東電「起訴相当」 「想定外」は通用しない。当然の判断
「東京電力の元会長ら三人を「起訴相当」と検察審査会が議決した。福島第一原発事故は津波対策を怠ったため起きたという明快な結論」と東京社説
06年には国際学会で東電自ら、想定を超える津波が来る確率を「50年以内に約10%」「津波の影響を評価する時に『想定外』の現象を予想することは重要である」と講演。08年には、明治三陸地震をモデルに試算すると15.7mの大津波が襲うことも報告されていた。
国会でも繰り返し全電源喪失の危険性が指摘されていた。
知っていたが、安全より利潤優先の判断をした。責任を問われて当然である。米科学アカデミーにも「津波に対する原子炉の設計基準が不十分であることを示す証拠が集まっていたにもかかわらず、東電と保安院は重要な安全設備を守る措置を取らなかった」とお墨付きを与えられている。
【津波対策の重要性についての指摘はこれまでに何度もあった 吉井英勝 12年2月15日 衆議院予算委員会配布資料】
'【東電「起訴相当」 誠実な再捜査を求める 東京・社説 8/1】
【津波対策怠り深刻化=米科学アカデミーが報告書-福島原発事故 時事7/25】
【東電「起訴相当」 誠実な再捜査を求める 東京・社説 8/1】東京電力の元会長ら三人を「起訴相当」と検察審査会が議決した。福島第一原発事故は津波対策を怠ったため起きたという明快な結論だ。検察は誠実な再捜査を尽くさないと市民の信頼を失う。
理路整然とした議決文といえる。市民の検察審査会が重視したのは、政府の地震調査研究推進本部の長期評価である。マグニチュード(M)8クラスの津波地震が「三十年以内に20%程度の確率で発生する」と予測されていた。
それを基に二〇〇八年の段階で、明治三陸地震をモデルに試算すると、一五・七メートルもの大津波が押し寄せると東電内部で報告されていた。だが、まるで時間稼ぎをするかのように土木学会に検討を委ね、対策を先送りしていた。国側に試算の報告をしたのは東日本大震災の直前だ。
「大津波が来る」と試算しているのは、明らかに予見可能性があった証拠ではないか-。市民がそう判断したのは当然だろう。しかも自ら試算しながら、東電は何の手も打たずにいた。
東北電力の女川原発(宮城)は津波に備えて、三十メートル近くに「壁」をかさ上げしたのとは好対照だ。東電が対策を怠ったのはなぜなのか。市民はこう考えた。
「原発の運転停止のリスクが生じると考えたとうかがわれる」「東電は対策にかかる費用や時間の観点から、津波高の数値をできるだけ下げたいという意向もうかがわれる」-。この推察は、国会事故調査委員会が「シビアアクシデント(過酷事故)対策を経営上のリスクとしてとらえていた」と指摘したこととも響き合う。
東電は〇六年段階でも、津波によって非常用海水ポンプが機能を失い、炉心損傷に至る危険性があることや、全電源喪失の危険性があることも分かっていた。それを市民は議決文に書き込んだ。
東電幹部六人のうち、津波の情報に接していても、判断できない立場の二人は「不起訴相当」にし、一人は「対策の決定権がなかった」とし、「不起訴不当」にとどめた。冷静さが感じられる。「起訴相当」としたのは、情報を知りつつ、判断できる立場の幹部に絞り込んだわけだ。
業務上過失致死傷罪での刑事責任を問うテーマをふたたび検察が負うことになった。東電を強制捜査もせずに、「想定外だから罪は問えない」と一蹴した判断をそのまま維持するのか。被災者らは注視している。「人災」なのか、その真相に肉薄してほしい。
【津波対策怠り深刻化=米科学アカデミーが報告書-福島原発事故 時事7/25】【ワシントン時事】米科学アカデミーは24日、東京電力福島第1原発事故の原因と対策に関する報告書を公表した。報告書は、事故が深刻化した要因として、東電と当時の原子力安全・保安院が津波対策を怠っていたことなどを挙げ、米当局・原子力産業界に対し、想定外の事態を踏まえ住民避難を含む事故対処計画を見直すよう勧告した。
報告書は「津波に対する原子炉の設計基準が不十分であることを示す証拠が集まっていたにもかかわらず、東電と保安院は重要な安全設備を守る措置を取らなかった」と指摘。電源喪失に適切に対応するための手続きもなかったなどと述べ、こうした一連の要因が、事故をより深刻なものにしたと結論付けた。また、東電と保安院は「安全文化」を軽視していたと批判した。(
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