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放課後児童クラブ条例案  事業者と事故の責任

 子ども子育て新システムとなり、放課後児童クラブが市町村事業として明確になった。市町村は目標を持ち整備しなくてはならない。多くのところで9月議会に、設置・運営基準の条例案がだされる。
国の示した条例案の最後のところに「放課後児童健全育成事業者は、利用者に対する支援の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならない。」とあり、それをめぐり、「事業者とは何かと聞いたら『個々のクラブ』と言われた」、「そこまで責任をとらされたら、引き受け手がいない」などの疑問が寄せられたので・・・これまでも書いてきた「委託と事故の責任」について改めて整理。

■放課後児童健全育成事業者

・これまで、国の基準がなかったこともあり、市町村、社会福祉法人、NPO法人、保護者会、運営委員会など多様です。市町村が積極的に事業者になり、国・県の補助を利用しているところ。そうでなく保護者が自主的にはじめ補助なしのところ〔また、利用者が10人未満で補助の対象外のところ〕、学校敷地内の専用施設、空き教室の利用、公民館や民間の施設など形態もさまざまである。よって料金も月3-千円前後から2万円超など大きく違っている。

・今回は、事業者に市町村がなる場合以外は、市町村に事前に届出をし、最低限の基準を確保しなければならない。その代わり、設置目標達成まではテヲげれば設置が可能であり財源の手当てがされる。
→ 多様な民間業者が参入でき公費助成を受けられる仕組みである。

次に、事故の責任についてだが・・・

■民間が直接手を上げる場合と自治体が委託する場合の違い ~条例/事後における事業者の責任の規定。

1.直接手上げの場合-- 運営主体が責任を問われる

→ ただし、市町村運営の児童クラブに入所したかったが、入れなかった子どもと家族に事故の補償などで不利益が生じる問題をどう考え整理するのか、という問題がある。

2.自治体が委託した場合 /  指定管理者、請負契約 〔事業者は「市町村」〕

①請負契約での受託業者の責任

・請負とは、契約内容にもとづく、専門性がある業者に、仕事を「丸投げ」することであり、当然、行政が指揮命令できません〔事故の責任を明確にし、労働者を保護するためのもの〕。
・受託業者の責任について、職業安定法施行規則第4条1号は、「作業の完成について事業主として財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。」と規定しています。
→ 条例案の内容は、ここに根拠があります

②実際は、線引きが極めて困難

〔例1〕
・08年7月 、東京都杉並区の中学校の調理室で、ガス器具の不完全燃焼による一酸化炭素(CO)中毒事故が発生
・民間委託のもと、リーダーとサブリーダー以外のメンバーが次々と変わるので、お昼の時間に間に合わすためには朝5時半から業務を開始。住民の苦情があり換気扇が回せない。もともとパン食中心の時の施設で換気扇も小さい。その中で起こったもの
〔例2〕
・03年 目黒区の中学校給食室で一酸化炭素中毒が発生。被災した労働者は後遺症に悩まされているが、労災の方は治癒認定(症状固定)とされ給付が打ち切られる。
・治療は続き膨大な医療費の支払いに困り、労働組合に相談、厚労大臣に要望書
・被災者への損害賠償は決着がなかなかつかない 
 行政「安全管理は契約上業者の責任」
 業者は「施設整備を保有している行政の責任」

 主張が対立した結果、働く人が長らく補償もされず犠牲になった。

→ 調理業務に起因(受託業者責任)、指示書に起因(行政)、施設設備に起因した場合、所有者は行政であり、メンテナンスに起因する場合は受託業者となる 極めて、線引きが困難

→ 職業安定法施行規則第4条3号は、「作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての業務を負うものであること。」と労働者の安全に大してすべての責任を持つとしている。「請負」は、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理責任は受託事業者にある。
 しかし、自治体が所有する施設・設備を利用して調理する場合は、受託事業者が労働安全衛生上の改善措置として自らの責任で施設・設備を改善することはできない。本来は、施設設備の所有なくして労働安全衛生責任は果たせない。
 このように調理業務だけを「請負」させるというのは、極めて責任、働く人の保護という点で不透明な制度
〔学童保育も同じ〕

③自治体の責任を問うた「ふじみ野プール死亡事故判決」

 職安法上、責任が受託業者にあるとしても、行政が食中毒や怪我・死亡事故に対し責任を負わないということにはならない。
→ 受託業者の仕事ぶりのモニタリングなどチェック作業による質の確保への責任、当該施設の管理責任、その上位法である学校給食法、地方自治法など自治体の役割を規定した法律から見ての責任が問われる / 自治体が責任をとったうえで、受託業者と自治体の間の話ということ

〔例 06年ふじみ野市のプール死亡事故  明確に施設を所有する行政の責任を認定〕
・さいたま地裁 市職員2人に、執行猶予付きであるが禁固刑を命じたきびしい判決が下った。地方公務員法の規定から現職の市職員は失職となる。〔09年 東京高裁「控訴棄却」の判決〕
→この判決は、プールの管理責任が所有者にあることを明確にしたもの。〔吸水口の吸い込み防止対策のずさんであったことを見落とした責任など〕
・ふじみ野市は事故後、業務委託業者との契約内容の確認▽履行状況の監視するポストを新設。
→ チェックの手間だけでなく、行政側は、請負の労働者に直接指揮命令できないので、請負業者に改善を指示し、その指示が実行されたか、再度点検することとなる。二重投資であり、直営の方が効率的であり、市民の命、人権を守る点でも責任が明確になる。

④指定管理の場合は、民法上の契約は「委託」ですが、地方自治法上は「行政処分」であり、自治体業務の「代執行」であり、より責任は重いと考えられる。

〔例 須崎市の指定管理者が実施した田母神講演問題〕
・須崎市文化会館の役割、「明るく豊かな市民生活の向上に寄与するとともに、文化事業を推進する施設」
・文化会館の管理・運営について、より効果的、効率的に運営できるとして指定管理者制度を選択し、須崎市商工会議所に対し、館の使用許可、300万円の税金を使っての「自主事業」を実施する権限(公権力の行使)が市長から委任されたものである。
・行政の管理のもとで、単に業務委託される通常の「民間委託」ではなく、公権力、公務の一部分をまるごと代行させるものである(委託でなく行政処分。ただし委任された団体とは、労働法上は「業務請負」)
・指定管理者として委任された団体の職員は、住民に不利益が生じた場合に国賠法が適用されることから見ても「みなし公務員」という扱いになる。
・指定管理は、公権力、公務の委任であり、代行であり、行政論的には、市が行ったことと同じことになる。

★ 以上が、「事業者の責任」にかかわる論点。

そもそも、学童保育については、国も、学校や保育園との連携を密にする必要があるといっているが、委託であれば、その指導員が、個々に自治体や自治体の関連部門と連絡、相談すると「偽装請負」になる。そもそも「委託」で可能なのか、まじめに考える必要がある。

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