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原発避難計画 風向き、複合災害、病院・福祉施設~全て無視

 もともと「格納容器はこわれない」「放射能汚染は原発敷地内にとどまる」という偽りのロジックで建設した原発。そのために日本では原発周辺に多数居住している。ゆえに、敷地境界の放射線量を規制する「原発立地審査指針」、深層防護の5層に位置づけられる避難計画を規制基準に入れれば、日本に原発が存在できなくなる。
 あれだけの事故を起こしながら、世界の標準的な基準にも届いていない。 

 南海トラフの巨大地震に対しては、高知県では、L1、L2という二段階の規模で、被害予想も冬場の夜間、風速○○メートルなど何通りかのシミュレーションを行い、課題を洗い出し、住宅、施設、道路、橋梁、堤防の耐震化、福祉施設の高台移転、避難所の確保と備蓄(井戸や自然エネルギー導入も)、被災後の医療機関などの事業継続計画、地域の自主防災確立、地区ごとの避難計画と要支援者の「個人計画」の策定、防災教育の推進、広域支援体制の確立など・・・ 避難計画を実効性あるものにするために膨大な予算と時間をかけて、住民参加でとりくみが進められている。
 それに比べれば、原発事故の「避難計画」は、単に行政がペーパーにしたというものにすぎないことは明らかである。

【川内原発30キロ圏 自治体の大半 代替避難所 メド立たず 東京7/8】
【川内原発の周辺自治体 複合災害 想定せず 東京 7/10】
【玄海避難計画 医療・福祉施設「絵に描いた餅」 佐賀新聞7/9】
【「再稼働ノー」特養の叫び 高齢者180人 逃げられない 東京 5/17】

【川内原発30キロ圏 自治体の大半 代替避難所 メド立たず 東京7/8】  今秋にも九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)が再稼働する可能性が出る中で、周辺自治体に、重大事故への備えの状況を取材したところ、個々の住民に指定されている避難所が、放射能汚染で使えなくなった場合、代わりの避難所がほとんど確保できていないことが分かった。 (小倉貞俊)  原発から半径三十キロ圏内は重点的に防災対策を進める区域(UPZ)とされ、圏内の九市町は避難計画を策定。自治会ごとに一つの避難所を割り当てている。  ただ、図の通り、避難計画はなるべく早く三十キロ圏外に逃げることを主眼に作られている。もし原発から放出された大量の放射性物質が、風に乗って避難所の方角に飛んだ場合、避難中に被ばくしたり、避難所も汚染されて使えなくなる恐れがある。  本紙が各市町の担当者に聞いたところ、いずれも説明会などで住民から「風向きに応じた避難計画をつくってほしい」「避難所が汚染された場合の二次避難所が必要では」との要望や疑問が数多く出たという。  唯一、鹿児島市は三十キロ圏内にあるのは北部のごくわずかな地域(避難対象者約千人)で、避難も市内で完結することから、自治会ごとに三方向の避難所を準備。しかし残る八市町は課題は認識していても、具体的な手は打てていない。  特に切実なのが、全域が三十キロ圏内のいちき串木野市。約三万人分の避難所を南方向の薩摩半島の自治体に頼っており、担当者は「南東に風が吹いたら逃げ場がなくなるのでは、との懸念もある」と困惑する。  県は対応に苦慮する各市町からの相談を受けており、担当者は「放射能が飛んでいく方向への避難をやめてもらい、状況に応じて安全な避難所を提供できれば」と話すが、具体的な検討には入っていない。避難するべき方向をどう判断し、住民にどう知らせるのか。避難先を変更する際の受け入れ先自治体との調整や、すでに避難所に着いた住民はどうするのかなど、難問が山積している。

◆規制委審査結果案 提示は来週以降に

 原子力規制委員会事務局は七日、九日の同委定例会合に予定していた九州電力川内原発1、2号機が新規制基準を満たすかどうかの審査結果案の提示を、来週以降に延期すると決めた。
 事務局によると、九電が先月二十四日、規制委から指摘された点を直した申請書が指摘前の七千ページから八千六百ページに増え、チェックに時間がかかっている。新たな審査会合を開くほどの問題はないといい、規制委が新基準に適合していると認める審査結果案となる。
<原発事故の避難計画> 原発が新基準に適合しているかどうかは原子力規制委員会が審査するが、周辺住民を守るための避難計画は各自治体任せ。規制委は避難の指針をつくるだけで、計画の実効性を検証する仕組みはない。重大事故が起きれば、5キロ圏内の住民は即時避難を始め、5~30キロ圏の住民は屋内退避が原則とされるが、住民の納得が得られるかなど未知数の部分が多い。

【川内原発の周辺自治体 複合災害 想定せず 東京 7/10】  九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)の周辺自治体が、原発の重大事故と、台風などの自然災害とが同時に起きる「複合災害」への具体的な対策を練っていないことが分かった。十日には大型の台風8号が上陸する見込み。地震・津波被害と原発事故が同時に起き、対応が後手に回った東京電力福島第一原発事故の教訓が生かされていない。 (小倉貞俊、大野孝志)  九州は台風が頻繁に通るなど自然の猛威にさらされてきた。過去の気象データを見直しても、台風の襲来で車の運転ができないほどの豪雨や、外に出るのが危険なほどの強風がたびたび発生。こうした状況下で、川内原発で重大事故が起きれば、ただでさえ大混乱が必至の周辺住民の避難はさらに厳しくなる。  ところが、原発三十キロ圏内の九市町に取材したところ、県の原発に関する地域防災計画から複合災害の項目を抜き書きしただけで、実質的な検討はされていなかった。  自然災害で要員を割く必要が出た場合、どの部署を対応させるか、足りなくなった場合はどう配置し直すかなどは未検討だった。住民の避難ルートも、複数を設定している自治体はあったが、道路やトンネルや橋など、具体的にどの地点が寸断される危険性が高いかといったデータは集めておらず、不通にならないことを前提にしていた。  避難途中、豪雨に見舞われ、車での避難を続けるのが困難になる場合もありうるが、無理をしてでも避難するのか、屋内退避に切り替えるのか、その判断をどう住民に伝えるのか検討もされていなかった。  各担当者は「本来は複合災害を想定して計画を練るのが望ましいが、そこまで手が回らない」と口をそろえた。  川内原発の避難計画をめぐっては、避難所が放射能汚染で使えなくなった際の代わりの避難所確保が難航していることも判明している。今秋にも再稼働の可能性が出ている中、住民の安全を確保する面で解決すべき問題は山積している。



【玄海避難計画 医療・福祉施設「絵に描いた餅」 佐賀新聞7/9】

 玄海原発から半径30キロ圏内の医療機関や福祉施設の避難計画。表向きは241施設が主体的に策定したことになっているが、「個別の施設で独自に決められない」と、県が提示した「ひな形」を追従した施設もある。現場からは「いろんな想定が欠けており、絵に描いた餅」と実効性を問う声も上がった。
 30キロ圏内にある特別養護老人ホームの事務担当者は「施設に丸投げされても、個別に避難計画を立てられるはずがない」と困惑を隠さない。計画は県のひな形通りに提出したが、「避難の際にスタッフが確保できるか確証はない」と話す。
 受け入れ先は県老人福祉施設協議会で調整し、数カ所に分散することになったが、「現状でも特養はどの施設も満床なのに、受け入れ可能なのか」という疑念は消えない。さらに、避難が長期化した場合の体制も計画では見えない。介護スタッフの確保、避難先での経費はどうするのか-。事務担当者は「設備が整った中でも介護は大変なのに…。県は何のためにこんな実効性のない計画策定を急がせたのか」と嘆いた。
 医療機関からは、細かな想定への対応に心配の声が上がる。担架でしか運べない重篤患者が最も多い唐津赤十字病院。ベッド数300床のうちの4割、約120人いるが、病院が用意できるのは車4台だけだ。
 山口和夫事務副部長は「圧倒的に足りない。自衛隊などから車やヘリをどれだけ回してもらえるか」とした上で、「現実的には一度に搬送しようと思っても無理。何日かけて搬送するか、具体的な計画をつくった方がいい」と話した。
 9割が自力で動けない高齢患者という唐津市北波多の市民病院きたはたは屋内待避を続け、搬送車両を待つ形となる。非常食の備蓄は3日。同病院は「自力で動けない以上、病院職員が責任を持って搬送するほかない」とし、緊急時には職員全員を集めて対応する。
 医療救護避難所で搬送先の病院を決める計画が盛り込まれたことに「受け入れ先探しが難しかっただけに、一歩も二歩も前進」と評価する声の一方、「除染しても患者を受け入れない病院が出てくるのでは」という危惧の声もある。6月に福島県の病院を視察した伊万里市の山元記念病院の山元章生理事長は「一般の避難者で混乱している中、患者が逃げても被害が広がるだけという話もあった。10キロ圏外は逃げずに、冷静に判断した方が命を守ることにつながるかもしれない」と話した。


【「再稼働ノー」特養の叫び 高齢者180人 逃げられない 東京 5/17】

 茨城県東海村にある特別養護老人ホームが「原発事故が起こっても、入所者を避難させない」との同意を、家族から取り付けている。首都圏唯一の原発、日本原子力発電(原電)の東海第二原発のお膝元。東日本大震災を経験し、「高齢の入所者全員を、無事に避難させることは不可能」と思い知ったからだ。特養ホームを運営する女性経営者は、再稼働を止めるのが本筋だと、たった一人で「反対」の声を上げ始めた。 (林容史)
 「東海第二原発再稼働断固反対! 利用者・スタッフ避難できません!」。東海村にある特養ホームの玄関口に、大きな張り紙がある。
 高齢者百八十人が入所する「常陸東海園」。東海第二原発からわずか三キロ。周りには、系列の保育園やDV被害の母子の生活支援施設もある。
 原電が、国に提出する東海第二の適合審査の申請内容をホームページで公表するなど、再稼働に向けて大きな動きをみせた四月下旬。常陸東海園などを運営する社会福祉法人「淑徳(しゅくとく)会」の伏屋淑子(ふせやすみこ)理事長(78)が、施設の玄関口やJR東海駅前の所有地に、再稼働反対を訴える張り紙を掲示し始めた。
 「今、できることを百パーセントやらなくては」。伏屋さんは決意を口にする。
 三年前の東日本大震災で、特養ホームのスプリンクラーは壊れ、一棟が水浸しになった。停電でエレベーターが動かず、歩けない入所者を職員が一人一人抱えて階段を移動した。停電と断水が続く中で、何とか三日間を乗り切った。
 入所者は百四歳の三人を最高に、九十歳以上が三分の一を占める。寝たきりの人は、乗用車なら一人しか乗せられない。自分で食事ができず、体力的にどこまで逃げられるか分からない人もいる。
 「東海第二原発で福島と同じような事故が起きれば、全員の避難は不可能。しかし、逃げる順番を決めることはできない」
 今年三月。万が一の原発事故の際に入所者を迎えに来るよう、各家族に連絡すると「来られない」という答えもあった。
 逃げられないなら、どうしたらいいのか-。追い詰められた伏屋さんは、安全な場所に避難できなくてもやむを得ないと納得してもらった上で、入所を継続させる方法を取った。「退避しません」との同意書を家族から取ったのだ。
 しかし、おかしいのは再稼働を進めようとする国や原電の方ではないのか。「逃げられないなら、再稼働を許してはいけない」。伏屋さんは一人で声を上げ始めた。
 「原発の一番近くで三十七年、福祉の仕事をしてきた。私一人の声でも十分、大きいはずだ」と伏屋さん。「行政は、逃げられない人がいることを前提に、原発再稼働の是非を考えてほしい。私たちは、命を預けている」。突き付ける問いは重い。


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