立地自治体限定 妥当35/160自治体 30キロ圏アンケート
全国の原発の半径30キロ圏に入る160自治体のうち、「川内方式」について「妥当」、約2割の35自治体。3割強の55自治体が「妥当でない」。
そもそも法的根拠のない電力会社が自主的に結ぶ「協定」の対象というのが異常だが、現行の「協定」は、「格納容器はこわれない」という偽りの前提のもの。その「前提」の崩壊したのに、見直しがされないのはさらに異常。
【立地自治体限定、妥当2割 原発再稼働の地元手続き 事故被害恐れ不満 30キロ圏アンケート 共同1/4】
【立地自治体限定、妥当2割 原発再稼働の地元手続き 事故被害恐れ不満 30キロ圏アンケート】原発再稼働の地元同意手続きについて、対象を九州電力川内原発の立地自治体の鹿児島県と薩摩川内市に限定した「川内方式」を「妥当」としたのは、全国の原発の半径30キロ圏に入る160自治体のうち、約2割の35自治体にとどまることが4日、共同通信のアンケートで分かった。
政府は他の原発の手続きも「川内原発の対応が基本的」(菅義偉官房長官)としているが、3割強の55自治体が「妥当でない」と回答。 立地以外の自治体も事故時に被害が及ぶ恐れがあり、 同意手続きに加われないことへの不満が強いことが浮き彫りになった。
同意を求める地元の範囲も、事故時の避難計画を策定する必要がある「30キロ圏の自治体」(42自治体)との回答が「立地自治体のみ」(29自治体)を上回った。
また原子力規制委員会の審査に合格した原発の再稼働に関し「容認する」と「条件付きで容認する」は計36自治体と約2割にとどまった。
川内方式について「妥当」は16自治体、「どちらかといえば妥当」が19自治体に対し、「妥当でない」が33自治体、「どちらかといえば妥当でない」は22自治体だった。
批判的な計55自治体は全て立地以外だった。川内方式への反発は強く、今後の同意手続きが難航する可能性がある。川内に次いで再稼働に向けた手続きが進む関西電力高浜原発(福井県)の30キロ圏に入る滋賀県は「妥当でない」を選択。「30キロ圏に一部でも入る自治体には同意を求めるべきだ」と指摘した。
一方、関電美浜原発がある福井県美浜町は「妥当」とした上で「町民の理解など問題を解決しながら原子力に貢献してきたのは立地市町と県」と強調。評価を避けた自治体も多く「分からない」「その他・無回答」が計70自治体だった。
川内原発の地元同意は、薩摩川内市議会、市長、鹿児島県議会、知事の順で了承。手続きは比較的順調に進み、今春以降の再稼働が見込まれる。
アンケートは昨年11月の鹿児島県知事の同意表明後、年末にかけて実施。建設中の電源開発大間原発(青森県)も含め、各原発の30キロ圏に入る21道府県と139市町村を対象にした。◆自治体任せに不満 原発30キロ圏の自治体調査
【解説】原発30キロ圏の160自治体へのアンケートで、再稼働の地元同意手続きなどに対する不満が目立つのは、政府が同意に関する調整や事故時の避難計画の策定について事実上、自治体任せにしてきたためだ。政府は再稼働に批判的な世論に耳を傾け、幅広い意見を反映させる仕組みづくりを急ぐ必要がある。
再稼働の是非を判断する地元の範囲は、電力会社と原子力安全協定を結ぶ立地自治体にほぼ限定され、被害が広域化した福島の事故後も見直されていない。周辺自治体は同意手続きに関与する権限がないまま、避難計画の策定など 重い負担ばかりを強いられる。
川内原発の地元同意の手続きは、再稼働に前向きで、地元の範囲を限定したい鹿児島県の 伊藤祐一郎 (いとう・ゆういちろう) 知事の意向を政府が追認。周辺自治体の議会などが反発したが、知事の方針を変えることはできなかった。
アンケートでも68自治体が「国が地元の範囲を決めるべきだ」と回答。自治体間の調整が難しい実情が浮かび上がった。
川内の手続きに対する国への評価でも「十分に責任を果たした」は7自治体のみだった。知事の同意表明の直前に、政治資金問題などを抱えた宮沢洋一経済産業相がようやく現地入りしたが、国主導を期待する自治体の要求との差はあまりにも大きかったといえる。
安倍政権は世論の反発を恐れ、再稼働の責任の所在を曖昧にしたままだ。しかし自治体は無責任さを見抜いており、他の原発の手続きでは政権の姿勢が問われる場面もありそうだ。
(共同通信)
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