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仮設住民 生活困窮でも保護申請せず~スティグマ解消は急務

 東日本大震災で被災し、プレハブ仮設で説かつする住民をNPOが調査。
 平均収入は、247万円から181万円へと3割減、3分の2が健康悪化。
 40世帯中、23世帯は「暮らしに困っても生活保護制度を利用しない」と回答。実際に、受給対象となる12世帯のうち、9世帯は申請していなかった。
 日弁連が「形式的に制度があったとしても利用されていなければ,その制度は絵に描いた餅であり,生存権を実質的に保障したことにはならない。生活保護制度の捕捉率の低さは,生活保護を申請することが困難であること,生活保護に対するスティグマ(世間から押しつけられた恥や負い目の烙印)が存在することが主たる原因であると考えられる。これらの原因を取り除き,捕捉率を100%に近づけることは国の責務である。」と意見書を発表。
生活保護バッシングは、被災者を追い込み、権利を侵害している。逆に言えば、ここに生活保護を権利として確立する運動、国民的合意を確立する足場があると思う。
 
【生活困窮、健康も悪化 仙台・宮城野、仮設住民 NPO調査 河北新報6/22】
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201406/20140622_15011.html
【「生活保護の捕捉率を高め,憲法25条による生存権保障を実質化するための国の施策に関する意見書 6/19 日弁連】
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2014/opinion_140619_3.pdf

【生活困窮、健康も悪化 仙台・宮城野、仮設住民 NPO調査 河北新報6/22】

 東日本大震災の被災者支援活動に取り組む東京のNPO法人POSSE(ポッセ)は、仙台市宮城野区のプレハブ仮設住宅入居者を対象に実施した生活実態調査結果をまとめた。収入は平均で3割弱減少したほか、3分の2の世帯で家族の健康状態が悪化していた。

 東北学院大経済学部の佐藤滋准教授や学生と共同で昨年8~12月、仮設団地6カ所でポッセの支援事業を利用する高齢者ら40人に、本人と家族の状況を聞いた。平均年齢は68.5歳。40世帯のうち、65歳以上のみが29世帯あった。
 収入は、震災前の年平均247万円から、失業や家族の別居などの影響で181万円に下がった。
 一方で、23世帯は暮らしに困っても生活保護制度を利用しないと答えた。「誰にも迷惑を掛けたくない」「世の中の雰囲気」などが理由。実際に収入が規定の最低生活費を下回り、受給対象となる12世帯のうち、9世帯は申請していなかった。
 健康状態は、27世帯で家族が悪化していた。医療費の捻出が難しく、通院回数や食費を減らした世帯もあった。
 現在の生活に15世帯が満足していると答えたが、「納得するしかない」「ぜいたくは言えない」などの回答から、現状を耐え忍んでいる実態がうかがえた。災害公営住宅への入居を予定する25世帯の中には、家賃負担や集合住宅での近所付き合いに不安を訴える声もあった。
 調査を担当した仙台ポッセ事務局員の川久保尭弘さん(27)は「生活に困っても、周囲への遠慮で本心を明かせない被災者は少なくない。個々のニーズに目を向けた支援が必要だ」と訴える。

【「生活保護の捕捉率を高め,憲法25条による生存権保障を実質化するための国の施策に関する意見書 6/19 日弁連】より

◇意見の趣旨

2 スティグマの解消に向けて

(1) 生活保護利用者に対するスティグマ(世間から押しつけられた恥や負い目の烙印)を解消し,併せて生活保護制度に対する国民の信頼を確保するため,生活保護は,憲法25条に基づき,国による生存権保障を具体化する制度であり,何人に対しても無差別平等に,健康で文化的な最低限度の生活を権利として保障するものであることを,国民に対し,テレビ・ラジオ・インターネット・新聞・地方自治体の広報紙その他の媒体を通じて,分かりやすく,十分に広報すること。
(2) 学校教育において,生活保護制度に関する基本的な知識を身に付けられるようにすること。

◇意見の理由

2 生活保護の捕捉率の低さとその問題性について

(1) 生活保護の捕捉率が低過ぎること
生活保護制度を利用し得る人のうち現に制度を利用できている人が占める割合を示す「捕捉率」は,欧米では少なくとも50%以上であるといわれている。
これに対し,2010年4月厚生労働省が推計した低所得世帯数に対する被保護世帯数の割合は32.1%である。この数値は,研究者による捕捉率の推計(1999年駒村・約20%,2005年唐鎌・約16%ほか)と*1 *2 比較すると,相当高く見積もっているといわざるを得ないが,その数値を前提としても,数百万世帯が最低生活費以下の所得で生活をしていることになる。これらの者に対して,生存権を保障するために早急な対応が必要である。

(2) 申請の難しさとスティグマが捕捉率を低くしていること

どんなに立派な制度ができたとしても,それを利用することができなければ意味がない。形式的に制度があったとしても利用されていなければ,その制度は絵に描いた餅であり,生存権を実質的に保障したことにはならない。生活保護制度の捕捉率の低さは,生活保護を申請することが困難であること,生活保護に対するスティグマ(世間から押しつけられた恥や負い目の烙印)が存在することが主たる原因であると考えられる。これらの原因を取り除き,捕捉率を100%に近づけることは国の責務である。

2013年11月12日参議院厚生労働委員会附帯決議(2項)は,政府に対し,「いわゆる『水際作戦』はあってはならないことを,地方自治体に周知徹底すること」を求めている。このように国会が附帯決議により政府に「水際作戦」の根絶を求めたことは重大な事態であり,政府は早急に実効性のある改善措置を講じることが必要である。

「水際作戦」の核心は,申請するために窓口に来た人に,理由にならない理由を並べて申請書を渡さずに追い返してしまうという対応であり,これを根絶するためには,実施機関から申請書を渡してもらわなければ申請することができないかのような,誤った運用そのものを改めなければならない。
また,保護が必要な人の中には様々な理由から,福祉事務所の窓口に赴くことが困難な者が存在することは想像に難くない。そのような者のために,郵送や電子メールなどで申請が行えるようにすることも必要である。
さらに,現実には,生活保護基準以下の収入しかなくとも,生活保護を取り巻く様々なスティグマから申請を断念する場合がある。国は,様々な場面において生活保護にまつわるスティグマを解消し,捕捉率を上昇させなければならない。

国連の経済的,社会的及び文化的権利に関する委員会第50会期(2013年4月29日~5月17日)に採択された日本の第3回定期報告書に関する総括所見は,「委員会は,(略)スティグマのために高齢者が生活保護の申請を抑制されていることをとりわけ懸念する。(略)委員会はまた,生活保護の申請手続を簡素化し,かつ申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう,締約国に対して求める。委員会はまた,生活保護につきまとうスティグマを解消する目的で,締約国が住民の教育を行なうよう勧告する。」として,我が国の生活保護制度の申請手続が複雑であること,生活保護に対するスティグマの解消が必要であることを指摘している。

言うまでもなく,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)は我が国において国内法的効力を有するものであり,前記指摘を受けた政府は早急に改善することが求められている。


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