩和では金利引き上げは考えられない。/アメリカは「出口戦略」をとっているが、日本はない。

・長期国債の金利である長期金利・・・日銀の国債大量購入で、国債は値上がり、金利は下落
→ その過程で長期債市場は金利が乱高下しやすい市場構造になり、流動性が低下
→ 本来は規模の大きい市場 /が、日銀が新発債と同じ額の80兆円の既発債を毎年購入するので、民間人の取引市場はかえって小さくなっている / 小さな需給変動でも、価格変動、金利の乱高下する構造に変化
~ 1割程度の国債しか保有してない外国人投資家でも、条件によっては、価格の乱高下をつくれる
→ 10/31政策決定会合で、4人の審議委員が規制緩和に反対した理由の1つが「流動性が著しく損なう」

②マネタイゼーションの問題

・日銀が通貨を発行し、国債を買って政府の財政赤字を解消することの是非
→ 異次元緩和をつづけると、日銀のバランスシートが悪化、国債の流動性が低くなって、国債の暴落が起きるかもしれない。/ 1度は徹底的に買い支えて持ちこたえても、政府・日銀も身動きがとれなくなる
→ 社会保障の抑制、増税で、財政赤字を減らす方向しかないと、いっそう強引な政治となる危険性

③歴史的な円安水準 ~ 身動きがとれない分岐点

・07年6、7月「歴史的な円安」 
対ドル直物相場 1ドル122円64銭、121円56円
円の実質実効為替レート指数(2010年=100) 79.83、79.36 ~ 「歴史的な円安」の根拠

・現在、円相場116円70.25   「歴史的水準」(メモ者 追加融資決定後に、70台半ばから70前後に低下)
→ 07年 輸出増を軸に景気拡大。 現在 マイナス成長、貿易赤字過去最大の中の円安
→ 輸出産業は、円建て利益の増大で、株高に。が、コスト・プッシュ・インフレで中小企業経営の悪化、消費の減少

2. 外国人投資家・投機家の行動で、日本の経済が左右される危うい状況

・円安がこれ以上進めば、負の影響が拡大 / 円高になれば、アベノミクスの虚構が剥がれ、輸出企業の収益悪化と株価下落を伴いながら、負の効果をもたらす

→ これ以上の円安も、円高に反転しても問題だという分岐点となる水準に至った

→ 外国人投資家・投機家の行動で、日本の経済が左右される危うい状況にある/ これが、リフレ派の異次元緩和がもたらした現実の危険性

・が、実態経済は、スタグフレーションの様相を示しているにもかかわらず、外国人投資家のマインドを刺激しつづけるしかない 
→ 「第一の矢」は、投機マネーとの対話政策という、異次元の「実験」、学会でも異端の切羽詰った対策

◆経済のあり方 転換を求めている

・脱却の方法~労働のあり方の改革がカギ   ILO ディーセントワーク /OECDレポート「格差と成長」
・そして、利潤第一主義を超えて、非営利型(介護・医療、福祉、教育)の分野が重要になる

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