「民主国家のあり方問われる」 翁長・沖縄新知事
右翼反動の安倍政治に対する保革を超えた国民の抵抗の勝利。
開票から一夜明けての翁長氏のコメント
「問われるのは日本の民主主義国家としてのあり方だ」「沖縄の民意に配慮できないというのであれば、日本の民主主義はアジアや世界から評価されない。粛々と辺野古を埋め立てていくという発想は(世界から民主主義国家としての信頼を失うという意味で)、大変な損失になる」
今度の総選挙・・ ・安倍政治から国民が「日本を取り戻す」選挙。
【新基地拒否の重い選択 沖縄県知事に翁長氏 東京・社説 11/17】
【<社説>新知事に翁長氏 辺野古移設阻止を 尊厳回復に歴史的意義 琉球新報11/17】
【社説[県知事に翁長氏]辺野古に終止符を打て 沖縄タイムス11/17】
【沖縄知事選 10万票差 翁長氏 新基地阻止へ決意 日米政府に民意伝える 赤旗11/18】
【新基地拒否の重い選択 沖縄県知事に翁長氏 東京・社説 11/17】沖縄県の新しい知事に翁長雄志(おながたけし)前那覇市長が選ばれた。これ以上の米軍基地建設を拒否する県民の重い選択だ。安倍内閣は真摯(しんし)に受け止めるべきである。
仲井真弘多(なかいまひろかず)知事(75)の任期満了に伴う今回の知事選は三選を目指す自民党など推薦の仲井真氏に、翁長氏(64)、下地幹郎(しもじみきお)元郵政民営化担当相(53)、喜納昌吉(きなしょうきち)元参院議員(66)が挑む構図で、事実上、仲井真、翁長両氏の一騎打ちだ。
沖縄県知事選は「保守」対「革新」の対決構図が続いてきたが、今回は、四年前の前回知事選で仲井真陣営の選挙対策本部長だった翁長氏が仲井真氏と袂(たもと)を分かつ、初の「保守分裂」選挙となった。◆「基地依存」は死語に
最大の争点は、世界一危険とされる米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)を日本側に返還するため、その代替施設を名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部に建設する、いわゆる「県内移設」の是非である。
沖縄県には在日米軍基地の約74%が集中する。その存在は、騒音や事故、米兵らの犯罪、戦争への加担という精神的重圧など、県民に重い負担を強いてきた。
基地の存在は経済発展の阻害要因でもある。返還された跡地がショッピングセンターなどになり、雇用を生んで経済的繁栄の場となる多数の例を見れば、明らかだろう。
一九七二年の本土復帰時に15%を超えていた県民総所得における米軍基地関係収入の割合は年々減少し、今や5%台にすぎない。もはや「基地依存経済」は死語だ。
日米安全保障条約上、米軍への基地提供は日本政府の義務だとしても、一地域に過重に負担を押し付けるのはやはり不平等である。
普天間返還のためとはいえ、米軍基地をこれ以上、沖縄県内に造るのはやめてほしい、というのは県民の素直な思いと理解する。◆安倍内閣も「不信任」
もともと県内移設を条件付きで認める立場だった仲井真氏は、前回知事選で県外移設を求める姿勢に転換し、再選された。その後も県民の反対が強い県内移設は「事実上不可能」と繰り返していた。
しかし、仲井真氏は昨年暮れ、政府が申請した辺野古沿岸部の埋め立てを承認してしまう。県内移設容認への転換であり、公約違反は明らかだった。
仲井真氏は今回の選挙戦で「サイズが(普天間の)四割になり、民家の上も飛行させない。安全性は雲泥の差だ」と辺野古移設の妥当性を訴えたが、仲井真氏の「変節」を批判し、県内移設阻止を掲げた翁長氏を県民は支持した。
県民の思いを顧みず、公約違反でもある県内移設を進めようとした県政リーダーへの、県民による痛烈なる不信任の意思表示だ。
同時に、今回の選挙結果は「アメとムチ」によって県内移設を強行してきた安倍内閣に対する「不信任」でもある。
県本部が県内移設に反対する公明党は仲井真氏を支援せず、自主投票で臨んだ。二〇〇二年以来続いていた知事選での協力態勢が崩れ、安倍内閣の基地政策の正当性に疑問符を投げかけている。
選挙期間中、多くの自民党議員に加え、菅義偉官房長官も異例の選挙応援に入った。そこで訴えたのは、那覇空港第二滑走路の早期完成や米映画テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の沖縄誘致支援だ。
経済振興策は必要だとしても、県内移設受け入れを前提とした露骨な手法である。基地押し付けに「構造的差別」を感じ始めた沖縄県民には、もはや通用しまい。
翁長氏の陣営には自民党を離党した県議ら「保守系」に加え、共産、社民両党など「革新系」も加わった。
仲井真陣営は「共産党主導の県政にするな」などと保革対決構図に持ち込もうとしたが、翁長陣営の「イデオロギーよりアイデンティティー」「オール沖縄で基地問題の大きな壁をこじ開ける」との訴えの前では、説得力を欠いた。
対立してきた革新陣営と「県内移設拒否」で結束し、支持を集めた背景にある沖縄保守勢力の「政治的目覚め」を、安倍内閣と仲井真陣営は完全に読み違えた。◆「過去の問題」でない
菅氏はかつて「県内移設」の是非をめぐる議論は「過去の問題」と言い放った。知事選で仲井真氏が敗れても県内移設を進めるために、予防線を張ったのだろう。
しかし、安倍内閣が全面支援する仲井真氏に突き付けられた拒否の意味は重い。県民の選択を無視して、海底掘削調査や工事入札など本格着工に向けた作業を続けることなど、あってはならない。
在日米軍基地の適正な規模や配置、沖縄県民の負担軽減は引き続き、すべての日本国民が考えるべき課題である。決して過去の問題などではない。
【<社説>新知事に翁長氏 辺野古移設阻止を 尊厳回復に歴史的意義 琉球新報11/17】 新たな基地は造らせないとの民意は揺るがない。県知事選で、そのことがあらためて証明された。 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対を掲げた前那覇市長の翁長雄志氏(64)が、政府と共に移設を進める現職の仲井真弘多氏(75)らを破り初当選した。 約10万票の大差は、県民が「沖縄のことは沖縄が決める」との自己決定権を行使し、辺野古移設拒否を政府に突き付けたことを意味する。 翁長氏には、政府の強硬姿勢を突き崩して移設問題など基地問題に終止符を打つことに全力で取り組むことを期待したい。■民意尊重は当然
在日米軍専用施設の74%が集中する沖縄に新たな米軍基地の強権的な押し付けを認めることは、県民自ら尊厳を否定するに等しい。今知事選は1968年の主席公選を勝ち取った住民運動同様に、沖縄の尊厳と誇りを回復できるかも問われた。
仲井真知事の辺野古移設工事埋め立て承認で、沖縄の尊厳と誇りを傷つけられたと感じた県民は少なくない。保守分裂選挙となったことがそれを物語っている。失われかけた尊厳を県民自らの意志で取り戻した選択は歴史的にも大きな意義を持つ。
一方、政府は選挙結果にかかわらず、辺野古移設を進めると明言しているが、民主主義国家として許されない。埋め立て承認で地元の了解が得られたと受け止めているようだが、それも間違いだ。
仲井真知事は前回知事選で県外移設を訴えて当選した。県民は辺野古移設推進にその後転じた仲井真知事を支持したわけではない。つまり地元の大半は了解などしていないのである。
政府は辺野古移設の是非を最大の争点とした知事選で示された民意を真摯(しんし)に受け止め、辺野古移設を断念すべきだ。それこそが安倍政権の言う「沖縄に寄り添う」ことを具現化することになる。
米政府も民主主義に立脚すれば、民意の重みを無視できないはずだ。
ことし1月の名護市長選では移設阻止を掲げた稲嶺進市長が再選された。にもかかわらず、政府は移設工事を強行着手した。新基地建設工事を既成事実化し、県民に無力感を植え付けることを狙ったことは明らかである。
だが、県民がなえることはなかった。新基地建設反対の意志をさらに強固なものにするきっかけにもなった。多くの県民が基地の県内たらい回し拒否に票を投じたことが何よりの証しだ。■県民支援が必要
東村高江では住民の反対を無視し、新たな米軍ヘリパッドの建設計画が進められている。翁長氏はオスプレイ配備に反対する立場からヘリパッド建設に反対している。建設断念に追い込んでほしい。県内全41市町村長が署名した「建白書」の求めるオスプレイ配備撤回の実現にも知事として力を注いでもらいたい。
基地問題の解決はこれからが正念場である。辺野古移設など米軍基地の過重負担を強いる政府の厚い壁を突き破るためには、県民世論の後押しが欠かせない。「建白書」の精神に立ち返り、さらに幅広いオール沖縄で基地問題解決を訴え、翁長氏を支援する態勢の再構築も求められる。
基地問題以外にも解決しなければならない課題は多い。
翁長氏はアジア経済戦略構想の策定による自立経済の発展や正規雇用の拡大、4年後までの認可保育所の待機児童ゼロ、子ども医療費の無償化などさまざまな施策を通して県民生活を豊かにすることを打ち出している。
那覇市長を14年務めた翁長氏の行政手腕、さらには那覇市議と県議で培った政治力、行動力を生かし、公約を実現するよう期待したい。県民は平和と豊かさの実感を望んでいる。県民の負託に応え、沖縄の将来も見据え、リーダーシップを発揮してほしい。
【社説[県知事に翁長氏]辺野古に終止符を打て 沖縄タイムス11/17】
沖縄の人々が長い間、心の底にしまい込んでいた感情が、マグマとなって一気に地表に噴き出した。予想を上回る歴史的な選挙結果である。
米軍普天間飛行場の辺野古移設問題を最大の争点にした知事選で、移設反対を主張する前那覇市長の翁長雄志氏(64)が、埋め立てを承認し移設容認に転じた現職の仲井真弘多氏(75)ら3人の候補を大差で破って初当選した。
1月の名護市長選に続いて再び、「埋め立て承認・辺野古移設反対」の強固な民意が示されたことになる。沖縄の多数意思が何を求めているかは、もはや疑う余地がないほど明白だ。
同時に実施された那覇市長選も、「オール沖縄」の旗を掲げ翁長氏と完全セットで選挙戦を展開した前副市長の城間幹子氏(63)が、自民、公明推薦の与世田兼稔氏(64)を振り切った。
保革の枠を超えて集まった人々が、保守層だけではなし得ず革新層だけでも果たせなかったであろう二大選挙のダブル勝利を勝ち取ったのである。沖縄の今後の政治潮流に大きな影響を与えるのは確実である。
仲井真知事が昨年12月に行った埋め立て承認の法的効力は今も生きている。とはいえ、県外移設の公約に反して事前説明もないままほとんど独断で承認したことが有権者から2度にわたって否定された事実は極めて重い。
もはや辺野古移設をめぐって丁々発止と渡り合う時期は過ぎた。「地元の頭越しには進めない」という普天間問題初期の政府方針に立ち戻り、計画見直しに向けた話し合いに入るべきである。
1996年の返還合意からはや18年。住民にこれ以上、精神的負担を強いてはならない。ここまできてなお移設を強行するのは、暴力的な犠牲の押しつけである。
試合終了のホイッスルを鳴らすときだ。
■ ■
昨年12月、仲井真知事は首相官邸で安倍晋三首相と会談し、沖縄振興策などの説明を受け、「驚くべき立派な内容」「140万県民を代表して心から感謝する」と最大限の賛辞を連ねた。記者団に対しても「いい正月になる」と、耳を疑いたくなる言葉を連発した。
知事が辺野古の埋め立て申請を承認したのはその直後である。
この一連の言動が県民感情を刺激し、特に高年層の激しい反発を招いた。
仲井真氏は出馬表明にあたって「県民に誤解を招いた」と陳謝し、選挙中も文書を配って重ねて「いい正月」発言をわびた。いかに有権者の拒否反応が大きかったかを物語っている。
今回の知事選は仲井真政治に対する信任投票の性格を帯びていた。
結果は仲井真氏のオウン・ゴール。「辺野古ノー」と同時に、「仲井真ノー」が示された選挙でもあった。
自民党本部は当初、苦戦必至の仲井真氏出馬を懸念し、自民党県連に再考を求めたが、県連はこれに従わず、自ら墓穴を掘る結果を招いた。那覇市長選の候補者選びでも、もたつきが目だち、調整力、指導力の低下を印象づけた。
自民党県連は知事、那覇市長という重要ポストを失っただけでなく、保守層と経済界の分裂を生じさせ、知事選では公明党の支援も得られなかった。
党内で責任問題が浮上するのは避けられない。沖縄の政治は流動化の過程に入るはずだ。
当初、革新陣営の中には、翁長氏の過去の経歴や政治活動に対するアレルギーが強く、当選後の心変わりを懸念する声があった。
懸念が杞憂(きゆう)に終わったのは、仲井真氏当選に対するかつてない警戒感と、保守革新両サイドの選挙協力が予想以上にうまくいったからだ。
劇的な勝利を手にした翁長氏には、休む間もなく難題の数々が待ち受けている。今後の県政運営は容易ではない。
主張の異なる支持層の声をどのように拾い上げ、公約を実現していくか。自民党時代に発揮した手腕を、自民党を野党に回してどのように発揮していくか。政治家としての正念場である。
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