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2015年は「国際土壌年」~小規模自治体に光を

昨年の家族農業年は、持続可能な農業として家族農業の重要さを指摘した(安倍政権の真逆を行っているが・・)。今年は、その土台としての「土壌」。
「健全な土壌は、食料、燃料、繊維及び医薬製品の生産基盤であるだけでなく、炭素の循環、水の貯蔵と濾過、洪水や干ばつに対する回復力を向上させる上で重要な役割を果たすことにより、我々の生態系においても不可欠」存在。が、「この重要で『寡黙な同志』である土壌に対して我々は十分に配慮していない」とし、「砂漠化や乾燥化の進行により、塩類集積、酸性化など地球上の土壌の33%は劣化している」新たな取り組みが採用されない限り、2050年の世界の一人当たり耕作可能地は、1960年の水準の4分の1になる」と警告。
日本の面積の圧倒的部分は小規模自治体に担われている。中山間地の農業、林業(手入れされてない人工林は、土壌が流れ出し、災害の危険も増大する)は、健全な土壌を育むために不可欠である。 地方拠点都市への集約を目指す「地方創生」も世界の流れと逆行している。
【いま地球上で進む土壌劣化 FAO駐日連絡事務所 ボリコ所長に聞く 農民組合1/5】
【FAOは国際土壌年(IYS2015)をスタート  土壌は不可欠: 人類の寡黙な同志である土壌とその直面するリスクに焦点を当てる 2014年12月4日- FAO】

【いま地球上で進む土壌劣化 FAO駐日連絡事務所 ボリコ所長に聞く 農民組合1/5】

 2015年は国連が定める国際土壌年です。国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所を訪ね、その目的や農業との関わりについて、ボリコ・M・チャールズ所長に聞きました。

■健全な土壌維持・家族農業の発展 世界の食料増産に不可欠  国や行政などが土壌に関心を

 ――なぜ今年は国際土壌年と定められたのですか。
◎ 2013年12月20日に行われた国連総会で12月5日を国際土壌デー、2015年を国際土壌年と定める決議が採択されました。
 土壌は、農業、生態系や食料安全保障の基盤であり、地球上の生命を維持する重要な役割を担っています。また、豊かな土壌を維持することは、人口増加に対応するためにも必要で、これを支援することが健全な土壌を保ち、豊かな食料が保障され、安定的で持続的な生態系をつくり出すうえで重要です。
 現在、砂漠化や乾燥化の進行により、塩類集積、酸性化など地球上の土壌の33%は劣化していると推定されており、食料安全保障や生態系の面からも危惧されています。従って、土壌劣化の問題を世界中で認識してもらい、それに対応していくための努力を各国に促すものとして大きな意義があります。劣化を防止するための実効ある措置をとってもらうことが重要です。
 国際土壌年を定めた目的は、一般の市民や農家をはじめ、国や自治体など行政にも土壌の問題に十分な関心をもってもらい、食料安全保障、気候変動、生態系、貧困の緩和などの問題と関係していることを考えてもらうことです。
 さらに、土壌がもっている豊かな資源を持続可能な方法で管理し、その保全のための効果的な政策を実施することを呼びかけ、行政や企業による開発行為に対しても、健全な土壌を維持するための土地管理を求めています。

■将来的な食料安全保障のため

 ――昨年(2014年)は、国際家族農業年でしたね。
◎国際年は、そのときどきの事情や必要に応じて国連総会等で決定されるので、基本的にはそれぞれ独立したものです。しかし、ここ3年間は、国際キヌア年(13年)、国際家族農業年、そして国際土壌年と食料・農業に関係した国際年が続いています。家族農業も土壌も、将来的な食料安全保障のための重要な構成要素だからです。2050年に96億人に増加すると見込まれる世界の人口を養うためには食料を現在の6割増産する必要があると言われています。
 家族農業は、金額ベースで世界の食料生産の8割を担っており、開発途上国の小規模家族農業の発展は世界の食料増産には不可欠です。一方で、肥料や農薬の不適切な使用などがもたらす土壌劣化の進行は、農業の生産性を低下させるものであり、放置すれば食料生産にマイナスの影響を与えます。土壌劣化を防ぎ、環境に配慮した農業技術を導入し、家族農業をさらに発展させることが今後の食料生産のかぎとなります。

■日本が助け合い働く姿に感銘
 ――日本の農家にメッセージをお願いします。

◎ 私の母国はコンゴ民主共和国です。来日して、日本の農村を訪問しましたが、まず驚いたのは、農業に取り組む姿勢です。コンゴ民主共和国は、パパイア、オレンジ、マンゴーなど、果物や野菜は豊富にあり、いつでも、どこでも食べものがありました。一生懸命農業をしなくても生きてこられたのです。
 しかし、日本の農家は、生産から販売まで、つまり自分の田んぼや畑のことだけでなく、消費者のお皿のことまで考えて、農業生産を行っています。肥料や農薬をできるだけ少なくし、何をつくれば「おいしい」と感じてもらえるか、何が食べる人にとって健康によいかなどを考えています。
 また、自分だけでなく、周りがよくなるよう助け合いながら、そのコミュニティーをよくしようという意識をもっていることに感銘を受けました。
 さらに、地域の伝統的な食料生産をできるだけ残していこうと、都会で働いていた若者が農村に戻って農業を継いでいることもすばらしいことだと思いました。
 日本の面積はコンゴ民主共和国の約6分の1ですが、人口は約2倍です。また、地震や大雨など自然災害が多いにもかかわらず、この限られた土地の中で、農業や産業を発展させています。日本のみなさんの技術をぜひ世界に発信してほしいと思います。

【FAOは国際土壌年(IYS2015)をスタート  土壌は不可欠: 人類の寡黙な同志である土壌とその直面するリスクに焦点を当てる 2014年12月4日- FAO】

健全な土壌は世界の食料生産に不可欠であり、様々な環境サービスを提供している。
 グラジアノ・ダ・シルバFAO事務局長は、12月5日の世界土壌デーを目前にして、「世界の食料生産には健全な土壌が不可欠だが、この重要で『寡黙な同志』である土壌に対して我々は十分に配慮していない」と述べた。
  健全な土壌は、食料、燃料、繊維及び医薬製品の生産基盤であるだけでなく、炭素の循環、水の貯蔵と濾過、洪水や干ばつに対する回復力を向上させる上で重要な役割を果たすことにより、我々の生態系においても不可欠なものであることを指摘した。
 国連は、2015年を国際土壌年(IYS2015)に制定した。IYS2015は、この重要な資源の認識を高めそして推進するために、ローマ、ニューヨーク及びチリのサンティアゴにおける明日のイベントから始動する。
 FAO事務局長は、「今日、世界では8億500万人以上が飢餓と栄養失調に直面している。増加する人口を養うためには、現在の食料生産をおよそ60パーセント増加する必要がある。食料の多くは土壌に依存しているので、それを健全かつ生産的に保つことがいかに重要かは容易に理解できる」と述べ、「残念ながら、世界の土壌資源の33パーセントは劣化している。人類が土壌に与える圧力は臨界極限に達しており、土壌の本質的な機能を減少させ、時には消滅させている。
2015年は、すべての人のために、すべての人による真の持続可能な開発に向かる道を開く重要な年であり、この1年をわれわれ全員が積極的な役割を担って土壌に関する運動を促進する年にしよう」と付言した。

■土壌-危機に立つ重要資源

FAOは、浸食、圧密、土壌被膜、塩類集積、土壌有機物・養分枯渇、酸性化、汚染や、持続可能でない土地管理慣行に起因する他のプロセスが原因となって、全土壌の3分の1が劣化していると推定している。
新たな取り組みが採用されない限り、2050年の世界の一人当たり耕作可能地は、1960年の水準の4分の1になるとしている。
 土壌を1センチ形成するためには、1,000年を要する。世界の土壌資源の33パーセントが劣化している一方で、人的圧力も増加し、臨界極限に到達しているので、責任ある土壌管理が喫緊の課題であると、FAO事務局長は述べた。
 FAO事務局長は、土壌を「ほとんど忘れ去られた資源」と呼び、劣化した土壌の回復よりも安価であろう持続可能な土壌管理への一層の投資を要請した。そして、「投資は、食料と栄養安全保障の達成、気候変動適応・緩和、そして全体的な持続可能な開発のために必要である」と述べた。
 世界中の多様な生物の少なくとも4分の1が地下に生息している。例えば、そこではミミズ類は、細菌や真菌などの微生物と比較して巨大である。植物の根を含めたそのような有機体は、栄養循環を促進して植物の栄養摂取を助けるのと同時に、地上の生物多様性を支える上で、主要な仲介者としての役割を果たしている。
 より良い土壌管理より、これらの普段は余り注目されない生物による土壌の炭素吸収機能が高まり、砂漠化が緩和されるので、さらに炭素を隔離することができる。このことにより、農業自体からの温室効果ガスの排出を相殺することができる。

■世界土壌マップの作成

FAOは、土壌に関する120以上のプロジェクトを世界で実施し、国連教育科学文化機関(UNESCO)と共同で世界土壌マップを作成した。最も緊急な優先事項としては、世界の土壌タイプと分布に関する情報を更新、規格化し、利用しやすくすることである。
 現在、土壌に関するデータは、非常に多くの場合古く、また調査地域も限られ断片的である。FAOの優先事項としては、世界土壌情報システムを確立して、土壌管理に関する意思決定に信頼できるデータを提供することである。
 FAOは、世界土壌パートナーシップ(GSP)の立ち上げを含む、一連のイニシアティブの主催者として活動を開始した。GSPはその運用部門として健全土壌ファシリティを立ち上げた。



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Comments

「国際土壌年」  こんな年があるなって初めて知りました。
かって、農業。漁場大国であった日本ですが。農地や山林はかなり荒れてきました。
農地や山林からの恵みを受けて、豊かな海となって海藻が育ち、魚の産卵場となり、
貝も増えてきた、こんな海が私たちが子どもの頃だったと思います。

あの頃の豊かな自然をまずは土壌から元気にしていけたらいいですね。

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