「川内原発 避難に最大29時間」~1万4千人の要援護者は無視
30キロ圏内の住民の避難(自家用車で2-4人乗り合わせた場合)に最大でも29時間とし、「1日以内の避難はおおむねできる」とする鹿児島県の試算。
が、この試算には、そもそも圏内の240病院・施設1万4千人の要援護者は排除されている。圏内人口21万人のうち約7%もしめている。スタッフや家族の1部も残らざるえないことを考えれば、さらに逃げられない人は増える。
これで避難が「おおむねできる」との同県の人権感覚を疑う。報道の仕方もそうだが・・・
【川内原発 避難に最大29時間も NHK】
そもそも「格納容器はこわれない」という虚構のもとに立地してきた原発。非居住区域、低人口区域を値切ってきたため多くの住民が近くに住んでいる、という原発立地そのものに致命的な問題をかかえている。
だから福島事故をうけた新基準では、原発敷地境界の被曝線量の基準をまもれないために、原発立地指針を投げ捨てた。国際基準の深層防護の第五層-避難計画は自治体丸投げで、原発稼働の要件にしていない。欠陥だらけの新基準に、自治体がさらにお墨付きを与える、という限りない無責任、無反省の構図。
【川内原発 避難に最大29時間も NHK】
運転再開の前提となる国の安全審査が優先的に進められている川内原子力発電所について、鹿児島県は、事故が起きた場合、30キロ圏内の住民の避難に29時間近くかかるケースがあるとする試算の結果を公表しました。
鹿児島県は「1日以内の避難はおおむねできる」としていますが、専門家は「さらに時間がかかることもある」と指摘しています。
鹿児島県は、川内原発での事故に備えて半径30キロ圏内の住民およそ21万人について、自家用車を使って避難する際にかかる時間をコンピューターで試算しました。試算では、主要道路の使用状況や車1台に乗る人数、それに天候などさまざまな条件を変えて、避難する人の90パーセントが30キロの外に出るまでの時間を推計しています。
その結果、最も早い避難は、車1台に4人が乗り合わせ、混雑する交差点で交通整理が行われる場合で、9時間15分となりました。一方で、最も時間がかかるのは、車1台に2人しか乗らず、主要道路の南九州西回り自動車道が通行できない場合で、28時間45分となりました。
これについて鹿児島県は「国の指針では一定の放射線量を超える地域は1日以内に避難することとされているが、おおむねこうした行動が取れるという結果になっている。試算を基に避難の実効性を高めたい」としています。
■専門家「最悪のケース考えなければ」
原発事故の際の避難に詳しい法政大学の上岡直見非常勤講師は「原発事故の教訓となった要援護者の避難などの課題が残っているうえに、5キロ圏内に避難指示が出されたとき、指示が出されていない30キロ圏内の人たちも一斉に避難を始めることによる混乱で、5キロ圏内の人たちの避難がどの程度遅れるかの検討ももっと詳しくする必要がある。今回の試算で行った想定に限らず、さらに時間がかかる想定もあり、最悪のケースを考えなければならない」と指摘しています。
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