保育新システム 郡部では選択の幅拡大・質の向上の可能性も
全体として「市場化」の流れの改革であるが、関係団体、知事会などさまざまな声も反映して使える部分もすくなくない。また、加算もふくめてこれまで以上の財源が投入されるので、保育料の引き下げ、保育士配置の充実などさらに前進させるチャンスでもある。
特に待機児問題のない過疎地では、選択の幅の拡大・質の向上も期待できる面がある。この面には運動の中でもあまり光があたっていない、感じがする。
当初の民主党案から内容もかわっている。生かせる部分を、地域地域でどう活用するか、知恵の出しどころ、と思う。
■民主党の素案
・「総合こども園」の設置 保育園、幼稚園の一体化〔法案では幼稚園を残すことに〕
総合子ども園。三歳未満の受け入れ義務なし〔待機児童解消に役立たず〕
待機児童の多い3歳未満のところに多様な事業主体の参入、公的支援の投入
・児福法24条の削除 市町村の実施義務はずし、市場にまかせる
■ 新システム
・現在の保育所も幼稚園もそのまま残せることになった。
・市町村の保育の実施義務が残った。
「総合こども園」は3歳未満児の受け入れ義務がなかったが、市町村に保育の実施責任が残った。
・基準の問題は、光と影の両面がある。
①地方の小規模の施設〔無認可〕に、公的関与と公的資金の投入による経営の安定、職員の処遇改善につながる/また、基準を満たすために過疎地では統廃合が著しい〔送迎時間の負担も大きい〕。その点で、地域地域で子どもを育てる点で〔地域の雇用の場もなる〕、選択肢が増えた。
→ 県内でも、市民運動が運営していた「無認可保育所」が、小規模保育事業に認定され、場所もよりひろいところへ移設している。県内には認可外施設が約100か所ある。そうした部分の質的向上につながる。
〔中央の子ども子育て会議では、小規模保育の職員単価について保育士450万円、資格なし200万円がしめされており、「同様の仕事をしているのに差がひどすぎる」「ワーキングプアをつくるのか」との意見が出ている。
/同時に、これも、過疎地では、地域のお母さん、お父さんなどが、地域の子どもの成長に関与しながら、一定の収入を確保できる、という地域社会の維持という面もある。〕
②都市部では、待機児解消で「安かろう・悪かろう」の対応がなされる危険がある。一方で、何の規制のないベビーシッターに比べれば、家庭的保育にしろ、連携園の存在もふくめ公的関与が前進する〕
・財政的には、今まで以上の公的資金が投入される。
自治体の保育の実施義務、子どもの権利を正面に、全体の底上げをどう確保するか。地域地域で知恵のつかいどころではないか、と思う。
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