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 「河野談話」否定の意見書  根拠示せず、数で強行    

 自民党県議団は、朝日が吉田証言を取り消した、具体的事実もしめさず、河野談話作成過程の検証で「問題があきらかになった」ということで、「日本人の名誉が傷つけられた」として新談話を求める意見書を提出。党県議団は、意見書に対する質疑、反対討論で対決した。
 政府は、「吉田証言は採用していない」、作成過程は「妥当」としており、意見書提出の根拠についてなど質疑で質したが、まったく根拠をしめせず、道理がなくても数で押し通す・・・反民主主義の姿だけが浮き彫りになった。

以下の答弁の特徴。質疑、討論の全文

慰安婦問題が大きな問題になったのは、「ご指摘のとおり、91年の元慰安婦の提訴」と認めながら、朝日の報道が吉田証言〔80年代初頭〕もふくめて「大きな影響を与えた」と何の根拠も示さず主張。が、河野談話の内容ついては、「朝日報道との関係性はない」と認めざるを得なかった。

軍の関与、慰安婦の生活についても、加藤、河野談話にもとづき、「直接、あるいは間接的に関与した」「外出の場所や時間が制限されていたところもあったことが政府資料からも確認されており、戦地において軍の管理下で軍とともに行動させられるなど、強制的な状況のもと、痛ましいものであったと認識」と答弁

 募集の強制性についても「ご指摘のとおり、いかなる経緯であったとしても全体として個人の意思に反しておこなわれたことが多かったという趣旨で、強制性があったと理解しております」と答弁

 慰安所での生活の強制性、募集での「本人の意思に反した」強制性を否定できず、新しい談話を出す根拠を何一つ示すことができなかった。

答弁は最後に「過ちは過ちとして事実であれば謝罪すべき」、また「事実と異なるものに対しては断固として正しいことは正しいと主張していかなければならない」と述べた。

が、何が、「事実と異なること」なのか、さっぱりわからずじまい。

「強制連行の裏づけとなる資料がないことが改めて閣議決定されている」と答弁でのべているが、命令書がないことから、河野談話作成にあたって証言の聞き取り調査を行ったことを、質疑の中で指摘しており、新しい談話の理由になっていない。

地元紙の記者座談会でも「共産党議員の質問に対して明確な根拠を示した答えになっていなかった」「過半数の『数の力』で押し切る形になった」と取り上げられている。

慰安婦問題の核心をどうとらえるのかとの質問には、前段で加藤、河野談話に基づく答弁をしながら、「日本だけでなく世界中にも女性の人権が侵害されてきた時代があった」として、一般論にしてしまい、「過ちは過ちとして事実であれば謝罪すべき」と言いながら、「軍による性奴隷」制度という本質を直視することから逃げた。
 

 以下、質疑と反対討論。県議会「唯二」の女性議員が登壇した。

【質疑】

私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となっています議発第13号「『慰安婦問題』について適切な対応を求める意見書案」について質疑を行います。

 本意見書案は、1993年8月に政府が出した「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」の見直しを求めるものです。

 見直しの論拠として2点が示されています。その第1は、朝日新聞が、本問題の根幹をなす慰安婦報道について、根拠とした証言が虚偽であったことを認めたからだとしています。これは全くの事実をゆがめるものです。
 朝日新聞が訂正したのは「吉田証言」ですが、当時から研究者の間でもその信憑性が疑われており、官房副長官として「河野談話」の作成に直接関わった石原信雄氏自身も「吉田証言をベースにして韓国側と議論したということは、私にはありません」「繰り返し申しますが、河野談話の作成の過程で吉田証言を直接論拠にして強制性を認定したものではない」とテレビ番組に出演し証言しています。「河野談話」の作成の際に吉田氏からヒアリングを行っていますが、吉見義明さん、秦郁彦さんなど吉田証言を否定する研究者の意見も聞いており、当時すでに吉田証言は否定的にあつかわれています。
 この10月3日の衆院予算委員会では、菅官房長官は「吉田清治〔せいじ〕氏の証言は客観的事実と照らしてつじつまが合わなかった。他の証言者の証言と比較して信用性が低かったことから『河野談話』に反映されなかった」、安倍首相も「官房長官が答弁した通り」と明確に答弁しています。提案者は、この管官房長官と安倍首相の答弁を否定するものです。否定した根拠をお示しください。

見直しの論拠の2点目は、「河野談話作成過程等に関する検討チーム」が公表した、「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯」にあるとしています。それは、「調査を踏まえた事実関係を歪めることのない範囲で、韓国政府の意向・要望については受け入れられるものは受け入れ、受け入れられないものは拒否する姿勢で調整した」として、調整された内容だとの指摘、また、韓国人元慰安婦の証言の裏付けをとっていないという点だと受け止めます。しかし、この文面をよく読んでいただくとわかるとおり、日本側は、「調査を踏まえた事実関係をゆがめることのない範囲」と明言しており、日本側はその点を譲らず、自主的に行ったとの見方を確認し、検討報告書も「その内容が妥当なものであると判断した」と結論づけています。

 河野談話に先立ち、政府は、92年7月6日、公文書を含む関係資料の調査にもとづき当時の加藤紘一官房長官が「慰安所の設置、慰安婦の募集に当たる者の取締り、慰安施設の築造・増強、慰安所の経営・監督、慰安所・慰安婦の衛生管理、慰安所関係者への身分証明書等の発給等につき、政府の関与があったこと」を認め「従軍慰安婦として筆舌に尽くしがたい辛苦をなめられたすべての方々に対し、改めて衷心よりお詫びと反省の気持ちを申し上げたい」と表明しました。また、慰安所の経営・監督にかかわる公文書には、「慰安所規定」も含まれており、「慰安所」における「慰安婦」の生活が自由のない強制的なもの――強制使役であったことも明らかにしています。
 提案者は、この、慰安所について軍が全面的に関与したこと、「慰安婦」の生活に自由がなかったことが、確認された事実はお認めになるのか、明確な答弁を求めます。

 この調査では、募集については強制性を示す当時の政府の公文書、命令書を見つけることができていません。 それは不思議でも何でもありません。拉致や誘拐などの行為は、当時の国内法や国際法でも、明白な犯罪行為であり、それを命令する公文書など発行するはずがないからです。たとえ当時存在していたとしても、そのような証拠をそのままにしておくことは考えられません。故に、最終的な判断を下すため、政府として直接に元「慰安婦」からの聞き取り調査をおこなったわけです。談話作成に直接かかわった石原元官房副長官は「ヒヤリングの結果は、どう考えても、これは作り話じゃない、本人がその意に反して慰安婦とされたことは間違いないということになりましたので、そういうことを念頭において、あの『河野談話』になったわけです」と聞き取り調査による信憑性を強調しています。

 「河野談話」は募集の強制性について「本人の意思に反して」と規定しています。狭義の強制連行だけでなく、甘言やだまし、脅迫や人身売買などによって「慰安婦」とされた場合全体をさしているのです。
 日本の司法は、元「慰安婦」の訴えにもとづく8つの裁判で、35人の原告全員に、本人の意図に反した「強制」があったことを事実認定しています。
 日本の司法による事実認定は「強制性」の明白な証拠ではないとの認識か、お聞きします。

  「証言に裏付け資料がない」との指摘ですが、河野談話の作成過程を今回再検討した管官房長官は、河野談話を「継承するという政府の立場は変わらない」と発表しました。この政府の、見解が誤りだとお考えか伺います。

 検証報告書ものべているように、「慰安婦問題」が国際化したのは91年に韓国の元「慰安婦」が名乗り出て、その過酷な人権蹂躙の実態を告発したことにあります。その後、韓国、フィリピン、インドネシア、東チィモールなど各地の被害者が次々と名乗り出たのです。
「慰安婦」問題の国際世論化は、朝日新聞報道に端を発したのではなく、なにより当事者の告発であったことは、国連を含め世界の常識です。

 その 日本軍「慰安婦問題」の本質はなにか。それは、女性たちがどんな形で来たにせよ、それがかりに本人の意思で来たにせよ、強制で連れて来られたにせよ、一たび日本軍「慰安所」に入れば、自由のない生活を強いられ、強制的に兵士の性の相手をさせられた――性奴隷状態とされたことです。そこが、世界からきびしく批判されているのです。
 米国下院、オランダ下院、カナダ下院、欧州議会、韓国国会、台湾立法院、フィリピン下院外交委員会と、七つの国・地域の議会から抗議や勧告の決議があげられていますが、そのいずれもが問題にしているのは、「強制使役」の実態であり、募集の過程の狭義の「強制連行」の有無ではありません。
 提案者は、慰安婦問題の核心をどのように考えておられるか。「人さらいのようのような強制連行」以外は問題ではないというお考えか、伺います。

 今求められるのは、政府も「継承する」とした「河野談話」にもとづく誠実な対応です。河野談話は「われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。」と宣言しています。
 あやまちはあやまちとして、しっかりと向き合うことが、人の道であり、そうしてこそ、諸外国の真の友好を築くことができるのではないか。お聞きします。

【反対討論】

 日本共産党を代表して、議題となっています議発第13号、「「慰安婦問題」について適切な対応を求める意見書」に反対の立場で討論を行います。

 質疑を通じ、意見書が理由としてあげる河野談話作成過程の問題は存在しないこと、朝日新聞の報道した吉田証言の取り消しも河野談話にまったく反映していないことが明らかになりました。同意見書は事実を無視したもので、議決に付す要件を欠いています。

 政府は「河野談話」の継承を国内外に約束しました。河野談話は、慰安婦問題の過ちを認め謝罪し、二度と繰り返さない決意、人の尊厳を大切にする日本の人権感覚を世界に示したもので、日本と日本人の信頼を高める、明らかに大きな一歩を踏み出しましたものです。その誠実な実行こそが求められています。
ところが、政権党である自民党の外交・経済連携本部国際情報検討委員会は、9月19日、朝日新聞の吉田証言取り消しを「根拠」に、「性的虐待」は否定されたと河野談話の否定を決議しました。同意見書案も同じ流れにそったものです。
 政府が「継承」を世界に約束しながら、国内で否定の運動を政権党がするという、こうした「二枚舌」的対応こそが、「日本は多くの国益を失うとともに、国民の尊厳は不当におとしめられつづけている」事態を生んでいることを厳しく指摘しておきます。

 同意見書は、「慰安婦」問題の本質、何を国際世論が問題にしているのかまったく理解していないことから提出されたものです。
 女性たちがどんな形で慰安所に来たにせよ、それがかりに本人の意思であっても、強制によってであっても、ひとたび日本軍『慰安所』に入れば、自由のない生活を強いられ、強制的に兵士の性の相手をさせられた――性奴隷状態とされた、甚だしい女性への人権侵害の事実が慰安婦問題です。 

 問題の本質を理解していない典型例は、安倍首相らがアメリカの新聞に出した「慰安婦は公娼制度と同じで、問題はない」とする意見広告です。

 19世紀半ばから、公娼制度は、人身売買、奴隷制度とする認識が大きく広がっています。イギリスは、19世紀末に登録制を廃止しました。アメリカの多くの州にはそもそも存在していません。だから、「公娼制度だから問題ない」という意見広告が、怒りを呼び、2007年の下院決議になりました。
女性を性の道具として扱うことを、先の大戦で、組織的に実施したのは日本とドイツだけです。日本では、設置計画の立案--場所や必要人数の算定、業者選定・依頼・資金斡旋、女性集め、女性の輸送、慰安所の管理、建物・資材・物資の提供などすべてにおいて軍の管理下または直接実施によって進められました。一般の公娼制度のように「管理」の対象としたというのでなく、国の意思として政策的に推進しました。だからこそ厳しく世界が批
判しているわけです。

 戦前、大日本国憲法下の日本でも、「工場で働くのだ」とだましたり、借金漬けで逃げられないようにして国外移送することは「人身売買」として犯罪行為とされていました。1932年、 軍の依頼で、上海の「海軍指定慰安所」のために、「女給」「女中」と騙して、「慰安婦」をあつめて移送しようとした業者が検挙・有罪になっています。ところが、取り締まるべき政府が、中国との全面的な戦争に突入する中で、「現地に於ける実情に鑑みるときは、必要已むを得ざるもの」(内務省警保局)と「黙認」する通達を出しています。さらに、人数を指定して女性集めを指示する文書も出ています。政府に犯罪行為の認識があったために、その中でわざわざ、「何処迄も経営者の自発的希望に基く様取運ぶように」と指示しています。

 また、当時の日本は人身売買を取りしまる4つの国際条約のうち、3つに加盟しており、その1つは「未成年者は、本人の承諾があるなしにかかわらず売春に従事させることは全面的に禁止」するものでした。しかし、多くの「慰安婦」は10代の少女であったことが、被害者の証言だけでなく、公文書でも明白です。
人さらいのような「強制連行」がなければ、問題がないとする見解は、歴史を偽装するものです。

 さらに、戦前の日本は公娼制度を当然視していたというのは、先人を冒涜するものでもあります。女性の人権という発想がなかった男性だけの県会においても“事実上の奴隷制度”の認識が広がっていました。公娼制度を廃止した県は14、廃止決議をあげた県会も20を超えています。高知県会もその1つです。1937年の鹿児島県会の決議は、「公娼制度は人身売買と自由拘束の二大罪悪を内容とする事実上の奴隷制度なり」と厳しく批判しています。この先人たちの認識に比べても、あまりにも遅れた女性の人権意識に基づいた意見書案となっています。
 人さらいのような「強制連行」がないから、問題ない、性奴隷ではない、という主張は、女性の人権についての歴史の動きを直視しない、国際的にまったく通用しない主張であることを重ねて指摘しておきます。

 最後に、この問題は、現在も続く人身売買や性差別につらなっている今日的問題であることを指摘しないわけにはいきません。
都議会の女性差別ヤジの問題を本会議でも指摘しましたが、日本は、米国務省が発表している世界186カ国・地域の「人身売買報告書」で人身売買撤廃のための最低基準を満たしていないとG7の中で最低の評価をされ、世界経済フォーラムが発表する「ジェンダー・ギャップ指数は136カ国中105位に低迷しています。国連女性差別撤廃委員会からは、改善に取り組む姿勢の無さを繰り返し批判されています。女性差別、女性の人権侵害の歴史に正しく向き合えていないことの反映です。

 慰安婦問題に正しく向き合い、河野談話の誠実に実行することは、女性差別、女性の人権侵害を克服し、男女がともに輝く社会をつくる前提であり、世界に通用する国際感覚の土台です。その上にたってこそ、高知県も進めている韓国や中国、オランダとの国際交流もさらに発展していくと確信しています。

 日本ではじめて女性の参政権を実現したこの高知で、同意見書案を可決することに、高知県連合婦人会をはじめ19の女性団体から、抗議の声明が出されました。本意見書の撤回を求めるとともに、女性の人権、人間の尊厳を回復する課題であり、被害女性たちの高齢化の中で、解決はまったなしの状況だとしています。全く同感です。
歴史の歯車を過去に回し、県議会の先輩をも冒涜し、汚点をのこすことになる本意見書は、採択すべきではありません。心から訴えて、反対討論といたします。

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