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「原発事故で自殺」に賠償命令 再稼動への警告

 原発事故と自殺の因果関係を認めた福島地裁の判決。福井地裁の判決に続き、現実を直視した判決。原発事故を回避する責務を厳しく課す点で、同一の流れと言える。
・福島の自殺は、10人、13人、23人と年ごと増加。今年も10人となっている。「原発関連死」は1700人を超す。12万5千人が避難を強いられている。
・東電が支払った賠償金はすでに4兆1千億円。が、それでも、東電は、原子力損害賠償紛争解決センターの和解案を拒否する例が少なくないなど真摯にむきあっていない。
・事故原因の解明、汚染水対策、被災者の生活再建を後回しにし、再稼動、輸出ありきの国と東電への警告である。
【自殺と原発事故 苛烈な現実を見た判決 東京社説8/28】
【<社説>東電に賠償命令 再稼働への警告受け止めよ 琉球新報8/28】
【原発避難で自殺 震災3年半「これからどこへ」 避難者24万人、苦悩続く 共同】
【「東京電力の和解案への対応に対する総括委員会所見」に関する会長声明 日弁連8/20】

  安価な電気というウソも政府が事実上認めた。撤退あるのみ。 
【原発の電気価格保障~「安価」のウソ証明 2014/8】

【自殺と原発事故 苛烈な現実を見た判決 東京社説8/28】

 自殺と原発事故の因果関係を認めた福島地裁の判決は、苛烈な避難生活を直視した結果だ。「東京電力はストレスによる自殺も予見できた」と述べた。東電も国も、血の通った対応が迫られよう。
 二〇一一年七月に自宅で焼身自殺した五十八歳の女性がどんなにつらい立場に置かれていたか、判決文からも如実に伝わってくる。
 生まれてからずっと福島県川俣町に住んでいた。夫と子ども三人を育てて、〇〇年には自宅を新築した。そこに東日本大震災と福島第一原発事故が襲った。女性の家は計画的避難区域に指定され、福島市内でアパート暮らしをせざるを得なかった。
 農場での仕事を失い、家族や地域の共同体とのつながりも失った。住宅ローンの支払いも残っていた。帰還の見通しが立たないまま、心細い避難生活を続ける-。「ストレスは非常に強いものだった」「耐えがたい精神的負担を強いて女性をうつ状態にした」と判決が述べたとおりだろう。
 とくに東電に対して、「事故が起きれば核燃料物質などが広範囲に飛散し、居住者が避難を余儀なくされ、さまざまなストレスを受けて自死に至る人が出ることも予見できた」と明確に言い切った。自殺と原発事故との因果関係をはっきり認めたことは重い。他の訴訟にも大きな影響を与えよう。
 原発事故の避難中に病気や自殺などで亡くなった「原発関連死」は本紙の独自調査で少なくとも一千人を超す。昨年三月から約二百六十人増えている。
 内閣府が公表している「震災関連自殺者」は福島で五十六人にのぼっている。この自殺者数は一一年に十人、一二年に十三人、一三年に二十三人と、むしろ時がたつほど増えているのが特徴だ。今年も既に十人に達している。
 阪神大震災でも震災後三年から、ストレスによるアルコール依存症などが増えたといわれる。これが意味するのは、当然、避難生活が長期化すればするほど、ストレスはどんどん蓄積され、人間の心や身体を蝕(むしば)んでいくことだ。
 地域防災計画は、まず災害時の避難に重点を置いている。それは当然のことだが、長期にわたる避難生活に伴う心身のケアにももっと目配りするべきだろう。
 東電や国は責任を痛感してほしい。「真摯(しんし)に対応する」とコメントした東電は、その言葉どおりにすべての被災者に真摯な対応をしないと、さらなる怒りを買う。


【<社説>東電に賠償命令 再稼働への警告受け止めよ 琉球新報8/28】

 原発事故と自殺の因果関係を認める画期的な判決と言える。住民の避難生活をめぐり、東京電力の免責を許さない姿勢を司法が明確に示した意義は極めて大きい。
 福島第1原発事故で避難を強いられ、自殺した女性の遺族が起こした損害賠償訴訟で、福島地裁は東電に約4900万円の支払いを命じた。東電によると、原発事故が原因で自殺したとして賠償請求した訴訟で初の判決だ。今後の裁判の先例として大きな影響を与えるのは必至だ。
 福島地裁は「展望の見えない避難生活への絶望と、生まれ育った地で自ら死を選んだ精神的苦痛は極めて大きい」と因果関係を認定。その上で「住民は避難を余儀なくされ、ストレスで自死(自殺)に至る人が出ることも予見できた」と東電の責任を厳しく指摘した。
 悲しみと苦悩を募らせる遺族に寄り添った判決であり、「全面勝訴」(原告側弁護士)とも言える内容だ。東電は真摯(しんし)に受け止め、直ちに賠償金を支払うべきだ。
 東日本大震災と原発事故から3年半近くが経過するが、不自由な仮設住宅暮らしなどを強いられる震災の避難者は今なお24万人を超える。特に福島では、自主避難を含め12万5千人が県内外で避難生活を続けている。
 国と東電は、復興が遅々として進まず、生活再建から程遠い現状を直視すべきだ。過酷な避難生活がもたらす耐え難い精神的苦痛は、人間の尊厳を踏みにじっているも同然だ。それを放置する国の責任もまた計り知れない。
 内閣府によると、福島県の震災関連の自殺者は、統計を取り始めた2011年6月以降、56人に上る。11年10人、12年13人、13年23人と増え、14年も7月までに10人を数える。避難生活が長引くに伴い、増加傾向が顕著となっている。東電は個別の裁判を待つことなく、率先して賠償に応じるべきだ。
 原発事故で自殺者が出ることが予見できたとする判決は、裏を返せば、原発事故を回避する責務を厳しく課すものだ。それは、過酷なフクシマの現状に目を背け、原発再稼働に前のめりになる安倍政権や電力会社に対する警告にほかならない。
 安倍政権は、再稼働に向けて新たな「安全神話」づくりにきゅうきゅうとしているが、安全神話を根底から覆した事故の教訓を思い起こすべきだ。「脱原発」にかじを切るのは今からでも遅くない。


【原発避難で自殺 震災3年半「これからどこへ」 避難者24万人、苦悩続く 共同】

 東京電力福島第1原発事故による避難が原因で自殺した女性の遺族が東電に賠償を求めた訴訟で、福島地裁が約4900万円の支払いを命じた。東日本大震災と原発事故から間もなく3年半。震災の避難者は今も24万人を超え、不自由な仮設住宅暮らしなど苦悩が続いている。

 ▽安住の地失う
 「全面勝訴だ」。原告側代理人の広田次男弁護士は、福島市内で開いた記者会見で、判決を高く評価した。支援者や報道陣など60人以上が集まる中、原告の渡辺幹夫さん(64)は、妻はま子さん=当時(58)=の遺影を手に「ずっと悩み苦しんできた」と涙ぐんだ。
 福島地裁の法廷では、潮見直之裁判長が賠償を命じる主文を読み上げた後、「事案に鑑みて、理由を話します」と前置きし、判決理由を説明した。民事訴訟の判決言い渡しは通常、主文のみ。「安住の地を失ったストレスは耐え難いものだった」。原発事故による自殺について初の判決となったことへの配慮がうかがわれた。
 内閣府によると、福島県の震災関連の自殺者は、2011年6月以降、これまでに56人。11年に10人、12年に13人、13年に23人と増え、14年も7月までで10人に上る。
 東電は原発事故の被災者に対し、精神的損害や企業の営業損害などについて賠償を続けている。これまで支払った額は、7月現在で約4兆1千億円に上る。

 ▽これからどこへ
 復興庁などによると、震災の避難者は今年7月時点で約24万7千人。このうち仮設住宅で暮らしているのは、岩手県で約2万4千人、宮城県約4万人、福島県では約2万6千人。ほかに全国で約11万人が、民間アパートなど「みなし仮設」に入っており、生活再建は進んでいない。
 「これから自分はどこへ進むのか、道が分からない」。福島県いわき市の仮設住宅で、福島県富岡町から避難している無職の女性(65)は嘆いた。同居していた姉は昨年、持病が悪化し他界した。「仮の住まいではない、ちゃんとした家に住みたい」。事故前に好きだったお酒はほとんど口にできなくなった。

 ▽生活に希望を
 福島県南相馬市鹿島区の仮設診療所で、避難者の健康を診ている医師の遠藤清次さん(57)は「自殺まで至らなくても、仮設で閉じこもりがちになる人、うつ状態になっている人が増えている」と指摘する。壁は薄く、隣の部屋の話し声が聞こえる状況の中で、人間関係が悪くなる例も多い。遠藤さんは「避難者が震災前の人間関係を取り戻し、次の生活に希望が持てるようにする取り組みが必要だ」と話している。


【「東京電力の和解案への対応に対する総括委員会所見」に関する会長声明 日弁連8/20】

原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」という。)総括委員会は、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一、第二原子力発電所事故(以下「本件事故」という。)による損害賠償に関する東京電力の対応に関し、平成26年8月4日付けで「東京電力の和解案への対応に対する総括委員会所見」を発表した。同所見では、「近時、仲介委員が提示した和解案に対し、被申立人(東京電力)から、その全部又は一部について受諾を拒否する旨の回答がなされる例が少なからず認められるようになっている」ことを指摘した上で、かかる行為は、「新・総合特別事業計画において自ら誓約した和解案の尊重を放棄するものというだけでなく、仲介委員が提示した和解案の内容のみならず和解仲介手続自体をも軽視し、ひいては、原子力損害の賠償に関する紛争につき円滑、迅速かつ公正に解決することを目的として設置された当センターの役割を阻害し、原子力損害の賠償に関する法律が定める損害賠償システム自体に対する信頼を損なうものであるといわざるを得」ないと厳しく批判している。
 
 当連合会としても、本年6月27日に、「浪江町民等の集団申立てにかかる東京電力による原子力損害賠償紛争解決センターの和解案拒否に関する会長声明」において、①浪江町民による集団申立事件について、センターが提示した和解案を浪江町民は受諾することを決定していたにもかかわらず東京電力が拒否する回答を行った件、②飯館村蕨平地区住民による集団申立事件に関し、センターが提示した和解案について、東京電力が、和解案の重要部分について拒否する回答を行った件について、東京電力に対し、センターの和解案を尊重・遵守することを重ねて強く求めてきたところであり、総括委員会所見に全面的に賛同する。改めて、東京電力に対し、和解案を尊重し、各和解案を受諾することを強く求める。

 また、原子力損害賠償紛争審査会(以下「審査会」という。)に対し、今回の事態は審査会の和解の仲介の手続を実施するための組織として設けられたセンターの存在意義及び審査会の主な事務である和解仲介手続そのものの意義を失わせかねないものであるから、東京力が和解案の拒否を撤回し、速やかに受諾するよう強く働きかけることを求める。

 さらに、政府に対しても、東京電力を強くその旨指導することを求める。

 また、併せて、当連合会は、先述の本年6月27日付け会長声明で求めているとおり、審査会に対し、センターの和解案にも示されている本件事故により避難が長期化し帰還が困難となっている地域住民の被害の深刻な実情を反映した精神的損害に関する追加の指針を速やかに策定すること、政府及び国会に対して、東京電力による和解案拒否事案を再発させないために、速やかにセンターの和解案に、その内容が著しく不合理なものでない限り東京電力の応諾を義務付ける片面的裁定機能を付する立法を行うことを求める。

  2014年(平成26年)8月20日
  日本弁護士連合会
  会長 村 越  進


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