マルクスの恐慌論 ~ 資本主義の矛盾について(メモ)
不破哲三「マルクスの恐慌論を追求する(上)(下)」 前衛2014.12、2015.1号より主に(下)のスケッチメモ。
恐慌を、資本主義の終焉の始まりととらえ、その根拠を利潤率低下の法則にもとめようとしていた時点から、「流通過程の短縮」「架空の需要」という恐慌の新しい運動論に発見により、恐慌を、資本主義特有の経済循環の一局面、その循環の中で上向的発展をしていくと資本主義の見方を大きく転換。その結果、「恐慌=革命」説をぬけだし、労働者階級の不断の運動、多数者革命の重要性を明らかにした巨大な理論的発展をもたらした。
(なお2020年時点でのメモ者の「認識」をついか)
【マルクスの恐慌論を追求する】
Ⅰ 最初の時期 「恐慌=革命」説が「没落」理論の中心にすえられた
・「恐慌」~ 「死にいたる病」と位置づけ
→ 革命論としても「恐慌」により、フランス革命型の人民の蜂起による革命がイメージされた。
Ⅱ 恐慌論を利潤率低下の法則と結びつける
・利潤率の低下 ~ 実際の現象として確認されもの/ が、古典派経済学は解明できず
(1)61-63年草稿での探求
①マルクス 利潤率の傾向的低下の原因を解明 ~ 57-58年草稿で解明ずみ
資本主義の発展とともに、機械設備など不変資本部分の比重が増大し、剰余価値を生み出す可変資本の割合が低下することから起因することを説明。
②同時に、利潤率の低下を恐慌論と結びつける誤った方向を追求
「6Ⅰ-63年草稿」(「第三章 資本と利潤」)での探求~ 現行第三部第1篇~3篇
・利潤率の低下がもたらすもの ~ 「資本主義的生産は利潤の生産なのだから、この利潤が減少するにつれてその生産の刺激やその生産の生き生きした魂を喪失することになる」
・実際に現れているのは「利潤率低下の結果として資本が踏み込む無謀な冒険」、このことから「恐慌が・・・資本の過多(プレトラ)を救済して健全な利潤率を回復するために必要な強力的手段として認められている恐慌が、起こる」
・ 「より小さな分散した諸資本」に主役を特定
その先の論理展開~ 利潤率の低下→資本の最小限の増大、蓄積・集積も増大 ~ 利潤率の低い大資本の方が利潤率の高い小資本わりも急速に蓄積をすすめるから → この集積はある段階で、再び利潤率を低下させる → より分散した諸資本の大群はわれ先に冒険への道に駆り立てられる → 恐慌に追い込まれる
~ 「利潤率の低下 → 資本の過多 → 恐慌」という基本は同じだが、「より小さな分散した諸資本」に主役を特定
→ 理論構造そもものに大きな問題点を内包 /マルクス自身も、十分とは思えず「本格的な説明には、競争、信用の問題を分析かるところまで必要がある」と書き込み
(2)「資本論」第三部第三篇での「恐慌の運動論」
・64年後半、第三部第三篇の草稿執筆の中で探求/ 最初の部分64年夏~年末、それ以降の部分65年後半
~ 第三篇と第四篇で展開される「恐慌論」がまったく内容的に異なったものになっている
→ 第二部第一草稿(65年前半)での「恐慌の運動論」の発見にもとづく理論的転換がある。
・「利潤率の傾向的低下の法則」にあてられた第三篇の章全体は、「2つの部分」で構成
①「恐慌の根拠」を論じた部分
・利潤利低下の法則との関係はあまり問題にせず、これまでの理論的蓄積を生かした重要な命題の展開
・生産と消費の矛盾の探求~「直的搾取の諸条件とこの搾取の実現の諸条件とは同じではない」
~ 「資本主義的生産の真の制限は、資本そのものである。・・・・資本とその自己増殖とが・・・生産の動機および目的として現れる」 / 利潤第一主義の発現という角度から問題がとらえられ「恐慌の根拠」論として独自の意義
→ 65年の理論的転換を経た後にもその価値を失わない非常に重要な意義を持つ
②恐慌の運動論として、「61-63年草稿」と同じ枠組みで、立論の弱点、矛盾をよりあらわにした部分
・第15章「この法則の内的諸矛盾の展開」を論じ、“利潤率の低下と加速度的蓄積とは、生産力の発展という同じ過程の異なる表現にすぎない”とし“この法則が、資本主義の「必然的没落」の表れ”という、例の議論をより詳細に展開
・利潤率低下と恐慌の関連、「恐慌の運動論」の記述(第三節) ~ 61-63年草稿と同じ/ 諸資本に主役を特定
→ 恐慌、バブルも、すべて小資本の冒険によるもので、大資本には責任がないとまで記述 / 「恐慌=革命」説を背景に、利潤率低下を、資本主義の「必然的没落」の表れとする断定が先にあり、マルクスを無理な立論に固執させた。
Ⅲ 1865年 恐慌の運動論の発見
(1)48年の革命後15年、ヨーロッパ情勢に起こった変化
・第三篇「利潤率の傾向的低下の法則」の執筆 64年秋から年末にかけて
→ マルクスが、労働者運動の中心に飛び込んでいった時期 /48-49年の革命の敗北後、沈滞を続けていたが新たな前進を迎え、64年9月、「国際労働者協会」の創設が決定。マルクスが「創立宣言」「規約」起草
・エンゲルスの情勢の説明(フランスにおける階級闘争。序文。1895年)
「歴史は、われわれ・・の考えを誤りとした。歴史は大陸における経済発展の水準が、当時まだとうてい資本主義的生産を廃止しうるほどに成熟していなかったことを明白にした。」「この二大階級間の闘争が、ようやく全ヨーロッパにひろがり、1848年には考えられもしなかったほどの激しさを達した」
・この時期は、経済学研究におけるマルクスの資本主義観、革命観の大きな変化の時期と一致
(2)新理論のひらめきは「資本の循環」の研究の中から
・第一草稿で初めて「1資本の循環」「2資本の回転」「3流通と再生産」の構成プランを立てて執筆
~ 資本の循環の途中で、恐慌の運動論について決定的なヒントを発見。執筆中の文章と無関係に草稿に書き込み
・商業資本が介在することで、「流通過程の短縮」「販売が現実の需要から独立」し「恐慌が準備される」
→ 商品を消費者が購買する以前に、商業資本により、「商品資本」の「貨幣資本」化ができ、生産資本家は、次の生産過程をはじめることができる。
→ 商品自身にとっては、「流通過程」は完了していないが、生産資本家にとっては、商品の貨幣への転化が先取り的に完了したことになる。/ マルクスは「流通過程の短縮」と呼んだ
・「販売が現実の需要から独立」/ 再生産過程が「架空の需要」に立ち、「架空の軌道」をひたすら進むことが起こりうる。そこから、恐慌が準備される。
(3)恐慌の運動論――経済循環のシミュレーション
・「流通過程の短縮」という運動形態が、健全な時期から熱狂的な繁栄を経て恐慌の破局にいたる過程
1 再生産過程は、個人的消費を予定される商品で、現実に消費に入っていなくても、ふる範囲内では、拡大された規模、あるいは同じ規模で進行することができる。
2 この過程では、使用される生産手段の生産的消費も進み、その部門の需要も現実に大きくなる。それにともない労働者の個人的消費の実需要が拡大 ~この要因も 「架空の需要」にもとづく再生産過程をさらに拡大
3.剰余価値の生産と資本家の繁栄が、労働者の消費と需要も増大。全再生産過程は繁栄のさなかにありながら、現実には商品の一大部分は、現実には売れないまま転売者の手にあり、市場に残っている
4.やがて商品は現実に消費されていないことが明らかになる。必死に値下げ競争などの非常手段がとられる
5.事態についに、全般的な瓦解、恐慌の勃発という最後の局面に入る。
・「恐慌の運動論」の理論的大転換~ 「利潤率の低下」への拘りをすて、資本の循環の基本部分に動因を発見
(4) 新しい運動論は「世界市場」や「信用」の問題も恐慌論に的確に組み入れた
・以前から、マルクスは、「世界市場」「信用」の問題を重視
・新しい「運動論」の発見によってこそ、「世界市場」「信用」が果たす特別の意義を解明
→ 恐慌が生じるは「商品の貨幣への転化が—世界市場と信用制度によって――最終購買者への商品の販売から独立して行われるから」
①新たな問題/ この運動形態と世界市場、信用制度の関連
~ 「先取りの諸形態をつくり出すことによって是非とも必要」「資本主義的生産様式からひとりでに生まれてくるもの」
→ 生産物は「〔生産の〕規模とその規模のたえざる拡張欲求によって〔規定される〕」「需要の、満たされるべき諸欲望の、前もって定められた範囲によって〔規定される〕のではない」
・「ぜひとも必要な」運動形態→ 資本主義生産様式 「前もって定められた範囲」の「需要にあわせて生産規模を決めるのではなく」「生産のための生産」の旗印のもと「生産規模のたえざる拡張」を要求することを本性とする生産様式
→ 現実に存在する市場の限界との矛盾の解決、そのための運動形態/架空の需要(ローン、国債、金融証券等)
☆「流通過程の短縮」は、恐慌の運動形態であり、「生産のための生産」の軌道を走るための必要な運動形態
②恐慌の新しい運動論における「世界市場」「信用」の役割
・信用~ 「その過程の規模が必要とする、流通過程を短縮する形態をつくりだす」
~ 「流通過程の短縮」を担うのは商人資本だが、個別資本の範囲では、とても、経済活動を「架空の軌道」のうえで進行する状況をつくりだせない。「信用」の役割は絶大。
・世界市場~ 遠隔の地方の市場との取引。輸出業者は、何ヶ月も先の販売を想定し商品を購入/「架空の需要」となる確率が国内市場の場合よりはるかに大きい
~ 海外の市場を相手にした大規模な貿易活動の銀行資本の協力なしには不可欠(融資、手形割引など)
→ 世界市場は、「流通過程の短縮」という運動の「形態の作用を見えなくする」 /および「その拡張にむけて特別の活動の場を提供する」
Ⅳ 運動論発見以後のマルクス
(1) 新しい運動論がその後の「資本論」草稿に全面的に取り入れられた
・第二部第一草稿執筆後、第三部草稿執筆にもどり、第4篇「商人資本論」へ ~ その中で、新しい運動論を展開
→ 利潤率低下の法則の作用として恐慌を説明しようと苦労した半年前の古い理論のあとは皆無に/理論的飛躍
・「流通過程の短縮」が、「商人資本は、・・・生産資本のために局面W-Gを短縮する」。それによって作られる「架空の需要」が再生産過程の制限を越えてまでも推進し、ついに恐慌にいたる。という第二部第一草稿と同じ論理
* レーニン 再生産論の研究「ロシアにおける資本主義の発展」の中で、「マルクスの実現理論」の節で恐慌理論を解説 ~ 資本論からの一番最初の引用は、この商人資本の章の恐慌論。レーニンは恐慌論の歴史的変化には気づかなかったが、恐慌論の代表する文章として注目したのは、さすがの眼力
(2) 恐慌論、資本主義観が変わり、「恐慌=革命」説も乗り越えられた
・恐慌の新しい運動論の発見 ~ 恐慌を資本主義の終わりの始まりと見た「共産党宣言」以来の見方を大きく変える
→ 資本主義の現段階をどうみるかという資本主義観の変化につながり / 「恐慌=革命」説を乗り越え、革命運動のあり方にも大きな発展を生み出す
①新見解をまとまって公式に述べたのがインタナショナル中央評議会講演(1865年6月) 「賃金、価格および利潤」
・恐慌を資本主義に特有の産業循環の一局面としてとらえる立場 /経済が循環的な運動をしながら進む。賃金は「1つの産業循環の平均」をとった時に、「労働力の価値」に相当する賃金にならなくてはならない。/そのためには、不景気時の賃金引下げとたたかうとともに、好況時には平均以上の賃上げをかとちることが重要、と指摘
・この変化は、「資本論」第三部の続編にもはっきり現れる(30章「貨幣資本と現実資本Ⅰ」)
資本主義経済は、経済循環を繰り返しながら発展する / 恐慌を抜け出した最初の時期(弛緩状態の時期)は、生産の規模は前の最高点よりも低下している / やがて繁栄期を迎え、さらに発展した規模に到達し /さらに進んだ「過剰生産と思惑の時期」には、生産規模の拡大が資本主義的な制限をこえて / 再び恐慌におちこむ
→ 恐慌は、資本主義の「没落」過程のあらわれでなく、資本主義に特有の産業循環の1局面であり、この循環をくりかえしながら、上向的発展をとげていく、という資本主義の見方の変化
②資本主義の「必然的没蔵」をどう展開したか
・以前の見解 / 利潤率低下の法則が、資本主義の「必然的没落」を決定づける中心的な法則 /85年の転換以降は、この見方を放棄
・資本論第一部完成稿を仕上げる過程で全力を投入した問題 (別の論考で取り組むとのこと)
《この点にかんして、参考 不破「マルクスは生きている」より》
4.「資本論」に描かれた労働者像
・被害者という面だけでなく、社会を変革し未来社会を担う階級として成長・発展する姿に注目
①生産の機械化とともに、集団的な働き手に発展していく~「労働の結合」
資本家の指揮のもので「結合」ではあるが、未来社会の「結合した生産者たち」の萌芽的姿を見た
②利潤第一主義との闘争の中での労働者の変貌
18世紀末、労働時間の延長は苛烈に。1日15時間。階級的な抵抗のすえ1850年に、10時間労働法。
~ マルクスは「半世紀にわたる内乱」の成果と呼ぶとともに、労働者は、最初に生産過程に入ったときとは「違うものとなって、そこから出てきた」と語ってる。どんな意識が生まれたか・・・
・「責め苦の蛇(革命詩人ハイネの詩の言葉)から自分たちの「身を守る」ために、労働者たちは、結集し、階級として、1つの国法、1つの強力な社会的バリケードを奪取しなければならない」
・「労働者たちは、自由意思で資本と契約を結び、労働力を売り渡すが、資本とのその契約は、労働者とその同族を死と奴隷状態に落ち込ませる危険を持っている。それを阻止することに、その社会的バリケードの意義がある」
・資本論第一部のしめめくくりの部分で・・・労働者階級の成長・発展の総括的な特徴づけをおこなっている。
~生産の社会的性格の発展につれて、「貧困、隷属、堕落、搾取の総量」が増大する一方、労働者階級は「資本主義的生産過程そのものの機構によって訓練され結合され組織され」て、その「反抗」も増大する。
・抑圧された姿とともに、訓練、結合、組織の過程を歩む階級的発展の姿をよく見ることがたいへん重要
【補論】 恐慌の運動論で現在の経済現象を見る
・リーマンショック 「架空の需要」で住宅市場の拡大をはかった住宅業界の商法の破綻、その債権からつくった実態をもたない「金融商品」で世界的な利益をはかった金融業界の金融商法の二重奏 /どうようの仕方は自動車、消費者ローンなど他の産業にもひろがっていた
~マルクスが分析した「流通過程の短縮」「架空の需要」など恐慌の運動論が、多様な現代的な形で生きている
・金融資本の肥大化/ 以前の時代は、実態経済を支え、また支配するのが信用制度、金融経済の姿
→ 08年10月 実態経済の規模60兆ドル、金融資産の規模167兆円と、金融経済が膨張
→ リーマンショックは、過剰生産恐慌と金融危機の結合だった
(メモ者 過剰生産恐慌対策としての国債の大量発行による金融の膨張。変動相場制と金融自由化による投機活動)
【2021.01.18追記】
◆マルクスが「恐慌革命論にとらわれていた」?
共産党宣言において、資本主義の発展が、プロレタリアートというは墓堀人を作り出すと記述し、「フォイエルバッハのテーゼ」で人の実践、変革の取組の意義をあれだけ重視したマスクスが「自動崩壊論」にとらわれていたというのに信じがたい。
第三部三篇13~15章「利潤率の傾向的低下」は、未来社会も含めて、有機的構成は高まり、一「商品」中の「剰余価値」にあたる部分は減少していく。しかし、それが新たな生産力の発達の桎梏になるのは「利潤」の獲得を目的して生産する資本主義社会だからで、そこに資本主義社会が乗り越えられるべき歴史的な存在であることを、「利潤」という分析角度から明らかにしたもので、同じ章にある「資本の制限は資本そのもの」という中身と同一と理解している。
その角度から 現在の新自由主義経済をみれば、投資を制限し、非正規雇用など労賃も削減し、利潤をあげながら、その利潤をマネーゲームにまわり、利潤を極大化している姿は、「利潤率低下の傾向」を打開するための反動的性質が鮮明になる。
◆利潤率の傾向的低下の位置づけ
「『利潤率の低下の法則』が資本主義的生産様式が新しい生産様式への交替の歴史的必然性を決定する法則、その意味で経済学の最も重要な、最も本質的な法則だと規定する」と記述している。
第三部13-15章の特に総括部分と理解している15章には、他にも有名な「資本の制限は資本そのものにある」
それはこの規定と同一のもとと理解する・
「他方、総資本の価値増殖率すなわち利潤率が資本主義的生産様式の刺激である(資本の価値増殖が資本主義的生産の唯一の目的であるように)限り、利潤率の下落は、新たな自立的諸資本の形成を緩慢にし、こうして資本主義的生産過程の発展をおびやかすものとして現われる。それは、過剰生産、投機、恐慌、過剰人口と並存する過剰資本を促進する。したがって、リカードウと同様に資本主義的生産様式を絶対的な生産様式と考える経済学者たちも、ここでは、この生産様式が自分自身にたいして制限をつくり出すことを感じ、それゆえ、この制限を生産のせいにはしないで自然のせいにする(地代論において)。しかし、利潤率の下落にたいする彼らの恐怖のなかで重要なのは、資本主義的生産様式は、生産諸力の発展について、富の生産そのものとはなんの関係もない制限を見いだす、という気持ちである。そして、この特有な制限は、資本主義的生産様式の被制限性とその単に歴史的な一時的な性格とを証明する。それは、資本主義的生産様式が富の生産にとって絶対的な生産様式ではなくて、むしろ一定の段階では富のそれ以上の発展と衝突するようになるということを証明する。」マルクスは利潤率の低下が、資本主義の自動崩壊をもたらすなど考えたこともなく、富の生産と商品(利潤の獲得)の生産との違いを指摘し、それゆえ資本主義の「歴史的な一時的な性格を証明する」ことが主題と理解する。
これは極めて重要な解明で、現在の新自由主義的蓄積の歴史的な位置を解明するものではないか、と思う。
*商行資本による「架空の需要」については、それ以前にも言及されている。が、商業資本の介入は、過剰生産を生み出す重要な舞台だが、推進する力は、利潤をもとめての強制される競争という資本主義の本質に起因する。
生産の時点と消費の時点との分離があること、多数の資本が無関係に生産し商品が消費させることを目的に生産する無政府性(競争)-- 市場の調整作用があるのに、恐慌になるのは? という問題設定がおかしくて、恐慌(暴力的な解決)をつうじて、市場の調整作用が発揮されている、ということではないか。
なお一部、二部は、競争を排除した原理的な資本主義の解明であり、個別資本の運動をもとしにた「生産過程」、二部は多数資本の運動がテーマなので、流通過程が含まれる。これをうけて、競争、平均利潤率、生産価格、そして地代など、現実の姿にせまっていく、よって、「恐慌」論の本格的展開が第二部でおこなわれるというのは、構想上無理があると思う。
★とにかく、日本には「資本論」の豊富な蓄積があるので、学術的におおいに論争・探求を願う。
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