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学力格差~最大の要因は「社会経済的背景」、学習時間の効果は「限定的」

 学力学習状況調査の結果から、学力に影響を与える要因を分析した文科省の委託研究〔耳塚寛明・お茶の水女子大学副学長〕。
 家庭所得と両親の学歴を加味した「社会経済的背景」。その社会経済的背景がLowest SESの児童生徒が「3時間以上」勉強して獲得する学力の平均値は、Highest SESで「全く勉強しない」児童生徒の学力の平均値よりも低い、という衝撃的なもの。
「この意味で、学力格差というのは、教育問題というよりは、社会問題として把握したほうが正しいと考えます。」と報告している。 議事録から、報告部分を引用。
 【子どもの貧困対策に関する検討会 第2回議事録(案) 2014/5/1より】
【家庭の社会経済的背景と学力格差 不利な環境を克服する学校の取組 耳原資料1/2】
【高い成果を上げている学校 訪問調査からみた特徴 資料2/2】
【こどもの日 学力向上にも必要な「貧困対策」 学校の役割に期待する声  THE PAGE5/5】

 また、学校でのとりくみでは、「家庭学習指導のあり方や、同僚性を高めるための取り組み、小中連携教育、言語に関する学習規律の重視、これらは学校で取り組むべきこと」としながら、「学校に対して、これこれこういう取り組みが有効なのでやってくださいとお願いしたところで、できるわけではありません。教員の置かれた状況、学校の置かれた状況の中で、教員がそのような取り組みを行う余裕、要するに資源がなくては可能ではございません。この意味で特に重要なのは、そうした取り組みを各学校で可能にするための行政による条件整備であると思います。」と、条件整備の重要性を指摘している。

 子どもの相対的貧困率が過去最高になった。OECDからは、最低クラスの教育予算、教員の長時間労働が指摘されている。
また、子どもの自己肯定感が他国に比べきわめて低い。学テなど競争教育の結果である。これも子どもの権利委員会から是正を勧告されている。
 
 安倍政権の「教育改革」は、どれもこれも逆走している。



【子どもの貧困対策に関する検討会 第2回議事録(案) 2014/5/1 より】

耳塚副学長 お茶の水女子大学の耳塚でございます。
今日は、お手元の資料にございますように「家庭の社会経済的背景と学力格差~不利な環境を克服する学校の取組~」というテーマで御報告をいたします。
このような機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
今日の報告では、主として、文科省の委託研究になります。
全国学力・学習状況調査の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究というこのデータを用いて、本年3月に公表されたところでございますけれども、報告をいたします。この研究のねらいは2つございました。
1つは「保護者に対する調査」の結果を活用して、まずは家庭状況と学力の関係を明らかにするということ。いま一つが、不利な環境にもかかわらず成果を上げている学校や児童生徒、それらの取り組みを分析するということ。どうしたらいいのかということの分析でございます。
今日は特に、後者のほうに重点を置いて報告をいたします。
とはいえ、まずは家庭の社会経済的背景と学力の関係について、確認をしておきます。
シートの2をごらんください。
ここで「社会経済的背景」と言っておりますのは、シートの下のほうに書いてございますけれども、保護者の「家庭所得」「父親学歴」「母親学歴」という3つの変数を合成した指標でございます。主にこの指標に基づいて、4つのグループに対象者を分けて分析をしております。
この表に明らかなように、家庭の社会経済的背景が高い児童生徒のほうが平均正答率が高い傾向が明らかにございます。
では、この社会経済的な背景の学力への影響というものを個人の努力によって覆すことが可能かどうかということについて、まず触れておきたいと思います。
左側がSESと学力、右側のグラフが平日の学習時間、これを努力の指標とまずは考えておきます。その両方の関係を見たものでございます。
これを見ますと、学力は、児童生徒の社会経済的な背景と学習時間の量によって、つまり2つのいずれについても、学力は規定されているということが言えます。SESが高いほど、また学習時間が長いほど、学力が高いという傾向がございます。
しかし、学習時間、努力の効果は限定的であると考えざるを得ません。左側の小学校のデータに着目をしていただきますと、左側のグラフの一番左側を見ていただきます。これが最も低いSESの背景を持っている子どもたちのグループでありますが、この中で、一番勉強しているグループ、図で一番左側の縦棒グラフになります。この学力の平均正答率は、一番右側のグループ、最も高いSESのグループで、全く勉強をしない子どもたちの学力を下回るという結果になっております。
確かに、各SESで、学習時間が長いほど、学力が上がるという傾向は明らかではあります
けれども、しかし、学習時間の効果は限定的であると考えざるを得ません。

ちょっと省略をしてまいります。
では、一体、このような努力と学力との関係は、努力の成果というのは、限定的であると考えざるを得ません。そうなると、家庭や学校において、どのような取り組みがSESの効果というものを抑え込むことができるかということに焦点が移ります。

今回は、2つの方法でそれを明らかにしようと考えました。まずは、SESによる学力格差を抑え込んでいる学校で、どういう取り組みがなされているかという点であります。
シートの6番の左側の図をごらんいただきます。
横軸はSESになります。縦軸は算数の正答率であります。1本1本の線は各学校をあらわします。
SESによる学力格差を抑え込んでいる学校というのは、この直線の傾きができるだけ小さい、つまりX軸と並行に近い学校ほど、学力格差を小さくすることに成功していると読むことができます。
このような学校で、どういう取り組みがなされているかということに注目して整理をしたのが、次の7枚目のシートになります。
ここで、点線の取り組みに注目をしてください。
直線ができるだけフラットに近い学校での取り組みであります。
まずはここから得られましたのは、放課後の補充学習を実施すること。それから、習熟の遅いグループに対する少人数指導を実施すること。教科の指導に関する小中連携を行うこと。家庭学習の教職員の共通理解を図ること。これらの取り組みがSESによる学力格差を抑え込む上で有効な取り組みであろうということが見えてまいりました。
2つ目の方法について説明をいたします。
このグラフの横軸は、学校の社会経済的な背景の平均値とお考えください。子どもたち、学校の児童生徒のSESの平均をとってみるということであります。縦軸が学力、平均正答率であります。
1本直線が描かれておりますが、これが全体として見たときに、社会経済的な背景が上がれば、学力がどのぐらい上がっていくのかというグラフになります。ここから高い成果を上げている学校というものを選び出しました。それは、この描かれた直線から距離のある学校、上のほうに対して距離のある学校ほど高い成果を上げているとみなすことができます。
丸をつけたのが、私たちが高い成果を上げている学校とみなし、訪問調査の対象とした学校でございます。小学校ではこのように4校を。中学校では赤丸の3校を対象として事例研究をいたしました。その結果、学校によって取り組みは多様ではありますけれども、この7校に共通した取り組みというのが見えてまいりました。主な点だけ報告をいたします。

まず、家庭学習指導であります。
ここでのポイントは、ただ単に宿題を出すということではなく、宿題に加えて、自主学習、これは学校によって自学とか自勉とか、いろいろな呼び名がございましたけれども、例外なく自主学習の時間というものも宿題とともに並んで、家庭で課しておりました。自分の関心に沿った学習や、弱点を自分で発見し、補充的な学習をするといったことが含まれます。
さらに、共通して見られた特徴は、宿題、家庭学習を出しっ放しにするのではなくて、翌日、必ず教員が結果を読んで、手を入れて、子どもに返すというきめ細かな指導をしていた点であります。
ただ、これは各学校で相当に教員の負担を大きくしているということも指摘をされました。

右側の列をごらんください。
同僚性というものを各学校で構築できていたということも共通の特徴でございます。
特に、研究授業を同僚間で見せ合ったり、これは中学校に行きますと、教科別の集団というのが強くなりますけれども、そういう教科を超えた相互の研究なども共通に見い出された特徴です。
学校の中、学校の外に授業を見に行くという取り組みも非常に熱心に行われておりました。
小中の連携教育というものも特徴の1つであります。
教育課程や学習習慣などの面で、小中学校が連携し、系統性を持った指導を図っているという特徴がございました。言語に関する授業規律や学習規律の徹底というものも共通に見られました。
書くこと、話すことだけではなくて、聞くことを非常に重視している。それからノート指導を丁寧に行う等のことであります。さらに、基礎・基本の定着を重視し、少人数指導、少人数学級というものを積極的に活用しているという特徴もございました。発展的な学習よりも、基礎・基本の定着のほうにウエートを置く。また、TTあるいは少人数指導というものが明らかに成果を上げているとどの学校でも指摘がございました。

ちょっと整理をしておきたいと思いますが、学力を最も規定する要因は、家庭の社会経済的な背景でありました。残念ながら、個々の子どもの努力や、学校の取り組みが強い影響力を持っているというわけではありません。
この意味で、学力格差というのは、教育問題というよりは、社会問題として把握したほうが正しいと考えます。所得の再分配、経済的な支援や雇用、保護者の就労支援、それから教育機会を保障するような奨学金等の経済的な支援、これがまずは決定的な重要性を持っていると考えます。

しかし、教育施策や学校での取り組みも効果的であります。家庭学習指導のあり方や、同僚性を高めるための取り組み、小中連携教育、言語に関する学習規律の重視、これらは学校で取り組むべきことであります。
しかし、学校に対して、これこれこういう取り組みが有効なのでやってくださいとお願いしたところで、できるわけではありません。
教員の置かれた状況、学校の置かれた状況の中で、教員がそのような取り組みを行う余裕、要するに資源がなくては可能ではございません。
この意味で特に重要なのは、そうした取り組みを各学校で可能にするための行政による条件整備であると思います。もし財源が乏しいのであれば、どの市町村教委、県教委も財源は乏しいと思いますが、もし財源が乏しければ選択的に、特にこのような社会経済的な背景の点で不利な環境にある子どもたちが多く在学する学校というものはわかりますので、そのような学校から選択的に財源を投下するということが重要かと思います。

そのような学校から選択的に財源を投下するということが重要かと思います。
今回の事例研究の中では、当然の指摘ですけれども、きめ細かな家庭学習指導や少人数指導というものはいずれも教員の加配がないと困難だという指摘が行われています。この面での格段の資源の投下というものが必要であると思います。
最後に1点、こうした財源の投下などの経済面での支援というのは、政策になじみやすい面があります。ですが、非常に大きく捉えてみると学力格差というものは経済的な側面と文化的な側面と双方によって規定されています。ただし、家庭の文化に介入するということは政策が最もやりづらいといいますか、難しい側面となると思います。
特に、今日はデータを紹介せずに資料だけ参考までにつけましたけれども、私どもは今回、家庭での取り組みと学力との関係も見ておりますが、それを見て感じさせられるのは、認知的な能力の基礎が形づくられる幼児期における教育の質、保育の質、家庭環境の問題でございました。まだ文部科学省ほかにおいては、この幼児期の問題に本格的に取り組んでいるとは言えない。幼児期の教育についてはまだこれからということだと思います。ぜひこれから調査等を進めていただければと考えております。

○耳塚副学長 御指摘の後ろのほうの点については、今日お渡ししました資料の最後の12ページ、13 ページに保護者の意識や関与と児童・生徒の学力ということで、関連の強かった事柄、家庭での取り組み等についてはデータを整理してございます。 そこで前半の質問と関係が出てくるのですけれども、こういうことを幼少期にした親の子どもで学力の高い傾向があるといいましても、その保護者自身の置かれた状況によって、やろうと思ってもこういうことがなかなかできないということが一番大きな問題であるので、その意味でももう少し基盤的な政策、経済的な支援等が重要と考えております。



○大塩構成員(全国母子生活支援施設協議会会長)  
御発表ありがとうございました。
今、御発表していただいた内容で、最後のほうに、学校に対して、子どもの貧困に対して、きちんと先生方に対しての研修を行ってほしいということをおっしゃったのですけれども、1つ前の耳塚先生の御発表の中で、前に戻って申し訳ないのですが、10ページの「高い成果を上げている学校 訪問調査から見た特徴」のところに「管理職のリーダーシップと同僚性の構築」と書いてありました。これがどういう管理職のリーダーシップと同僚性の構築なのかなと、ちょっと想像を膨らませていたのですが、学校の先生に対して、子どもの貧困に対しての研修というか、子どもの貧困の背景や生活の状況、連鎖を防止するために必要なことなどをきちんと伝えていくことがとても大事なことなのかなと感じました。感想でした。


【こどもの日 学力向上にも必要な「貧困対策」 学校の役割に期待する声  THE PAGE5/5】

 5月5日は、こどもの日。「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」(祝日法)日ですが、近年その子どもの幸福が危ぶまれています。貧困家庭に育つ子どもの増加です。昨年6月には議員立法で「子どもの貧困対策法」が成立し、政府は「子どもの貧困対策に関する大綱」を今年7月に策定すべく検討を始めました。

◆貧困率は先進国でも下位
 社会の貧困状況を測る指標として「相対的貧困率」があります。世帯の可処分所得(収入から直接税・社会保険料を除外)を低い順に並べたとき、その中央値の半分を下回る所得しか得ていない人の割合のことです。2010年の相対的貧困率は全体で16.0%、17歳以下の子どもでは15.7%(厚生労働省推計)と1997年以来最高を更新しています。子どもの6~7人に1人が貧困状態にある、というわけです。
 とりわけ深刻なのが一人親世帯(大人が1人)の子どもで、改善傾向にあるとはいえ50.8%と2人に1人を占めています。国際的に見ても経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国中25位、一人親世帯では33位と統計のある国で最下位になっています。

◆学力格差で懸念される「貧困の連鎖」
 生活保護世帯などを対象とした「就学援助」を受ける児童・生徒も、1995年度は6%に過ぎませんでしたが、12年度は15.6%に。1クラス40人のうち6人が受給している計算です。道中隆関西国際大学教授の調査(2008年)によると、生活保護世帯の4分の1が子ども時代にも生活保護を受けており、「貧困の連鎖」が懸念されています。家庭の状況が子どもの進学のみならず、学力も大きく左右することが分かってきているからです。
 文部科学省は先ごろ、2013年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の分析調査結果を発表しました。家庭所得と両親の学歴を加味した「社会経済的背景」(SES)という指標で比較すると、SESが高いほど学力が高くなることが明らかになりました。
 学力を上げるには家庭での勉強時間を長くするのが有効なのですが、それでも平均でSESの高い世帯の子どもにはかなわず「学習時間の効果は限定的と言わざるを得ない」(分析を担当した耳塚寛明同大副学長)のが現状です。一方で、SESの低い子どもを多く抱える学校でも学力の底上げに成功している学校があることが、調査から分かっています。

◆学校を貧困対策の「プラットフォーム」に
 子どもの貧困対策に向けた大綱づくりのため、4月4日には関係閣僚による対策会議(会長・安倍首相)が発足。大綱案の作成に生かすための有識者らによる検討会も設置され、5月1日に開かれた第2回会合では耳塚副学長も報告を行いました。他の報告者や検討会委員からも、子どもの貧困対策として学校の役割に期待する声が相次ぎました。
 困窮家庭は把握するだけでも難しいのに対して、学校は全ての子どもの状況を把握して福祉部局などにつなげる可能性を秘めているとともに、学力向上や進学支援など具体的な対策も打てるからです。貧困の連鎖を防ぐためにも、「貧困対策のプラットフォーム」(末冨芳日本大学准教授)としての学校の役割が期待されます。


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