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扶養は保護の前提ではない~直接紹介は「限定的」、「誤った取扱い」

 県内でも、民法上の「扶養義務者」に機械的な通知をしたり、「扶養できない」旨の文書を提出させるなど、申請をあきらめさせる手口が後をたたない。
「扶養は保護の前提ではない」と繰り返し国会で答弁した内容が改定生活保護法のもとでも省令、運用規定でどう示されているか、整理してみた。

◆省令 「扶養義務者に対する通知や報告の求めについて」
 国会答弁は、「極めて限定的な場合に限って行う」答弁。

 省令では
○実施機関が扶養義務者に対して家庭裁判所の審判を利用した費用徴収を行う蓋然性が高いこと
○DV被害を受けていないこと
○その他自立に重大な支障を及ぼすおそれがないこと
 この、すべてを満たす場合に限って通知等を行うものとなっている。

◆「自立に重大な支障を及ぼすおそれがないこと」とは・・・

厚労省ホームページ 「 生活保護制度の見直しに関する説明会」〔2013/12/10〕の資料として「運用の留意事項について」がアップされている。

 以下、引用。
 

○現行の扶養照会について②
 
 保護の申請があったときは、要保護者の扶養義務者の存否を確認し、要保護者から聴取する等の方法により、扶養の可能性を把握した上で、扶養義務者に対し要保護者の扶養の可否について照会することとしている。
この場合に、当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害する等の場合には、当該扶養義務者に対し直接照会しない取扱いとしているところであるが、そのような場合であっても直接照会がなされているとの指摘もあった。
このような誤った取扱いは、支援の必要な方が保護を受けられなくなるおそれがあるとともに、生活保護を受給した場合であっても、かえって本人の自立を阻害することになりかねない場合もあることから厳に慎むべきである。このため、福祉事務所が把握した扶養義務者について、要保護者から扶養の可能性を聴取する際には、当該扶養義務者の職業、収入や要保護者との交際状況等について丁寧に聴取するなど、適切な面接相談を行うようお願いする。


≪メモ者の説明≫

→ 直接紹介することで「申請を諦める」ような事態は「自立を阻害する」もので、「誤った取り扱い」としている。また、生活保護申請をしたことで、スティグマ感の極めて強い現状では親族間の関係が悪化する可能性もあり「自立を阻害することになりかねない」として「厳に慎むべき」としている。

→ 「援助できない」旨の証明を出させることは、「扶養を保護の前提とした」対応であり、著しく誤った対応である

この他、稼働能力についても説明している。

○稼働能力の確認について①  国会での審議において、10 月31 日の大阪地方裁判所の判決(原告が稼働能力を活用していないとして大阪府岸和田市が行った申請却下処分の取消し等を求めたもの)に関連し、稼働能力の判断基準等についても質疑があった。  法第4条第1項に基づき、生活保護は、まず利用できる資産、能力その他あらゆるものを活用することを要件として行われるものとされている。このため、働ける方には、その能力に応じて就労活動等を行っていただくことが必要である。  また、稼働能力を活用しているかどうかは、①稼働能力があるか否か、②その具体的な稼働能力を前提として、その能力を活用する意思があるか否か、③実際に稼働能力を活用する場を得ることができるか否かにより判断することとしている。このことについて、稼働能力の判断においては、まず、稼働能力があるか否かについて、年齢や医学的な面からの評価だけでなく、その者の有している資格、生活歴・職歴等を把握分析し、それらを客観的かつ総合的に勘案して行うこととしている。

 また、稼働能力を活用する意思があるか否かの評価については、真摯に求職活動を行ったかどうかを踏まえて行うこととしているが、これは、①求職活動の実施状況を具体的に把握した上で、②その者が実施機関において評価された稼働能力を前提として、その能力に応じた評価を行うことが必要であり、一律に決められるものではない。

上記判断基準に十分留意していただき、稼働能力の活用の判定が適切に行われるようお願いする。

○稼働能力の確認について②
 生活保護の申請後、保護決定の前の段階において、求職活動の状況の報告を求めるのではなく、ハローワークでの具体的な求職活動を指導するなど不適切な事案が指摘された。
 保護の申請後、その決定、実施に当たって、保護の受給要件を満たしているかどうかを確認するために、保護申請をした方から資産、収入の状況がわかる資料、求職活動状況報告書等の資料の提出を求めることや病院への受診を助言指導することは認められているところであるが、上記のようにハローワークでの具体的な求職
活動の指導等は、保護の開始決定前には認められていない。これらの指導は、保護の開始決定後に法第27 条に基づく指導及び指示として行われるべきものであることに留意願いたい。


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