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非正規雇用職員の待遇改善を 総務省通知

 7月4日付、総務省公務員部長名での通知。雇い止め問題、手当て支給の条件である「常勤の定義」など、国会での論戦、判例なともうけて改善につながる通知をだしている。自治労連の声明、総務省の「新たな通知のポイント」がわかりやすい。この問題、県議会や高知市議会でも取り上げた問題でもある。
そもそも、防災や地域福祉など取り組みにとっても、担当職員の不足が深刻である。委託が増え、行政に専門の蓄積がなくなれば、質の維持も、真に効率的な取り組みもできなくなる。
【7月4日付け「公務員部長通知」の改善面をいかし、非正規雇用職員の待遇改善と働き続けられる職場づくりを正規・非正規一体ですすめよう(談話)】
【 Ⅲ 新たな通知のポイント 】
【臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について】

【7月4日付け「公務員部長通知」の改善面をいかし、非正規雇用職員の待遇改善と働き続けられる職場づくりを正規・非正規一体ですすめよう(談話)】

2014年7月8日
日本自治体労働組合総連合
書記長 猿橋 均

 総務省は7月4日、公務員部長名で「臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について」を地方自治体、人事委員会に通知した。本通知は、「臨時・非常勤職員及び任期付短時間勤務職員の任用等について」(平21・4・24 総行公第26号)を通知して以降、○臨時・非常勤職員の増加と21年通知の趣旨の不徹底、○国会における議論や指摘、○臨時・非常勤職員の任用等を巡る新たな裁判例、○非正規労働者を巡る制度改正、○経済の好循環の実現に向けた取組-を踏まえたものとしている。

 自治労連が提起した「誇りと怒りの運動」など、労基法など最低労働基準すら守られていない非正規雇用職員の待遇改善の取り組み、任用形式でなく勤務実態に照らした手当支給を求める取り組み、雇止め・雇用中断による雇用不安と住民サービスへの悪影響を是正させる取り組み、これら各地の取り組みとそれを反映した国会・地方議会での議論などによって、本通知を出させたものである。
 反面、川端総務大臣(当時)が「任用と処遇の在り方について幅広く検討していく」と国会答弁したことには程遠く、あわせてこの間、ケースワーカーや保育士といった職種でフルタイムを含む任期付職員が増加していることを背景に、現行の臨時・非常勤職員を任期付職員に置き換える意図を持ったものであることに注視する必要がある。

 「任用」では、特別職非常勤について、その職務の内容が「補助的・定型的」「一般職の職員と同一」「労働者性の高い」職は一般職として任用するよう、これまで以上に強調している。

 「勤務条件等」について、これまでの裁判例をもとに手当支給の要件とされる地方自治法上の「常勤の職員」の定義について、「任用方法ないし基準、勤務内容及び態様、報酬の支給その他の待遇等を総合的に考慮して実質的に判断されるものであり、地方公務員法上の任用根拠から直ちに定まるものではない」ことを紹介し留意するよう示した。また、この間の法律改正などにもとづいて、年休、産休、育児・介護休暇を整備するよう求め、雇用中断(空白期間)による年休リセット、社会保険・労働保険の被保険者資格の問題についても「勤務の実態に即して判断」することに留意するよう求めている。さらに、適用除外とされているパート労働法、労働契約法、雇用機会均等法(一部)、雇用対策法などについても、地方公務員法13条の平等取り扱いの原則を踏まえた対応を求めている。

 「再度の任用」について、空白期間撤廃を求める運動と国会での議論を反映して、「空白期間設定」の根拠について「地方公務員法をはじめとした関係法令において存在しない」ことを明記した。そして、空白期間中の就労について「任用されていないものが事実上業務に従事することのないよう、…業務の遂行に必要な期間を考慮して適切に定めることが必要」とした。そして、募集にあたって「任用の回数や年数が一定数に達していることのみを捉えて、一律に応募要件に制限を設けることは、平等取扱いの原則や成績主義の観点から避けるべき」と記していることは、自治労連四国ブロックの要請などの反映である。また、業務の継続性を踏まえ「公募により難い場合や公募による必要がない特定の場合を除き」といったケースがあることが記された。

 「任期付職員制度の活用」について、任期付短時間勤務職員のみならず、任期付職員(フルタイム)についても「積極的」に活用するよう求めている。任期付職員への置換えを促進するために、「人事委員会の承認があった場合は、選考」採用が可能であり、給与面で「公的な資格を有する者など一定の専門的な知識経験を有する人材の確保のため特に必要な事情が認められる場合については、任期付職員の給料表への号給の増設又は同種の業務に従事する常勤職員が用いる給料表の使用を条例に規定することにより、昇給や過去の経験を踏まえた号給の決定を行うことも否定されない」とした任期付運用通知(平16・8・1 総行公第54号)を改正した。

 本通知は、臨時・非常勤職員の当面の待遇確保による「継続活用」と、任期付職員への置換えを促進するものであることを留意しなければならない。さらに、任期付職員への置換えを口実とした雇止めも懸念される。

 正規職員の大幅削減と行政サービスの多様化のもとで、臨時・非常勤職員が増加し、「任用の実態と制度との乖離」が生じてきた原因を見れば、総務省の示す「任期付職員制度」の活用などでは、専門性・継続性の確保や雇用の安定といった問題はまったく解決されない。

 改めて「任期付」という制度が、「一定期間内に終了」「一定期間内の業務の増加」を要件とすることを踏まえ、「任期の定めのない常勤職員を中心とするが公務運営の原則」にたって、必要な正規職員の確保こそが求められている。さらに、均等待遇原則を具体化し、短時間の職を担う「任期の定めのない短時間公務員制度」を確立し、その職を担っている臨時・非常勤職員の正規化をはかることが必要である。

 自治労連は、本通知の持つ「不安定任用の継続」という問題点をふまえつつ、この間のたたかいを反映した改善点について、本通知に示された内容の点検(とくに、産休・育休、雇用中断期間、再応募の状況)と、それら権利を行使し働き続けられる職場づくりを、職場からの賃金・労働条件改善の取り組みとして、正規・非正規一体ですすめることを呼びかける。

【 Ⅲ 新たな通知のポイント 】

ⅰ 臨時・非常勤職員の任用等について

1 任用について

(1)臨時・非常勤職員の制度的位置付けを踏まえ、職務の内容や勤務形態等に応じて適切に任用。

① 臨時・非常勤職員は、臨時的・補助的な業務又は特定の学識・経験を要する職務に任期を限って任用するもの
② 業務の内容や業務に伴う責任の程度は、常勤職員と異なる設定とされるべき
③ 適正な定員管理と適切な人事管理に取り組む中で、就けようとする職務の内容、勤務形態等に応じ、「任期の 定めのない常勤職員」「任期付職員」「臨時・非常勤職員」のいずれが適当かを検討し、いずれの任用根拠に位置づけるかを明確にしておくべき
④ 特別職の非常勤職員については、職務の内容が補助的・定型的であったり、一般職の職員と同一と認められる ような職や、勤務管理や業務遂行方法において労働者性の高い職については、本来、一般職として任用されるべきであり、特別職として任用することは避けるべき
⑤ 一般職の非常勤職員については、任期を限った任用を繰り返すことで事実上任期の定めのない常勤職員と同様の 勤務形態を適用させるようなことは、避けるべき
⑥ 臨時的任用職員については、特にフルタイムの臨時的任用を繰り返すことによって、事実上任期の定めのない常勤職員と同様の勤務形態を適用させるようなことは避けるべき

(2)募集や任用にあたっては、勤務条件を明示。任期は原則1年。客観的な能力の実証を経て 再度任用されることはありえる。

① 募集や任用にあたっては、勤務条件の明示が的確に行われているか、文書で示すべき事項を文書で示して
いるか改めて確認すべき
② 特に任期については、手続なく「更新」がなされたり、長期にわたって継続して勤務できるといった誤解
を招かないよう、明確な説明が必要

2 勤務条件等について

(1)報酬等については、職務の内容と責任に応じて適切に水準を決定。時間外勤務に対する報酬の支給や、通勤費用の費用弁償について適切に取扱うとともに、関連する裁判例にも留意。

① 地方自治法第203条の2において、短時間勤務職員以外の非常勤の職員には、報酬及び費用弁償を支給することとされており、手当は支給できないものである。ただし、時間外勤務に対する報酬の支給や、通勤費用の費用弁償については、適切な取扱いがなされるべき
② 地方自治法第204条に規定する常勤の職員に当たるか否かは、任用方法ないし基準、勤務内容及び態様、報酬の支給その他の待遇等を総合的に考慮して実質的に判断されるものであり、地方公務員法上の任用根拠から直ちに定まるものではないとの趣旨の裁判例が存在することにも併せて留意が必要
③ 具体の報酬等の制度や水準を定める際には、常勤の職員の給料と同様に職務給の原則の趣旨を踏まえ、職務の内容と責任に応じて適切に決定されるべき
④ 労働基準法が適用される非常勤職員に対して所定労働時間を超える勤務を命じた場合においては、当該勤務に対し、時間外勤務手当に相当する報酬を支給すべき
⑤ 非常勤の職員に対する通勤費用相当分については費用弁償として支給することができるものであり、支給する 場合には、所要の条例の規定を整備するなどして適切に対応すべき

(2)労働基準法や地方公務員育児休業法、育児・介護休業法に基づき、各種休暇・休業(年次有給、産前産後、育児、介護)を適切に整備。

① 臨時・非常勤職員のうち、労働基準法上の労働者に該当する者に係る勤務条件の設定にあたっては、最低労働基準である労働基準法の規定を踏まえて定めるべき
② 労働基準法における年次有給休暇の付与に係る「継続勤務」の要件については、「勤務の実態に即して判断すべきものであるので、期間の定めのある労働契約を反復して短時間労働者を使用する場合、各々の労働契約期間の終期と始期の間に短時日の間隔を置いているとしても、必ずしも当然に継続勤務が中断されるものではないことに留意すること」(平成19年10月1日付厚生労働省通知)とされており、再度の任用を行う場合の適切な対応に留意
③ 地方公務員育児休業法及び育児・介護休業法の改正(平成22年6月及び平成23年4月)により、一定の条件を満たす非常勤職員にもこれらの法の規定が適用されることとなったことを踏まえ、各法令に基づく適用要件に則った適切な対応が求められる

(3)社会保険・労働保険の適用について、法律に基づく適用要件に則って適切に対応。また、研修や厚生福利について、従事する業務の内容や業務に伴う責任の程度に応じて適切に対応。

① 厚生年金保険及び健康保険の被保険者資格については、「有期の雇用契約又は任用が1日ないし数日の間を空けて再度行われる場合においても、事実上の使用関係が中断することなく存続していると、就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を喪失させることなく取り扱う必要」(平成26年1月17日付厚生労働省通知)があるとされており、再度の任用を行う場合の適切な対応に留意
② 一般職の臨時・非常勤職員については地公法上の研修や厚生福利に関する規定が適用されるところであり、臨時・非常勤職員の従事する業務の内容や業務に伴う責任の程度に応じて、適切な対応を図るべき

3 再度の任用について

(1)任期の終了後、再度、同一の職務内容の職に任用されること自体は排除されないが、あくまで「新たな職に改めて任用」と整理。ただし、長期にわたっての連続任用には留意が必要。
① 同一の者が長期にわたって同一の職務内容の職とみなされる臨時・非常勤の職に繰り返し任用されることは、長期的、計画的な人材育成・人材配置への影響や、臨時・非常勤職員としての身分及び処遇の固定化などの問題を生じさせるおそれがあることに留意が必要
② 繰り返し任用されても、再度任用の保障のような既得権が発生するものではなく、臨時・非常勤の職であっても、任期ごとに客観的な能力実証に基づき当該職に従事する十分な能力を持った者を任用することが求められる

(2)再度の任用の場合であっても、任期の設定や均等な応募機会の付与について留意。
① 再度の任用の場合であっても、新たな任期と前の任期の間に一定の期間を置くことを直接求める規定は地方公務員法をはじめとした関係法令において存在しない。任期については、任用されていない者が事実上業務に従事することのないよう、あくまで職員に従事させようとする業務の遂行に必要な期間を考慮して適切に定めることが必要
② 募集にあたって、任用の回数や年数が一定数に達していることのみを捉えて、一律に応募要件に制限を設けることは、平等取扱いの原則や成績主義の観点から避けるべきであり、均等な機会の付与の考え方を踏まえた適切な募集を行うことが求められる

(3)職務内容や責任等が変更された場合には、異なる職への任用であることから報酬額を変更
することはあり得る。

ⅱ 任期付職員制度の活用について
※ 任期付短時間勤務職員のみならず、任期付職員(フルタイム)についても活用を促進

(1)現在、臨時・非常勤職員制度により対応している具体的な任用事例について、本格的な業務に従事することができ、かつ複数年にわたる任期設定が可能である場合には、任期付職員制度 の活用についても検討。

① 住民サービスの提供時間の延長や繁忙時における提供体制を充実させるために、従来の常勤職員に加え、臨時非常勤職員を配置して対応していた場合に、当該臨時・非常勤職員に替えて任期付短時間勤務職員を任用することも可能
② 任期付職員の採用にあたっては、一般職非常勤職員の場合と同様に、人事委員会を置く地方公共団体にあっては原則として競争試験(人事委員会の定める職について人事委員会の承認があった場合は、選考)により、人事委員会を置かない地方公共団体にあっては競争試験又は選考によるもの(なお、人事委員会は、人事委員会規則で定めることにより、職員の競争試験及び選考並びにこれらに関する事務について、任命権者等に委任することができる)
③ 公的な資格を有する者など一定の専門的な知識経験を有する人材の確保のため特に必要な事情が認められる場合については、条例に規定することにより、昇給や過去の経験を踏まえた号給の決定を行うことも否定されない

(2)臨時・非常勤職員制度と同様、競争試験又は選考による能力の実証を経れば、再度の任用も可能。その際、職務内容や責任等が変更される場合には、給与の額の変更はありえる。

① 臨時・非常勤職員の再度の任用の場合と同様に、任期付職員として任用されていた者が、任期終了後、改めて適切な募集を行い、競争試験又は選考による能力の実証を経た上で、結果として再度同一の職に任用されることは妨げられない。

【臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等について】

2014年7月4日   総務省自治行政局公務員部長 

現在、各地方公共団体においては、多様化・高度化する行政ニーズに対応するため、任期の定めのない常勤職員のほか、事務の種類や性質に応じ、各種の任期付職員やいわゆる臨時・非常勤職員といった多様な任用・勤務形態が活用されています。どの業務にどのような任用・勤務形態の職員を充てるかについては、基本的には各地方公共団体において判断されるものであり、組織において最適と考える任用・勤務形態の人員構成を実現することにより、最小のコストで最も効果的な行政サービスの提供を行うことが重要です。

臨時・非常勤職員の任用等については、平成21年4月24日付総務省自治行政局公務員部公務員課長・給与能率推進室長通知「臨時・非常勤職員及び任期付短時間勤務職員の任用等について」(総行公第26号)(以下「21年通知」という。)において、任用の際の勤務条件の明示及び休暇その他の勤務条件に関して留意すべき事項等について示したところです。各地方公共団体においては、これを踏まえ、臨時・非常勤職員の任用等に係る取扱いについて必要な対応を図っていただいているところですが、総務省が行った調査では臨時・非常勤職員が増加傾向にある一方、21年通知の趣旨が未だ必ずしも徹底されていない実態が見受けられ、また、臨時・非常勤職員の任用等に関連する裁判例や法令改正などの新たな動きも生じています。
このような事情を踏まえ、臨時・非常勤職員や任期付職員の任用等について、制度の趣旨、勤務の内容に応じた任用・勤務条件が確保できるよう、別紙のとおり、改めて留意すべき事項に関し考え方を取りまとめました。各地方公共団体における臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等については、21年通知に代えて本通知によることとし、現行の臨時・非常勤職員の任用等に係る取扱いを再度検証した上で、必要な対応を図っていただきますようお願いいたします。

また、あわせて、平成16年8月1日付総務省自治行政局公務員部長通知「地方公務員法及び地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律の運用について」(総行公第54号)(以下「任期付運用通知」という。)を別添のとおり改正いたします。
任期付職員制度は、各地方公共団体の行政運営において、最適と考える任用・勤務形態の人員構成を実現するための手段の一つであり、「本格的業務に従事する者」として位置付けられ、相応の給与や休暇等の勤務条件が適用されるほか、3年ないし5年以内という複数年の任期を設定できる制度です。総務省としても、現行制度の効果的な運用等の事例をはじめとした必要な情報の提供や検討を引き続き行ってまいりますので、各地方公共団体におかれましても、臨時・非常勤職員に替えて任期付職員を任用するなど、制度の更なる活用について検討をお願いいたします。

各都道府県知事におかれては、貴都道府県内の市区町村に対してもこの旨周知いただきますようお願いいたします。なお、地域の元気創造プラットフォームにおける調査・照会システムを通じて、各市町村に対して、本通知についての情報提供を行っていることを申し添えます。
本通知は、地方公務員法第59条(技術的助言)及び地方自治法第245条の4(技術的な助言)に基づくものです。

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