民意無視、市民弾圧 ~国連人種差別撤廃委で沖縄からの訴え
国連人種差別撤廃委員会の対日審査会合。 糸数慶子参院議員が「抗議の声を上げている多くの市民に対して、日本政府、沖縄防衛局は民間警備会社や県警機動隊、海上保安庁を使って弾圧を続けている」「〔基地建設強行は〕人権無視であり、琉球人への差別だ」と発言し、国連の関与を求めた。と琉球新報の報道。
「丁寧に説明したい」といいながら問答無用の強行、「沖縄の負担軽減に努める」といいながら訓練空域拡大、既存の訓練場の返還をまたずに高江の新ヘリ着陸帯の先行使用と負担を拡大。
ヘイトスピーチ、性奴隷問題とともに、沖縄問題も・・・日本政府の姿勢を示すものとして国際政治の問題になっていくにちがいない。
映画監督オリバー・ストーン氏、マイケル・ムーア氏、言語哲学者ノーム・チョムスキー氏ら100名を越える欧米著名人が辺野古中止を訴えている。そうした国際世論の広がりも背景にした発言だったのだろう。
【糸数参院議員、辺野古中止を国連で訴え 琉球新報 8/21】
【空域拡大 「負担軽減」逆行許せない 琉球新報社説 8/20】
【着陸帯先行提供 どこまで米軍優先なのか 琉球新報社説8/12 】
【糸数参院議員、辺野古中止を国連で訴え 琉球新報 8/21】【ジュネーブ=新垣毅】社大党委員長の糸数慶子参院議員は20日、スイスのジュネーブで開かれた国連人種差別撤廃委員会で、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古での新基地建設や、東村高江でのヘリパッド建設の「即時中止」を訴えた。糸数氏は琉装姿で出席し、「抗議の声を上げている多くの市民に対して、日本政府、沖縄防衛局は民間警備会社や県警機動隊、海上保安庁を使って弾圧を続けている」と報告。これらの基地建設の強行は「人権無視であり、琉球人への差別だ」と主張した。県選出国会議員による国連への“直訴”は初めて。
同委員会による意見聴取の場で発言する機会を得た糸数氏は、緊急課題として(1)琉球の民意の尊重(2)辺野古新基地計画の撤回と抗議する市民への弾圧停止(3)普天間基地の即時封鎖・撤去(4)高江ヘリパッド建設工事の即時中止と計画の撤回―の四つを訴え、国連の関与を求めた。
委員からは「日本政府は、沖縄の人を日本人と同じだと言い続けているが、言葉や文化など日本人との違いは何か」との質問が出た。糸数氏は独立国として500年の歴史があったことや、琉球諸語がユネスコで独自の言語として認められていることを説明した。
【社説 空域拡大 「負担軽減」逆行許せない 琉球新報8/20】
米軍キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンを合わせた「中部訓練場」の上空で実弾射撃訓練を実施するために、米軍は飛行制限高度を拡大する。
沖縄は県土の42倍に及ぶ9万5千平方キロの制限空域が設定されている。制限高度を広げることは、その空間から県民を閉め出すことになる。本来行使できるはずの空の主権を県民から奪い、負担軽減と逆行する行為は決して認められない。
制限空域の高度は現在、約610~914メートルと設定している。米軍はそれを2倍以上の約1219~2469メートルの高さまで引き上げる予定だ。
制限高度を拡大することによって、AH1攻撃ヘリなどの航空部隊が、小型武器の射程が届かない高さまで上昇して実弾射撃訓練を実施することが可能になる。
ハンセンではかつて実弾がたびたび基地外に飛び、自宅にいた女性の足を貫いたこともある。そんな狭い基地で2キロ上空まで実弾を撃つのであれば、人命軽視も甚だしい。
日本政府は現在、米軍普天間飛行場の移設先として名護市辺野古で新基地建設を強行している。
新基地は、滑走路が2本に増設され、普天間飛行場が有していない軍港機能が加わる。そして今回判明した新基地を取り囲む中部訓練場の空域を拡大することによって、これまで都市部では制限されがちだった訓練の「自由度」が高まる。「負担軽減」とは正反対だ。
歴史を振り返ると、太平洋戦争で沖縄を手に入れた米国は、事実上の軍による統治を正当化するため、沖縄は「民主主義のショーウインドー」だと、ことあるごとに宣伝した。
しかし、実態は「銃剣とブルドーザー」によって県民の土地を奪い、女性に対する性暴力をはじめ、殺人、人権侵害、自治権制限など、民主主義とは程遠い統治を続けた。私たちはその事実を決して忘れない。
「負担軽減」という言葉は、かつての「ショーウインドー」と同じような響きがある。そのような甘言に沖縄はだまされない。
米国が決めたことに日本は追認するだけなのか。主権が侵害され、民主主義とは名ばかりの事態が繰り返されている。沖縄の告発に日米両政府は真摯(しんし)に向き合うべきだ。
【着陸帯先行提供 どこまで米軍優先なのか 琉球新報社説8/12 】決め事をいとも簡単に放棄してまで、米軍基地を強化する既成事実を積み重ねるということか。
米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江のヘリ着陸帯建設をめぐり、沖縄防衛局がこれまでの方針を改め、基地返還を待たずに完成した着陸帯2カ所を先行して米側に提供する見通しであることが分かった。
新設と既存の着陸帯が併用されれば、使える着陸帯が増え、米軍の訓練環境は格段に整備される。墜落の危険が付きまとう海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイがわが物顔で高江周辺を飛び回ることになる。騒音が激化し、住民生活の負担が増すことは間違いない。
どこまで米軍の意向を優先するのか。これは、沖縄の基地負担軽減を図るとした日米合意に反し、基地負担増に直結する恣意(しい)的な基地運用にほかならない。静かな環境で暮らすことを望む高江住民の平和的生存権を侵す重大事態であり、到底認めるわけにはいかない。
1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告によると、北部訓練場の返還区域のヘリ着陸帯を返還されない区域に移し、高江集落を取り囲むように六つの着陸帯が新設される計画だ。
新たな着陸帯の完成を待って北部訓練場の過半の面積が返還され、その後に着陸帯が米軍に提供される予定だった。だが、今回の着陸帯先行提供は基地返還を後回しにして、米軍基地の使い勝手だけが向上することになる。
高江では、県道の路側帯でヘリ着陸帯の建設阻止行動を取る住民を排除するため、政府は路側帯ごと米軍専用区域に変更することも検討している。基地建設に抗(あらが)う民意を封じ込めるため、なりふり構わずに法律を悪用するわけだ。
新たな基地負担に反対する民意を押し切り、米軍基地や訓練施設の新設を推し進める日本政府の強硬姿勢があまりに露骨になっている。法治国家、民主主義国家にあるまじき対応は直ちにやめるべきだ。
高江の森では新種のランや絶滅危惧種の植物が多く確認され、その数を増やしている。鳥や虫の鳴き声が響き渡るその静寂の深さに触れると、高江集落を取り囲むヘリパッド群が住民生活をかき乱す騒音源になることが実感できる。
貴重な自然と生活環境を破壊しかねないヘリ着陸帯の建設、運用を即刻中止してもらいたい。
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