2015年度地方予算のスケッチ
地方予算の特徴について、総務省の資料などから予備的スケッチ。
後半に、「地方財政」「地方創生」について以下の備忘録
「消費税増税下の地方財政と2015地方予算」 平岡和久 経済2015.2
「地方創生」で地域は再生するか」 岡田知弘・京都大教授 前衛2015.2 より「対抗軸」の部分
○実際の財政をあらわす「一般財源総額」は、61.5兆円で、1.2兆円増
増加原因~ 地方税収増、消費税8%満額、「まち・ひと・しごと創生事業費」1兆円の新設 ~ パラレルの関係として交付税減少。
~ 総額が増えたうえに、防災、地域経済、過疎地対策など、使える施策もすくなくない。
例えば、 防災予算の増額、集落ネットワーク圏の形成 4億円 ( 新規)
・参考 補正 地域住民生活等緊急支援のための交付金(仮称)[地方創生先行型] 〔1,700億円〕、)[地域消費喚起・生活支援型] 〔2,500億円〕
○臨財債1.1兆円減の4.5兆円 ~ 地方財源の消費税増収分のうち「赤字」の穴埋めが2/3。10%分4.3兆円のうち3兆円 /増税したが、交付税の仕組み、経費増、子ども支援制度増分により地方財源は大して改善しない。
○道州制を視野に入れた計画 「連携中核都市圏」形成 2億円 公共施設等最適化事業費(仮称)1,000 億円、国家戦略特区における「地方創生特区」
○交付税制度の変質 ①内閣府 地域再生戦略交付金 50億円 ~ 新交付金1/2、交付税1/2という、交付税を組み込んだもの ②まち・ひと・しごと創生事業交付税措置 人口基本に成果を反映 ~政策誘導に
○防災など公共事業拡大、社会保障は抑制
・公共事業費の維持〔全国防災事業、 「防災・安全交付金」 増〕。
・成長戦略の一環として「まち・ひと・しごと創生事業」。
・義務的経費を含む聖域なき歳出削減 〔医療・介護など社会保障給付見直し、生活保護削減。民間資金によるインフラ整備なと〕
○ 改革の推進/ 歳出の重点化・効率化、公営企業・第三セクターの効率化・財政健全化、簡易水道・下水道事業等への公営企業会計導入、新公立病院改革ガイドラインの策定、「公共施設等総合管理計画」の策定推進など
【平成27 年度地方財政対策の概要 総務省自治財政局】
【平成26年度補正予算の概要 財務省】
【平成27 年度地方財政対策の概要 総務省】1. 全体の姿
■通常分
・ 一般財源総額61兆5,485億円( 同 +1兆1,908億円、+2.0%)
・水準超経費除き 60兆1,685億円 ( 同 + 7,408億円、 +1.2%)
・地方交付税の総額 16兆7,548億円(㉖16兆8,855億円、 ▲ 1,307億円、▲ 0.8%)
・地方税及び地方譲与税 40兆1,773億円(㉖37兆7,691億円、+2兆4,082億円、+ 6.4%)
・臨時財政対策債 4兆5,250億円(㉖ 5兆5,952億円、▲1兆 702億円、▲ 19.1%)■東日本分
(1)復旧・復興事業
・ 震災復興特別交付税 5,898 億円 (㉖ 5,723 億円、+ 175 億円、 +3.1%)
・ 規模 2 兆 100 億円程度(㉖1 兆 9,617 億円、+ 400 億円 程度、+ 2.3% 程度)
(2)全国防災事業
直轄・補助事業 3,900 億円程度(㉖ 1,719 億円、+2,200 億円程度、+128.2%程度)2.通常分
■ まち・ひと・しごと創生事業費(仮称) 1.0 兆円(皆増)
・ 既存の歳出の振替え 0.5 兆円
(地域の元気創造事業費(㉖0.35 兆円)の全額、歳出特別枠(㉖1.2 兆円)の一部(0.15 兆円))
・ 新規の財源確保 0.5 兆円
法人住民税法人税割の交付税原資化に伴う偏在是正効果 0.1 兆円
地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用 0.3 兆円
過去の投資抑制による公債費減に伴い生じる一般財源の活用 0.1 兆円
※ 今後、偏在是正を更に進めること等により恒久財源を確保する方針■地方債 ・通常債4 兆1,959 億円 (前年度比 + 141 億円、+ 0.3%)
■.地方交付税
・交付税原資の安定性の向上・充実を図るため地方交付税の法定率を見直した上で、総額を適切に確保
所得税 法人税 消費税 酒税 たばこ税 地方法人税
現 行 32.0% 34.0% 22.3% 32% 25% 100%
改正案 33.1% 33.1% 22.3% 50% - 100%
<参考> 見直しによる法定率分の増 900 億円程度■ 歳出特別枠・交付税の別枠加算の確保
・ まち・ひと・しごと創生及び公共施設の老朽化対策のための経費に係る歳出を重点的に確保(3,500 億円)した上で、同額を歳出特別枠(地域経済基盤強化・雇用等対策費)から減額(実質的に前年度水準を確保)
・ 交付税の別枠加算については、地方税収の状況を踏まえて、一部を縮小しつつ、必要な額を確保
〔総務省 交付税法定率見直しまでの臨時措置の位置づけ〕
〇 地域経済基盤強化・雇用等対策費 8,450 億円(㉖1 兆1,950 億円)
〇 別枠の加算 2,300 億円(㉖ 6,100 億円)■地方財政の健全化
・ 一般財源総額を確保した上で、臨時財政対策債を大幅に抑制(前年度比 ▲1兆702億円)
・ 交付税特別会計借入金を償還 3,000億円 ( 同 +1,000億円)
〇 臨時財政対策債の発行額
・折半ルール分 1 兆4,529 億円(前年度比 ▲1 兆1,909 億円、▲ 45.0%)
・元利償還金分等 3 兆 720 億円( 同 + 1,207 億円、+ 4.1%)■公共施設の老朽化対策の推進
・ 公共施設等総合管理計画に基づき実施する公共施設の集約化・複合化、転用、除却のために必要な経費として地方財政計画の投資的経費に「公共施設等最適化事業費(仮称)」を計上
・ 公共施設等の維持補修費を増額
〇 公共施設等最適化事業費(仮称) 1,000 億円(皆増)
〇 維持補修費1 兆1,600 億円程度(+1,200 億円程度、㉖1 兆357 億円)■社会保障の充実
〇 社会保障の充実分等の事業費(公費負担)
・社会保障の充実分 1 兆3,517 億円(㉖4,962 億円)
・社会保障4経費の公経済負担増分 3,537 億円(㉖2,318 億円)
*「地方少子化対策交付金」は継続[13年度補正で新設] [高知県 30億円の維持]3. まち・ひと・しごと創生事業
■財源
・普通交付税において、各地方公共団体がまち・ひと・しごと創生に取り組むための財政需要を、既存の「地域の元気創造事業費」(㉖創設)及び新たに創設する「人口減少等特別対策事業費(仮称)」により算定
・「人口減少等特別対策事業費(仮称)」の算定に当たっては、人口を基本とした上で、まち・ひと・しごと創生の「取組の必要度」及び「取組の成果」を反映
・「地域の元気創造事業費」については、現行の算定方法を基本的に継続○算定指標案
・取組の必要度 (現状の指標が悪い団体に割増し)
人口増減率
転入者人口比率
転出者人口比率
年少者人口比率
自然増減率
若年者就業率
女性就業率
有効求人倍率
一人当たり各産業の売上高(*)
(*) 第一次産業(農業)産出額、製造品出荷額、小売業年間商品販売額、卸売業年間商品販売額の合計・取組の成果 (指標を改善させた団体に割増し)
人口増減率
転入者人口比率
転出者人口比率
年少者人口比率
自然増減率
若年者就業率
女性就業率4. 公共施設の老朽化対策
■.地方財政措置
(1)集約化・複合化事業に係る地方債措置(公共施設最適化事業債(仮称))の創設
【対象】
公共施設等総合管理計画に基づいて実施される既存の公共施設の集約化・複合化事業であって、全体として延床面積が減少するもの(庁舎等の公用施設や公営住宅、公営企業施設等は対象外)
【充当率等】
・充当率:90%、交付税算入率:50%
・期間:平成29年度まで
・平成27年度地方債計画計上額:410億円(事業費ベース:450億円)(2)転用事業に係る地方債措置の創設(地域活性化事業債の拡充)
【対象】
公共施設等総合管理計画に基づいて実施される既存の公共施設等の転用事業(転用後の施設が庁舎等の公用施設、公営住宅、公営企業施設等である場合は対象外)【充当率等】
・充当率:90%、交付税算入率:30%
・期間:平成29年度まで
・平成27年度地方債計画計上額:90億円(事業費ベース:100億円)
(3)公共施設等の除却についての地方債の特例措置(平成26年度創設、継続)
・充当率:75%(資金手当)5. 社会保障
■少子化対策公費負担:5,189億円(国:2,392億円、地方:2,797億円) (前年度比+2,129億円)
(前年度公費負担:3,060億円(国:1,444億円、地方:1,616億円))【主な項目】
・量的拡充(待機児童解消加速化プランの推進等) 公費負担:3,097億円(国:1,277億円、地方:1,820億円)
・質の改善(職員配置の改善、職員給与の改善等) 公費負担:2,030億円(国:1,059億円、地方: 971億円)■医療・介護公費負担:8,410億円(国:4,374億円、地方:4,036億円)(前年度比+6,518億円)
(前年度公費負担:1,892億円(国: 795億円、地方:1,097億円))【主な項目】
(医療、国保関係)
・地域医療介護総合確保基金(医療分) 公費負担: 904億円(国: 602億円、地方:301億円)
・国保の保険者支援の拡充公費負担:1,864億円(国:1,032億円、地方:832億円)
(介護関係)
・地域医療介護総合確保基金(介護分) 公費負担: 724億円(国: 483億円、地方:241億円)
・介護報酬の見直し(介護職員の処遇改善等) 公費負担:1,051億円(国: 531億円、地方:520億円)
・地域包括ケアシステムの充実等の地域支援事業の拡充公費負担: 236億円(国: 118億円、地方:118億円)
・介護保険の1号保険料の低所得者軽減強化公費負担: 221億円(国: 110億円、地方:110億円)■年金公費負担:20億円(国:20億円)(前年度比+10億円)
(前年度公費負担:10億円(国:10億円))↓
■社会保障の充実の合計(※) 公費負担:13,517億円(国:6,963億円、地方:6,554億円)
(前年度公費負担:4,962億円(国:2,249億円、地方:2,713億円))(※)簡素な給付措置(臨時福祉給付金)及び重点化・効率化による財政効果分を含む
<その他、社会保障4経費の公経済負担増分(地方分)として、885億円がある。>6 公立病院改革
■方向性
・ 地方公共団体に対し、新たな公立病院改革プランの策定を要請
・ 都道府県の策定する地域医療構想を踏まえ、公立病院が果たすべき役割を明確化
するとともに、経営効率化や病院間の再編等を推進■財政措置
公立病院の再編・ネットワーク化に係る施設・設備の整備について、病院事業債(特別分)を創設。その元利償還金の40%について地方交付税措置を講じる。 / 地方交付税措置については、病床割を廃止し事業割に統一。○現在 30%地方交付税措置 → 改定 通常の整備 25%
再編めネットワーク化 40%
○公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価:㉖707千円)の算定基礎を、許可病床数から稼働病床数に見直す等、所要の見直し。
【消費税増税下の地方財政と2015地方予算 平岡和久 経済2015.2】アベノミクスの「三本の矢」。なかでも財政政策は、大型補正予算とあわせ、公共事業を中心に自治体の事業実施を促進する財政措置がとられた。
■自治体決算にもる安倍政権下の地方財政
○地方公共団体普通会計決算における歳出総額
・09年度 リーマンショック対策 6.4兆円増加
・10年度以降、減少に (震災分を除けば12年度まで)
・13年度 増加に転じたが、震災分を除けば10年度水準に届かず○地方公共団体普通会計決算における歳出における投資的経費
・09年度 1.3兆円増加
・10年度以降、減少。12年度は、震災分を含めても09年度より低下
・13年度 震災分を含めて、09年度をやや上回る/ 震災分のぞけば10年度よりやや低い~ つまり、「第二の矢」は、実質的にあまり飛ばず
○普通会計決算の目的別支出 民生費、土木費など 、
①民生費
・08-11年度増 17.8兆円→ 22.1兆円
・12、13年度横ばい 22.4兆円 /子ども手当ての改変、生活保護費抑制などの影響②土木費
・震災分を除けば、10年度以降横ばい、低下
09年1.3兆円、10年12.0兆円、11年11.1兆円、12年10.7兆円、13年11.5兆円③人件費
・08年度以降一貫して減 24.6兆円→22.1兆円
13年度、復興財件としての給与減の地財計画の影響④事業未消化による繰越財源の増加
・09年度 8145億円 → 13年度1兆7300億円 /9千億円増
・実質収支黒字も、08-13年度で、約5千億円の増→ 自治体リストラによる担当職員不足、建設土木企業の能力(特に技術職不足)、工賃の高騰、円安による資材の高騰などを要因にした、事業計画の遅延、入札不調め不落の続発
○小活 「第二の矢」は飛ばす、効果は限定的。一方、人件費、民生費の歳出抑制で、住民福祉にとって厳しいものになっている。
■消費税増税下での14年度地方財政
○14年度当初予算+13年度補正予算 前年度に続き100兆円超え
・ 13年度と異なる面 消費税増税の実施。増税に対する追加景気対策による膨張
・子育て支援関係等の増加分を除けば社会保障関係費は抑制 / 公共事業費、軍事費は増加 ~ 「大国化」をめざす政権の性格が色濃くあらよれた予算○地方財政
・給与関係費の実質減、一般行政経費の微減 /消費税増税にともなう経費増、公共事業拡大への対応を行う
~ 地方消費税分(8%のうち1.7%相当) の税収増があるが、限定的(交付税の仕組み、経費増など)
・ 交付税による行革誘導 ~ 「地域の元気創造事業費」3500億円。うち行革3000億円、経済500億円◎地方消費税分で財政にプラスならず
・10%増税の場合 地方消費税分と交付税法定率分の像で、地方財源は4.3兆円増
→ が、3兆円近くは、交付税特例加算や臨財債を減らす費用 /大半は、国、地方の公債発行等の抑制
→ 不交付団体の水準超経費分の増加を除いた交付団体でみれば、1.1兆円増
・増税による経費増2-3千億円を差し引くし 8-9千億円
→ 子育て支援の拡充分への対応をおこなえば、余裕はない・消費税増税にともなう財政格差の是正
そのまなら、不交付団体は、増税分がそのまま増収。交付団体は、75%が基準財政収入額として交付税と相殺
→ 法人住民税の1部を国税化〔地方法人税〕し、消費増税までの臨時的経過措置の「地方法人税特別税」1.8兆円のうち、1.2兆円を継続 / 不交付団体の増収分を吸い上げて、不交付団体に再配分《県内の自治体アンケートより~ 消費税増収分 》
14年度は、増税分8兆円のうち、企業会計の決算日の関係で5兆円を経常
・高知県13.5億円、高知市4.5億円◎「地方創生」先取りのモデル事業も
・合併特例終了〔算定替の総計9500億円〕の対策
支所維持費用、面積・人口密度の基準の見直し/ 4-5割分を手当て 14年度から5年かけて実行
・ 「広域連携推進」 中核拠点都市に連携協定の締結を条件に財政措置/モデル事業として1.3億円■ 「地方創生」で15年度地方予算はどうなるか
○「骨太2014」
・数年で法人実効税率を20%まで引き下げる/ 15-16年は、3.29%〔1兆5千億円超〕減
・第一、第二の矢の継続/ 一方、義務的経費を含む聖域なき歳出削減 〔医療・介護など社会保障給付見直し、生活保護削減、民間資金によるインフラ整備なと〕
・地方財政 改革の推進/ 歳出の重点化・効率化、公営企業・第三セクターの効率化・財政健全化、簡易水道・下水道事業等への公営企業会計導入、新公立病院改革ガイドラインの策定、「公共施設等総合管理計画」の策定推進など・15年度予算編成に向けた基本的考え
①中期財政計画にそった努力 ②消費税10%の判断の実施 ③「人口急減・超高齢化」に対し、2020年度をめどに制度・システム改革の打ち出す、とし、「成長戦略」の一環として重要課題に ~ 地方創生本部の設置、新型交付金の創設、「集約化・活性化」、民間資金・ノウハウの大胆な導入、中核拠点都市圏の形成を図る。◎財務省と総務省のバトルの末
・財務省「財政制度審議会」の「財政健全化に向けた基本的考え方」〔5/30〕
地財計画の歳出、一般財源ベースで2.2兆円削減可能するとともに、交付税特別加算の廃止
・総務省「地方財政審議会」の「地域の元気づくりにむけた地方税財政改革についての意見」〔6/5〕
地域経済活性化、分権の観点から一般財源総額の充実と交付税所要額の確保 / 交付税法廷率の引き上げと、別枠加算は法定率引き上げが行われないなかでの措置の解釈そうしたバトルを経て、7月に閣議で了承
★ 15年度予算の概算要求基準の概要
①年金・医療等 自然増〔8300億円〕を加算した範囲内で要求。内容を精査し合理化・効率化に最大権取り組む
②地方交付税 「中期財政計画」との整合性 /15年度 基礎的財政収支の赤字の対GDP比を10年度から半減、2020年度の黒字化との整合性。ただし14年7月内閣府試算ではなお1.1兆円赤字
③義務的経費 前年度同額の範囲内。そのうえで聖域なく抜本見直し
④復興対策 真に必要な経費を要求。「新しい東北」の創造と経済の好循環をめざす
⑤その他(裁量的経費) 前年度予算額の90/100内で要求
⑥「新しい日本のための優先課題推進枠」
各省は、要望基礎額の30/100の範囲内(約4兆円)で要望
◎「地方創生のための交付金」創設で新たな歪み
・内閣府 主にソフト事業の交付金制度を要求 ~ 新交付金1/2、交付税1/2という、交付税を組み込んだ新たなスキーム~「がんばった自治体が報われるメリハリつけた交付税制度。
→ 「自由度が高い」といいながら「ばらまきにならない」という「理由」で、政策誘導に使われるおそれが強い /地方の自由財源としての交付税の性格がゆがめられる・総務省の概算要求
一般地方財源の確保、地方財政の「健全化」の重視。具体的には
①公共施設等総合管理計画の策定 → 「地方中核拠点都市」への集約化の手段。周辺部の統廃合の加速
②公営企業会計の適用拡大 下水道会計、簡易水道会計への適用。過疎地域等での住民負担増の懸念
③公営企業・第三セクターの経営健全化・「地方創生」の規制改革 国家戦略特区における「地方創生特区」
→ 小泉内閣の「特区」は、地方発。安倍「特区」は、国家戦略として上からの指定
→ 規制改革による「成長戦略」の末端の位置づけ★地方の声に「配慮」しながら、規制改革、「集約化」路線の一環であり、「農村たたみ」、自治体「集約化」、道州制の地ならしとしての「地方創生」に地域の未来はない/ 持続可能な社会をつくる内発的な地域再生が必要。
【「地方創生」で地域は再生するか 岡田知弘・京都大教授】「地方創生」~いっせい地方選対策というだけでなく、「自治体消滅」というショックドクトリン(増田氏。第一次安倍内閣の総務大臣!)で、自治体の集約化、そして道州制という「究極のリストラ」推進、財界奉仕の国づくりをすすめるための中長期的な仕組み
Ⅳ 「地方創生」の根本的矛盾と対抗
(1)「地方創生」の根本矛盾
・「増田レポート」の最大の問題 → 急速な人口減少、少子化が進み、地域経済が「地方」だけてなく、大都市においても衰退したかという原因分析がない。/ 分析なくして正しい処方箋は書けない
①少子化の最大の要因 若者のワーキングプアの拡大
・ 非正規雇用の拡大など青年労働者の不安定就業化、低所得化、長時間労働化が進行。結婚、子育てできる環境の崩壊 /30歳代の男性の既婚率 年収300万未満(9.3%/500万円以上 35-37% )、非正規雇用(4.1% /正規 29.3%)
→ 若者貧困層がもっとも集積しているのが東京圏。 その結果、東京の合計特殊出生率は全国最低
・労働規制緩和はさらに悪化させる。②暮らしを支え、人口の再生産力を規定する地域産業と地方自治体を「構造改革」で破壊
・「グローバル国家」推進で、多国籍企業の海外移転と農林水産物、鉱産物、中小企業製品の輸入拡大、大型店の規制撤廃
・「地方分権改革」~「平成の大合併」、三位一体改革~ 特に大規模合併自治体の縁辺部で衰退と人口減の加速
→ 比較的、出生率の高い地方都市が衰退
・農業・医療の「構造改革」、TPP推進、地方拠点都市への集約化で、いっそう悪化する。*大都市への利益が集中するシステム 地方から海外へ
地方中核都市には、東京本社の大企業の分工場、支店、大型店、支社が進出。地域経済で生み出された経済的果実を本社に還流させる構造。/地域で賃金、原材料価格を引き下げることで、上積みされた利潤部分が本社に移転。税金も地元にあまり還流しない。
→ 現在、分工場、支店、大型店、支社の撤退、海外移転で、地方都市が苦しんでいる。・米価暴落 需給調整を放棄、市場まかせの政策へ転換 ~ 米価暴落を放置、5000億円のコメの減収に有効な手立て打たず。/ 大規模農業生産法人も赤字に / 「農村所得倍増計画」は、「絵に描いた餅」
③災害の時代 90年代半ば以降の活発化
・被災地では「平成の大合併」で役場のなくなった周辺部で災害対応力、復興力が著しく衰退/被害の長期深刻化
・地方創生~ 20万都市への集約化の矛盾 / 人口では53%占めるが、国土面積の11.5%
→ 9割の国土を保全している小規模自治体への行政投資を削減し、拠点都市ほの「集約化」がすすめば、ますます災害に弱い国土、食料・水・空気の安定供給が絶たれね大都市のリスクを高める、という根本的な矛盾(2)対抗軸の形成
・小規模自治体の優れた地域づくりの展開
~ 小規模自治体ほど、住民の命と暮らしに視点をおいたきめ細かい地域づくり、有機農業や森林エネルギーの活用、地域環境問題のとりくみが可能/ 長野県栄村、阿智村、宮崎県綾町、徳島県上勝町、高知県馬路村、梼原町、島根県海土町、
~ 団体自治と住民自治が結合してはじめて、地域づくりが進む /都市部でも「都市内分権」の推進 上越市・産業政策 中小企業、農家、協同組合の系統的育成。大企業・金融機関の地元貢献の追求
→ 中小企業振興基本条例の制定(150自治体、うち31道府県) 〔高知県は産業振興計画で具体化〕
/再生エネ推進の飯田市、湘南市。公契約条例策定 17自治体。防災力の見直しの中、中小企業、事業協同組合の官公需適格組合資格の取得★今、必要なのは、高齢化がすすみ、災害が頻発している国土において、誰がも住み続けられるような、小規模自治体をベースにした重層的な地方自治制度と、憲法・地方自治法の理念に基づき、住民の福祉向上を第一にした産業、エネルギー政策を含む地域政策を自立的に展開する地方自治体
〔メモ者 そういう自治体を、マンパワーなど専門性などで支援していく県行政の役割が重要〕
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