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増えていなかった2014年の所定内給与  毎月勤労統計

 第一生命経済研究所 経済調査部のレポート。

  「今回サプライズだったのは、過去の値の遡及改訂結果だ。 これまでのエコノミストの認識としては、『所定内給与は2014 年6月以降、小幅ながら増加』というものだったのだが、今回の改訂では全面的な下方修正が実施され、『2014 年の所定内給与は全く増加していなかった』という姿に変わってしまった。」とし、「2015年度の所定内給与も大幅改善は期待薄?」としている。

≪ 2014 年(暦年)平均  前年度比 ≫
・所定内給与   旧指数 0.0%、新指数 ▲0.4%
・現金給与総額 旧  :+0.8%、新 :+0.4%
・実質賃金    旧 :▲2.5%、新 :▲2.8%

【増えていなかった2014年の所定内給与 ~過去の賃金指数が下方修正され、2014年の所定内給与は減少へと姿が変わった~第一生命経済研究所 4/3】
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/macro/2015/shin150403.pdf


○ 遡及改訂の原因
今回の遡及改訂をもたらしたのは、規模30人以上事業所の抽出替えに際して実施されたギャップ(断層)修正だ。以下、簡単に説明しよう。
毎月勤労統計では、規模30人以上事業所について、調査対象事業所を3年間固定している。これにより、時系列的な比較が可能になる。もっとも、調査サンプルを固定することにはデメリットもある。サンプルを固定することにより、時間の経過により相対的に開設時期の古い事業所が多く対象となり、新設された事業所の状況が反映されにくくなってしまうという問題点があるため、集計結果が経済実態とずれてしまう可能性がある。
これを防ぐため、毎月勤労統計では約3年ごとに規模30人以上事業所のサンプル替えを行っている。これにより、より実態に近い値が集計できると期待されるのだが、一方、旧サンプルと新サンプルでは当然のことながら賃金等の水準が異なるため、このギャップをどうするかが問題になる。そのため、厚生労働省では、時系列的な比較を行えるようにするため、新旧サンプルの間のズレについて調整を行っている。これがギャップ修正と言われる作業である。なお、新旧サンプルの差については、(今回で言えば)2015年1月になって急に乖離が生まれたわけではなく、過去3年間において累積的にズレが生じてきたものと考える。そのため、今回の改訂では2015年1月だけにとどまらず、過去3年間について遡及的に指数が改訂されている。これが、今回の改訂のあらましである。


○ 2015年度の所定内給与も大幅改善は期待薄?
このように、2014年の所定内給与は増えていなかったということが示されたわけだが、不幸中の幸いは、2015年1月は前年比+0.2%、2月は+0.5%と、2015年入り以降は所定内給与がプラスに転じていることである。所定内給与が足元においてもなお減少を続けているというわけではないようだ。また、今年の春闘では、昨年以上のベースアップが実施されることが示唆されており、2015年春以降の所定内給与は増加幅を高めていくことが期待できるだろう。
とはいえ、今回の改訂で、そもそもの目線が切り下がったことは事実だ。2015年度の所定内給与では2014年度対比改善が見込まれるが、そもそもの2014年の所定内給与自体が増えていなかったわけであり、2015年度の所定内給与について大幅な改善を期待することは難しくなった。これまで想定されていたよりも、2015年度の所定内給与は伸びが高まらないのかもしれない。公表日の延期や突然の公表といい、遡及改定の内容といい、なんとも人騒がせな今回の毎月勤労統計だった。


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