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ガイドライン改定 国民不在、際限なく米軍追従

  閣議決定で、一方的に憲法解釈変え、国会の法の審議・成立もないまま、ガイドラインで自衛隊の運用を拡大。この経過の中に、国民はまったく不在。
「周辺地域」と「後方支援」の枠をはずせば、地球規模で、米軍とともに活動できるようになる。アメリカの「傭兵」化―― 多くの自衛官は、そんなためになったのではない。自らは戦地に行く危険のない権力者の「暴走」。独裁国家の様相がいよいよ鮮明になってきた。

 【主張 ガイドライン改定 地球規模の日本参戦が狙いだ 赤旗10/9】
【日米防衛指針見直し 「専守」骨抜き許されぬ 東京10/9】
【<社説>新防衛指針 際限なき米軍追従は危険だ 琉球新報10/10】
【日米防衛指針  国民不在で進めるのか 京都新聞10/10】

【主張 ガイドライン改定 地球規模の日本参戦が狙いだ 赤旗10/9】

 日米両政府が、「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」見直しに向けた中間報告を発表しました。中間報告は、安倍晋三政権が7月1日に強行した集団的自衛権行使容認を柱にした閣議決定について「(指針見直しに)適切に反映し、(日米)同盟を強化」すると明記しました。「海外で戦争する国」への道を開いた閣議決定を具体化し、米国が地球規模で引き起こす戦争に日本が参戦する危険な仕組みづくりをもくろむ、指針見直しは許されません。

■自衛隊を戦地に派兵
 1997年9月に策定された現指針は、平時、日本への武力攻撃(日本有事)時とともに、日本周辺地域での日本の平和と安全に重要な影響を与える事態(周辺事態)に際しての日米軍事協力を定めています。中間報告では、年内を目標にしている指針見直しに、「グローバル(世界的)な平和と安全のための協力」として、地球規模の日米軍事協力を初めて盛り込むことを打ち出しました。
 「グローバルな協力」の対象分野に「後方支援」を挙げていることは重大です。7月の閣議決定は、「国際社会の平和と安定への一層の貢献」という名目で、これまでの自衛隊海外派兵法に規定されていた「戦闘地域で活動してはならない」という憲法9条の歯止めを取り払ったものです。自衛隊が海外で活動できる地域を「後方地域」「非戦闘地域」に限定してきた従来の枠組みを廃止し、これまで「戦闘地域」とされてきた場所であっても、他国軍隊への支援活動(後方支援)ができるとしました。
 指針見直しが、閣議決定に基づき、米国がアフガン報復戦争やイラク侵略戦争のような戦争を起こした際、自衛隊を戦地に派兵し、米軍を支援することを狙いにしているのは明らかです。
 中間報告が、指針見直しで「周辺事態」を削除し、「日本と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生し…7月1日の閣議決定の内容に従って日本の武力の行使が許容される場合における両政府間の協力について詳述」するとしたことは見逃せません。現指針が、日本が武力攻撃を受けていない「周辺事態」での武力行使を認めず、「後方地域」での米軍支援に限定しているのを大きく踏み越えることになるからです。
 閣議決定は、日本に対する武力攻撃の発生時だけでなく、日本への武力攻撃がなくても、「他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に、海外での武力の行使=集団的自衛権の行使ができるとしています。指針見直しは、「周辺事態」という地理的制約も取り払い、閣議決定に従って、国民の権利が根底から覆される「明白な危険」があると判断すれば、世界のどこででも米国と肩を並べて自衛隊が武力行使することを取り決めようというのです。

■閣議決定の“肉付け”
 安倍政権は今後、閣議決定を具体化する立法作業に合わせ指針見直しを行っていくとしています。「憲法9条の下では集団的自衛権の行使は許されない」という歴代政府の憲法解釈を百八十度転換した歴史的暴挙である閣議決定を“肉付け”することは国民の願いに真っ向から反します。


【日米防衛指針見直し 「専守」骨抜き許されぬ 東京10/9】

 日米防衛協力のための指針の見直しに向けた中間報告が公表された。専守防衛は戦後日本の「国のかたち」である。骨抜きにするのなら、許されない。
 防衛協力のための指針は「ガイドライン」と呼ばれる。冷戦期の一九七八年に策定された旧指針は日本への武力攻撃があった際の、自衛隊と米軍との役割分担を中心に記されていた。
 現行の指針は冷戦後の九七年に改定されたものだ。朝鮮半島など日本周辺での緊急事態である「周辺事態」を想定した内容に改められ、自衛隊の役割が拡大された。

◆自衛隊活動、世界中で
 十二月の最終取りまとめを目指す今回の見直しは、中国の軍事的台頭への対応とともに、自衛隊の活動領域を世界に広げることが大きな目的であることは明白だ。
 公表された中間報告は「序文」で、指針の見直しが「日米両国が、国際の平和と安全に対し、より広く寄与することを可能とする」と記し、その「目的」では、将来の日米防衛協力が「日米同盟のグローバルな性質」を持つことを確認している。
 現行指針では「平時」「周辺事態」「日本への武力攻撃」という三つの場合を想定しているが、中間報告では「周辺事態」という文言が消え、「平時から緊急事態までの切れ目のない形」に改められている。「緊急事態」とは、どの場所で起きて、何を指すのか、全く明らかにされていない。
 この指針から透けて見えるのは「地球の反対側」を含め、世界の紛争に介入する米軍を支援する自衛隊の姿にほかならない。
 これを可能にしたのは、今年七月一日の閣議決定だ。歴代内閣が堅持してきた政府の憲法解釈を、安倍晋三内閣のみの判断で変え、憲法が禁じてきた「集団的自衛権の行使」を認める内容である。

◆平和国家に高い評価
 世界中の人々が平和で安全に暮らせるよう、日本も積極的に貢献すべきだとの考えに異論はない。「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」ことを前文で宣言した日本国憲法の理念でもある。
 私たちだけ平和ならいいという「一国平和主義」では、国際社会の「名誉ある地位」(憲法前文)には、到底たどり着けまい。
 しかし同時に、戦後日本の平和国家としての歩みこそが、国際社会で高い評価と尊敬を勝ち得てきたことにも、いま一度、目を向けるべきではないか。
 日本への攻撃時にのみ自衛権を発動する「専守防衛」や、核兵器を「持たず、造らず、持ち込ませず」の非核三原則は先の大戦の反省や体験に基づく戦後日本の「国のかたち」だ。すでに見直されたが、武器輸出を原則禁じた「武器輸出三原則」も同様だった。
 中間報告では現行の指針同様、「日本の行為は、専守防衛、非核三原則等の基本的な方針に従って行われる」と記されてはいるが、指針見直しに伴い、集団的自衛権の行使に該当する対米軍支援をするようなことになれば、専守防衛を逸脱するのは明らかである。
 専守防衛を掲げながら、それを骨抜きにするのは、あまりにも不誠実だ。断じて許されない。
 もう一点、見過ごせないことがある。それは、自衛隊と米軍が、どの事態に、どう協力するのか、中間報告では、詳細な検討事項が明らかにされていないことだ。
 九七年の見直しの際、中間報告には武器・弾薬を含む物資・人員・燃料の輸送支援や、不審船舶の検査、機雷除去など、十五分野四十項目にわたる対米協力の検討事項が列挙され、国会でも議論された。
 しかし、今回は「情報収集、警戒監視及び偵察」「後方支援」「非戦闘員を退避させるための活動」「海洋安全保障」などを含み得ると記しただけだ。それらが、集団的自衛権の行使に該当するのなら、戦後日本の安全保障政策を根底から覆す大転換である。
 にもかかわらず、何を検討しているのか、国民に詳細を明らかにせず、日米両政府の担当者間だけで議論し、既成事実化する。そんな手法が認められるはずはない。
◆秘密保護法も「同根」
 中間報告は「日米共同の取組」に「情報共有・保全」も記した。日本側の対応は防衛・外交など特段の秘匿を必要とする「特定秘密」を漏らした公務員らを厳罰に処す特定秘密保護法にほかならない。
 この法律は十二月十日に施行される見通しとなった。防衛指針見直しと無縁ではないだろう。
 安倍内閣の二年弱で、自衛隊の活動拡大、対米協力強化を旨とした防衛政策の見直しが劇的に進んでいる。アジア・太平洋地域の情勢変化が背景にあるとはいえ、このまま進めていいのか。立ち止まって考えるときにきている。

【<社説>新防衛指針 際限なき米軍追従は危険だ 琉球新報10/10】

 いったいどこまで米軍と一体化するというのか。
 日米両政府が日米防衛協力指針(ガイドライン)改定に向けた中間報告を発表した。歯止めをことごとく外し、米軍と自衛隊を無限定に一体化させる企図が目につく。
 仮に中間報告の意図を全て実現すれば、日米安保条約自体を改めるに等しい。安倍内閣は集団的自衛権で憲法改正を避けて解釈改憲をしたが、今度は防衛指針改定によって「解釈改安保」を図っている。本当にこの改定が必要と言うなら、改定の真の狙いを率直に国民に示し、国会でも堂々と議論すべきだ。
 日米安保条約は日本への直接攻撃を米軍が守る代わりに日本が米軍に基地を提供するというのが建前だ。日本への攻撃が前提だが、1997年改定の防衛協力指針はそれを日本周辺での戦争、つまり「周辺事態」にまで対象を広げた。
 今度はその周辺事態の制約も外し、「地球規模の課題に日米が協力」することにした。言葉は美しいが、地球の反対側での米軍の戦争に日本が付き合うということだ。安保改定とはそういう意味である。
 周辺事態法が禁ずる他国軍への武器弾薬提供や戦闘機への給油も行うという。国際常識ではこれは戦争参加だ。集団的自衛権行使であり、自衛の概念すら突き抜けた「集団安全保障」ともなる。日本に何の恨みもない第三国が日本を攻撃する可能性は、これで飛躍的に高まる。米軍基地が集中する沖縄の危険性増大は計り知れない。
 安倍晋三首相は武力行使について「新三要件」での限定を強調するが、三要件に具体的基準はない。何が「わが国の存立が脅かされる」事態か、時の政府の主観でいかようにも判断できる。国民の大半が反対しても首相の一存で解釈改憲する政府だ。三要件該当の判断などいくらでも可能だろう。
 実は現行の防衛指針も米軍基地だけが関係するのではない。日本中の民間の港も空港も、いざとなれば米軍が使うと定めている。施設だけではない。「地方公共団体の権限・能力、民間の能力も活用」とあるから、公務員も民間人も根こそぎ米軍への協力が義務付けられているのだ。
 これまでは周辺事態という制約があったが、今後はその制約もない。政府は「切れ目のない安全保障」というが、「際限のない米軍追従」と言うべきだ。そんな危険な改定は許されない。

【日米防衛指針  国民不在で進めるのか 京都新聞10/10】

これでは自衛隊の米軍支援が際限なく広がらないか。
 日米両政府は、防衛協力指針(ガイドライン)改定に向けた中間報告で、自衛隊の対米支援で地理的制約を外し、活動範囲や任務を飛躍的に拡大させる方向性を鮮明にした。
 現行の指針は1997年に改定され、専守防衛の基本方針の下、対米支援を事実上、日本周辺に限定している。イラク戦争などでは特別措置法で活動範囲を拡大したが、憲法が禁じる「他国の武力行使との一体化」を避けるため、「非戦闘地域」に限定、自衛隊の抑制的な運用に努めてきた。
 だが、安倍晋三政権は集団的自衛権の行使を容認した7月の閣議決定で、非戦闘地域の考え方を撤廃し、戦闘が実際に行われている戦場でなければ自衛隊の活動が可能とした。こうしたことが今回の中間報告に反映している。
 報告では、従来の「平時」「周辺事態」「日本有事」の区分を廃止し、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態を含め、平時から緊急事態まで切れ目のない共同対応をするとした。後方支援を地球規模でできることになり、自衛隊の活動が野放図に拡大しかねない。
 一方、焦点の集団的自衛権行使の具体的内容については詳述を避けた。安倍首相が中東のホルムズ海峡での機雷除去など幅広い活動を視野に入れているのに対し、公明党は慎重な姿勢で、与党間で合意が得られていないためだ。両政府は年末までの改定で合意していたが、新指針決定は年明け以降になるとの見方が強い。
 問題は、日本の平和主義の根幹に関わる問題であるにもかかわらず、一貫して国民不在のまま事が進んでいることだ。
 安倍政権は、この臨時国会で審議するはずだった集団的自衛権行使にかかわる法整備も、11月の沖縄知事選や来春の統一地方選への思惑などから、来春以降に先送りする構えだ。
 このままだと、指針改定が先行し、法整備が後回しになる可能性も出てくる。そうなれば武力行使の拡大に歯止めをかける議論も制約がかかりかねない。それでは本末転倒だろう。日米の政策文書である指針に法的拘束力はないが、安保法制に影響する。指針改定と法整備は切り離さず、国会で並行して議論すべきだ。
 今回の中間報告から見えるのは日米同盟の「世界化」である。日米担当者の水面下の協議だけですませていいはずがない。


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