民有地の土砂・瓦礫撤去 公的支援を
豪雨による民有地が崩落し、民家に流入した場合。「民民」の問題であり、「行政は介入できない」とする対応が一般的で、生活再建や復旧のさまだけとなっている。
独自の救済手段を設けて解決をすすめている自治体がある。全体として、被害の規模が大きい「非常時」と判断された場合に公費投入がされるようだが・・・ 過疎・高齢化、空家・放置林の増加などもあり、恒常的な支援制度の確立が必要となっている。住宅再建、住宅の耐震化も当初は「個人の資産形成に税金は投入できない」と拒否されていた。「介入できない」わけではない。9月議会の1つのテーマとなる。
以下、インターネット上で発見した支援制度
①2001年の芸予地震で住宅319戸が全半壊した広島県呉市
急傾斜地の崩壊の復旧対象として「人家に被害があり、周辺住民にも二次的被害が生じる恐れのある高さ3メートル以上の民間宅地の擁壁」が特例として国に認められ、県が22か所、市が43か所で土砂撤去を実施。
②12年8月の豪雨で被害を受けた宇治市
土砂が住宅に押し寄せるなど緊急対応が必要と判断した場合、土砂の撤去費用を最大60万円補助する制度を創設。28件に計約1430万円を交付。
③京丹後市
08年7月の集中豪雨を教訓に、土砂などが人家に迫り、人命が危険と判断した場合、市が撤去する制度を創設。同年度に14件、09、11年度も3件ずつ実施。
補助率は
(1)土砂等の撤去費が10万円未満の場合 撤去費×50%
(2)土砂等の撤去費が10万円以上30万円未満の場合 (撤去費-10万円)×65%+5万円
(3)土砂等の撤去費が30万円以上50万円以下の場合 (撤去費-30万円)×80%+18万円
(4)撤去費が50万円を超える場合は、別に定めた額
④撤去のための重機使用量を負担 阿蘇市
2012年7月12日に記録的な豪雨で発生した災害に、予算の範囲で要綱で対応
対象は、▽自宅及びその周辺の土砂及び災害瓦礫の撤去で重機が必要と認められるもの ▽自宅の居住者または所有者が業者(リース)に発注され、費用負担があるもの
市が費用を負担するものは、▽重機使用料(燃料費含む)▽重機オペレーター人件費 ▽重機使用時の運搬費及び災害瓦礫の運搬のため業者に依頼またはリースに要した経費
⑤岡山県・高梁市 災害家屋の土砂等の除去費用の一部を扶助
地域の相互扶助により除去することが困難な場合につき市が扶助するもの。
▽住宅及び住宅と同一敷地内にある建物で日常生活に必要な建物に土砂等が流入し,または接近し危険であると認められること ▽土砂等の除去必要量がおおむね5立方メートル以上であること ▽扶助の額は、除去費の50%以内とし、50万円を限度とするが、この世帯の生計中心者が市民税非課税の場合の扶助額は、除去費の90%以内とし、90万円を限度とする。
⑥今回の広島市
2014年8月の同時多発土石流発生。70名超える住民が犠牲に。
市は、民有地の土砂は、市が所有者の同意を得た上で撤去を決定。国に財政支援を要請
⑦今回の京都府
NPO法人をはじめ地域の団体が土砂やがれきの撤去に使うスコップ、一輪車など器材を購入する費用、がれきを処分場へ運ぶためのトラックのレンタル費用など最高30万円(京都市で活動する場合は同20万円)支給
★大震災時には、国をあげて公費で撤去
阪神淡路大震災では、危険な被災建物の解体とガレキ処理について、公費による解体・撤去費への支援が実施されている。
東日本大震災における瓦礫撤去では、2011年3月25日、政府は、所有者の許可なく瓦礫撤去・廃棄できるとの指針を自治体に通知〔「東北地方太平洋沖地震における損壊家屋等の撤去等に関する指針」〕、費用は、国の予算で対応。個人負担なしで実施している。
なお県内でも農地では
◆「四万十町単独災害復旧事業」
農地へ流入した土砂・竹木の撤去、流出表土の復旧費用を補助します。(用水路等の土砂の撤去は除く)
・対象となる災害
梅雨前線豪雨(6月4日~6日)及び台風11号
※補助災害復旧事業の採択要件に該当しないこと
・補助率:撤去等に要する経費の5分の4以内
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