65歳での障害福祉打ち切り 5人に1人
65 歳を迎えた障害のある人が障害福祉サービスを打ち切られ、介護保険サービスを優先された結果、支援が受けられない、利用料負担が発生する事例の調査。打ち切りは、5人に1人となる。
今回の社保協のキャラバンの要望にいれているが、今後取り組みを強化したい。
【65歳になると障害福祉が打ち切られてしまう!
―65 歳を迎えた障害者・特定疾病者の「介護保険優先原則」の影響― きょぅされん2014/9/17】
【65歳になると障害福祉が打ち切られてしまう! ―65 歳を迎えた障害者・特定疾病者の「介護保険優先原則」の影響― きょぅされん2014/9/17】65 歳を迎えた障害のある人が障害福祉サービスを打ち切られ、介護保険サービスを優先された結果、支援が受けられない、利用料負担が発生したという事例が各地で発生しています。きょうされんは、その実情を浮き彫りにするため、本年5月~7月に緊急実態調査を実施しました。その結果をまとめましたので、ここにご報告します。ぜひ取材していただき、その実態を広めていただきたくお願い申し上げます。
・調査対象 きょうされん加盟事業所 1833 カ所(2014 年5月1日現在)
・調査期間 2014 年5月15 日~7月29 日
・回答数 714 カ所 利用者総数 2万1760 人
うち 介護保険優先原則対象者は1638 人(65 歳以上:1183 人 40 歳以上の特定疾病者:455 人)■介護保険優先原則による影響
・障害福祉制度のホームヘルプの支援を受けられなくなってしまった人は5人に1人
・就労継続支援の支給を打ち切られてしまい、私的な利用契約を余儀なくされた中にはこんな事例もありました。
・「介護保険優先原則」で障害福祉が打ち切られ、必要十分な支援の量を減らされた
・中途障害のある人は働くことを希望しても、「介護保険優先原則を徹底する」と言われた
・就労継続支援の利用は認めるが、生活介護の利用は認められなかった
・障害福祉だったら非課税で応益負担0円なのに、介護保険は一律応益負担が課せられる■調査の背景
65 歳以上の障害のある人と40 歳以上の「特定疾病」該当者は、介護保険制度と重複する自立支援給付については原則として介護保険を優先することが、障害者総合支援法第7 条に定められています(以下、「介護保険優先原則」)。一方で、障害のある人への支援は個別性や高い専門性が求められるため、厚生労働省は2007 年、自治体に「一律に当該介護保険サービスを優先的に利用するものとはしないこととする」と通知していました。
しかし、全国各地で障害のある人が、本人の意思や選択権が考慮されることなく、要介護認定を受けることを強いられ、認定された要介護度ごとに定められた介護保険サービスが優先され、障害福祉の支援が制約されてしまうという事例が起こっています。さらに、市町村によって解釈・実施に差異があり、そのため同じ障害や生活状況にあっても、暮らしている場所によって福祉や介護の選択・利用に格差が生じているのです。
■応益負担の発生とその矛盾
2010 年1 月に障害者自立支援法違憲訴訟の結果、厚労省とかわした「基本合意」では、「応益負担の廃止」が明記されており、その結果、2011 年度から障害福祉の利用にあたって、非課税世帯の応益負担は上限0 円となりました。
ところが本調査では訪問支援では86.2%もの人が、また日中活動支援においても22.9%の人が「介護保険優先原則」により、非課税世帯であっても介護保険の応益負担が発生してしまったことが明らかになりました。障害のある人の生活を支える支援・介護は年齢に伴い質・量共に減ることはなく、経済的な負担だけが増えていくということは、障害のある人の現状に全く添っていない制度設計になっていると云わざるを得ません。■まとめ
本調査でみたように、「介護保険優先原則」は、障害のある人の地域での暮らしや働くこと・活動等に大きく影響を及ぼしています。とくに大きな問題点は次の3つです。
1. 障害のある人の必要や選択権ではなく、機械的に年齢や疾病によって制度・施策が変更され、それによって生活の水準や質を引き下げてしまうこと。
2. 自立支援法と併せて応益負担の廃止を約束した「基本合意」が、65 歳という年齢によって反故にされてしまうこと。障害福祉と高齢者によって法律・制度が異なるのは国制度の問題であって、障害のある本人に転嫁されてはなりません。
3. 「介護保険優先原則」の対象になった途端に障害福祉の給付が打ち切られ、その支援が途切れてしまうこと。市町村事業の移動支援さえもが打ち切られてしまう事態は、「適用関係等の通知」を超越した行政の機械的判断と言わざるを得ません。また65 歳を超えると、訪問支援の国庫負担金の給付額が激減してしまう給付体系も「介護保険優先原則」を強要する大きな誘導要因になっています。今回の調査結果から浮き彫りにされた当面する課題を、国や厚労省の責任で早急に全国の市町村の実態を把握し、問題を緩和することが必要です。この問題を放置したまま、「2 割の応益負担導入」や「要支援者の介護保険からの除外」を盛り込んだ2015 年4 月の改定介護保険法を実施すれば、今以上に高齢の障害者などにとって大きな影響を与えることは火をみるより明らかです。
最後に、日本政府は2014 年1 月、国連の障害者権利条約を批准しました。障害者権利条約の諸原則にもとづいて障害施策・福祉制度を抜本的に再構築し、それを基本に高齢福祉制度の再建に着手するという政策形成の道筋が求められています。
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