原発の噴火対策見直しを 火山学会
「噴火予測の限界や曖昧さを踏まえて見直しを」と火山学会。
地震予測も「十分な予測の力はない」「実際に起きた地震でも、どんな現象だったかは、正確には分からない」という状況。
安倍首相が、大好きな「道徳教育」。「人間の力を超えたものに対する畏敬の念を育てる」と強調するが、そんなよくわからない心の問題でなく、客観的な事実の前に謙虚になるべき話なのである。
【原発の巨大噴火対応見直しを提言 NHK11/3】
■雑誌「科学」2012 年6 月号(「地震の予測と対策:『想定』をどのように活かすのか」甲52)に掲載された、岡田義光防災科学研究所理事長、纐纈一起東京大学地震研究所教授、島崎邦彦東京大学名誉教授の鼎談
纐纈「地震という自然現象は本質的に複雑系の問題で、理論的に完全な予測をすることは原理的に不可能なところがあります。また、実験ができないので、過去の事象に学ぶしかない。ところが地震は低頻度の現象で、学ぶべき過去のデータがすくない。私はこれらを「三重苦」と言っていますが、そのために地震の科学には十分な予測の力はなかったと思いますし、東北地方太平洋沖地震ではまさにこの科学の限界が現れてしまったと言わざるをえません。そうした限界をこの地震の前に伝え切れていなかったことを、いちばんに反省しています。」
「前述のような科学のレベルですから、予測の結果には非常に大きな誤差が伴います。その結果として、予測が当たる場合もありますし、外れる場合もあります。ですので、その程度の科学のレベルなのに、あのように危険なものを科学だけで審査できると考えることがそもそも間違いだったと今は考えています。実際に起きた地震でも、どんな現象だったかは、正確には分からないというのが、地震学の現状である。」
【原発の巨大噴火対応見直しを提言 NHK11/3】日本火山学会の原子力問題対応委員会は、福岡市で開かれている大会で、原子力規制委員会の現在の原子力発電所の巨大噴火への対応について、「巨大噴火については噴火予測の限界やあいまいさを十分考慮すべきだ」として見直しを求める内容の提言をまとめました。
原子力規制委員会は、原発の火山対策で、原発に影響を及ぼすような巨大噴火については、前兆現象があることを前提に、監視をして対策を取るよう電力会社に求めています。
これについて、原発の火山対策などを議論している日本火山学会の原子力問題対応委員会は、福岡市で開かれている大会で、巨大噴火について、「噴火予測の限界やあいまいさの理解が不可欠で、その特性が十分に考慮されるべきだ」として、審査基準の見直しを求める内容の提言をまとめ、3日に開かれる日本火山学会の臨時総会に報告することになりました。
委員会の委員長を務める京都大学の石原和弘名誉教授は「学会として、噴火の予測に限界があることを国民に明らかにするとともに、研究者だけでなく、関係省庁を含めた多くの人が参加する場で火山対策を議論していくことが必要だ」と話しています。
原発の巨大噴火の安全対策を巡っては、原子力規制委員会がことし9月、鹿児島県にある川内原子力発電所について、九州電力が示した、監視態勢の強化などによって巨大噴火の前兆を捉え事前に核燃料を運び出すなどとした対策を了承し、前兆の監視方法などを火山の専門家による会議で検討しています。
【噴火対策、原発も見直しを 火山学会が提言 共同11/2】原発の火山対策をめぐり、日本火山学会の原子力問題対応委員会は2日、福岡市で会合を開き、原子力規制委員会の審査基準「火山影響評価ガイド」について、噴火予測の限界や曖昧さを踏まえて見直しを求める提言をまとめた。3日の臨時総会で報告し、学会ホームページで公表する。
対応委員会委員長の石原和弘京都大名誉教授が報道陣に明らかにした。提言は「噴火予測の可能性、限界、曖昧さの理解が不可欠」とした上で、ガイドの見直しを求めた。
提言はこのほか、巨大噴火の監視態勢や噴火警報の在り方について「国全体としての対策を講じるため、関係省庁を含めた協議の場が設けられる必要がある」とした。
原発の火山対策に関し、再稼働に向けた手続きが進む九州電力川内原発(鹿児島県)について、周辺火山の巨大噴火の影響を受ける可能性は十分小さいとする九電の評価を、規制委も妥当と判断。一方で、正確な予測が難しいことから、規制委は火山噴火予知連絡会メンバーらによる検討会を設置し、判断基準の検討を委託している。〔共同〕
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