国保 共同安定化事業1円化の影響
国保には
・1件あたり80万円を超えるレセプトに対し、給付費の59%〔保険料分50%、国調整交付金9%〕分に、国1/4、県1/4、市町村1/2負担で、公費を投入する「高額医療共同事業」
・1件あたり30万円超から80万円までのレセプトに対し、市町村国保が拠出金を出して、プール会計で対応する「保険財政共同安定化事業」がある。
→ この下限の30万円超が、15年度より1円となる。
その影響がどうなるかと思い、都道府県化のことも念頭に、県からレクチャーをうけた。
①保険財政共同安定化事業のしくみ
・交付金 実際に発生した医療費について59/100を交付
・拠出金 医療実績割:保険者数割=50:50
◆医療実績割 前々年度から過去3年間の医療費実績〔交付実績〕で拠出
当該市町村の実績/県内の医療費実績
・・・・ 3年平均により、急激な拠出金増加を抑える
◆被保険者割 被保険者数に応じて拠出
当該市町村の人数/県内の人数
・・・ 医療費の低い市町村で拠出超過、高い市町村で交付金超過となる /保険料の平準化
〔高額医療費共同事業の「拠出金」は医療費実績割のみ〕
②財政調整のイメージ
・高額医療費共同事業の場合
◆拠出額の算定
医療費〔交付〕実績 A市100 B市150 C市50
拠出額の1/2公費補助 A市 50 B市 75 C市25
+国県150 → 交付額300確保
◆必要保険料額 A市 50 B市 75 C市25 に軽減される
・財政共同安定化事業
◆事業がない場合
一人あたりの給付 A市100 B市150 C市50
→ 保険料 A市 50 B市 75 C市25
◆拠出額 医療費〔交付〕実績×50% 被保険者数×50%
医療費割 A市 25 B市 37.5 C市12.5
被保険者割 A市 25 B市 25 C市25
小計 A市 50 B市 62.5 C市37.5
◆交付額 A市 50 B市 75 C市25
③都道府県の調整機能
・ 今まで、拠出超過額が交付金の3%を超えた分を、都道府県調整交付金〔2号〕で支援
・ 15年度より 共同事業の対象が拡大するので、「3%」だど、市町村の持ち出し額が大きくなるため
「1%」を超えた分を支援するよう改定
④実績からの試算
◆12年度 30万円超 1円以上
・拠出超過額 1.8億円 2.9億円
・県調 3% 0.8億円 1.0億円
・県調 1% 2.0億円
・負担額3% 1.0億円 1.9億円
・負担額1% 0.9億円
→ 市町村の持ち出し額が、現状の1.0億円から、0.9億円となる。
◆13年度での試算では、現状の0.8億円から、1.2億円となる。
~ 年の状況にもよるが、ほぼ同額となる。
⑤高すぎる国保料の実態
12月県議会では、加入者の構成が無職、非正規雇用中心へ激変したにもかかわらず、国が負担割合を増やしてないことが保険料高騰の原因と指摘。
1984年 2011年
・世帯の平均所得 179万円 142万円
・保険料(一人当たり) 3万9千円 9万円弱
知事は、無職の割合が高い高知県の実態を示し 「負担は非常に重い」「今まで以上に国費の投入が必要」と答弁
高知県 全 国
・平均所得(一人当たり)55万4千円 83万円
・所得に占める保険料 13.5% 9.9%
負担割合(一人当たり)
⑥都道府県運営
医療実績、人数、所得水準など分賦金の算出方法の議論がされているが、 全体の医療給付に必要な額を市町村が拠出する形になる。市町村の利害を調整すると、結局、1円化と大きく変えるのは難しいのではないか。
それよりは「地域医療ビジョン」の策定によるベッド数の削減などで、都道府県に、医療費抑制の役割を果たすための土俵という感じがする。
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