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「沖縄の声、米大統領に伝えよ」  知事首相会談

  「戦後、銃剣とブルドーザーで強制接収された」と、歴史的経緯や不平等性を訴え、「土地を奪っておきながら、老朽化したとか、世界一危険だからとか、嫌なら代替案を出せというのは、こんな理不尽なことはない」「知事をはじめ沖縄県民が明確に反対していることをオバマ大統領に伝えてほしい」
 政治家としての格の違いを見せつけた。

【社説[翁長・安倍会談] 「辺野古」新たな段階へ 沖縄タイムス4/18】

【<社説>知事首相会談 「圧倒的な民意」は明白 辺野古断念こそ現実的だ 琉球新報4/18】

【社説[翁長・安倍会談] 「辺野古」新たな段階へ 沖縄タイムス4/18】

 翁長雄志知事と安倍晋三首相は17日、首相官邸で会談した。日米首脳会談を今月末に控え初めて実現した両者の会談である。翁長氏は、名護市辺野古の新基地建設に反対する沖縄の声をオバマ大統領に伝えるよう首相に要請した。首相はこれに応え、沖縄の民意をオバマ氏に正確に伝えなければならない。
 知事就任以来4カ月余り。ようやく訪れた安倍首相との直接対話の機会だった。翁長氏は、「絶対に辺野古に新基地は造らせない」と明言。1国の首相に対し、これほど毅然(きぜん)と「基地ノー」の意思を主張した知事はいただろうか。沖縄にとってきわめて意義深い、画期的な会談となった。
 翁長氏は、政府が前知事の埋め立て承認を唯一のよりどころとして移設作業を強行していることに「県外移設の公約をかなぐり捨てた承認」だと正当性に疑問を呈した。
 また「辺野古基地ができない場合本当に普天間は固定化されるのか」。5年以内の運用停止は「埋め立て承認というハードルを越えるための空手形ではないか」と政府を追及した。
 沖縄の米軍基地について「戦後、銃剣とブルドーザーで強制接収された」と、歴史的経緯や不平等性を訴え、「土地を奪っておきながら、老朽化したとか、世界一危険だからとか、嫌なら代替案を出せというのは、こんな理不尽なことはない」と強く反発した。戦後一貫して日米安保の過重な負担を押し付けられたウチナーンチュの思いを、明快な言葉で表現した。

    ■    ■

 安倍首相が「辺野古への移転が唯一の解決策である」と従来の考えを繰り返したことについても翁長氏は異論を展開。「安倍首相は、固定観念に縛られず、まずは辺野古への移設作業を中止することを決断してほしい」と求めた。
 強力な政治のリーダーシップがあれば政策の変更は可能である。選択肢のない政策などあり得ない。これこそ翁長氏が5日の菅義偉官房長官との会談でも指摘した「政治の堕落」である。
 政府が、1999年に当時の稲嶺恵一知事と岸本建男名護市長の受け入れ表明を受け、閣議決定がなされたと移設の正当性を主張していることについても翁長氏は反論した。
 稲嶺知事は代替施設の軍民共用や15年使用期限、岸本市長も基地使用協定締結などを前提条件としていたが、その後、政府は県との協議もないまま閣議決定をほごにした。翁長氏は「前提条件がないことになり、受け入れたというのは間違いだ」と、政府の都合のいい解釈を断じた。

    ■    ■

 政府は、日米首脳会談で確実に沖縄の声を米側に伝えるべきだ。もし伝えずに両政府が首脳会談で辺野古推進を確認するようなことがあれば、「沖縄切り捨て」と見ざるを得ない。沖縄の声を無視して移設を強行することがあれば逆に日米関係にさまざまなマイナスが生じるだろう。
 翁長氏は菅氏や首相との会談で沖縄の声を代弁し、求心力をこれまで以上に高めている。辺野古移設問題は新たな段階に入ったといえる。

【<社説>知事首相会談 「圧倒的な民意」は明白 辺野古断念こそ現実的だ 琉球新報4/18】

 知事の言葉一つ一つに県民の思いが込もっていた。歴史的な会談と評価していい。
 翁長雄志知事が安倍晋三首相と会談した。何より最後の一言が大きい。知事は、米軍普天間飛行場の辺野古移設について「知事をはじめ沖縄県民が明確に反対していることをオバマ大統領に伝えてほしい」とくぎを刺したのだ。
 この会談を首相は「移設へ向けた進展」と米国へ説明する材料に使うと目されていた。知事はそれを警戒したのだろう。この発言でそんな偽装は不可能になった。
 首相は会談を新基地建設の免罪符に使ってはならない。知事の言う通り移設作業を中止すべきだ。

◆「固定観念」

 首相はこの日も「辺野古(移設)が唯一の解決策」と繰り返した。知事選、市長選、衆院選で反対派が全勝した昨年の選挙は、まさに知事が述べた通り「圧倒的な民意」である。その県民の度重なる意思表示を経てもなお、「辺野古が唯一」と繰り返すのは、知事の評した通り「かたくな」だ。民主国家にあるまじき姿勢である。
 知事は「(辺野古が唯一という)固定観念に縛られず、移設作業を中止してほしい」と求めた。民意に照らし当然の要求だろう。
 現防衛相の中谷元氏は昨年、「沖縄の基地を分散しようと思えば九州へも分散できるが、反対が大きくてできない」と述べていた。他県は反対があるから移設しないが、沖縄はいくら反対しても移設を強行するというわけである。これがダブルスタンダードでなくて何であろうか。
 元防衛相の森本敏氏も同じ趣旨のことを在任中に述べている。最近も「海兵隊が沖縄にいなければ抑止にならないというのは軍事的には間違いだ」と明言した。県外移設でも何ら支障がないことを担当大臣の発言は証明している。首相らの言う「辺野古が唯一」論はとうに破綻しているのである。
 菅義偉官房長官が繰り返す「16年前に沖縄も同意した」という主張のウソを知事が指摘したのも痛快だった。
 1999年に閣議決定した計画は、政府が2006年に破棄し現計画に変更した。政府自ら破棄しておいて「16年前に同意」とは詐称に等しい。
 しかも16年前は、軍民共用でかつ15年後には基地として使用してはならないというのが絶対条件だった。使用期限が受け入れられなければ容認は撤回すると当時の市長も明言していた。
 だが現計画になり、軍民共用も使用期限も雲散霧消した。これで「地元も受け入れていた」と称するのは虚言以外の何物でもない。

◆倒錯の論理

 16年前の計画も、使用期限は米側が同意する見込みがなかったから、いずれ計画が破綻するのは明らかだった。政府が閣議決定を破棄したのはそんな行き詰まりも背景にある。沖縄側が容認を撤回するのは時間の問題だったのだ。
 会談で首相は現計画が普天間の危険性除去になると強調した。
 だが辺野古移設では、県民の頭上を危険な物体が飛び、爆音をまき散らし、軍による犯罪が日常的に発生する事態は何ら変わらない。これが「危険性の除去」にならないのは、子どもでも分かる。
 普天間移設は沖縄の基地負担軽減がそもそもの出発点だったはずだ。基地を沖縄から沖縄へ移すのが解決策と主張するのは、どう見ても倒錯した論理である。
 政府は沖縄の反対が極論であるかのように言うが、普天間飛行場をなくしたところで、国内の米軍専用基地の沖縄への集中度は73・8%から73・4%へ、わずか0・4ポイント下がるにすぎない。これが過大な要求だろうか。
 世論調査では県民の6割から8割は常に県外・国外移転を求める。辺野古でいいとするのはせいぜい十数%だ。20年間もそうなのだから、今後も賛成が上回るなどあり得ない。辺野古新基地を断念することこそ現実的である。政府はその現実を直視すべきだ。

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