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日豪EPA 国会決議踏みにじる「牛肉関税引き下げ」  

 この合意は、「大筋合意」は、牛肉を関税削減の対象にしないなどとした国会決議を踏みにじり、決議を守るとしてきた政府の約束も投げ捨てたものである。
 北海道新聞の社説は、「TPPで米国から譲歩を引き出す手段にする意図は明らかだ」「牛肉を含む重要5農産物はもはや聖域ではなく、駆け引きの材料にすぎない。」「聖域の約束をなし崩しにほごにするようなやり方は、断じて許されない。」
  
 嘘はつく、約束は破る・・・こういう人ほど道徳教育が大好きなのである。

【日豪EPA 農家の不安顧みぬ合意 北海道新聞・社説4/8】

 異次元の金融緩和で、円安にしたが、輸出数量はのびていない。海外生産の比重が高くなっているからである。輸出を伸ばすというより、安い農産物を輸入でき、賃金を引き下げられる(労働力の再生産費)、農業保護のための予算をカットでき企業の税負担縮小につながる、ということが主目的ではないかと思う。
 国民的利益を踏みにじる行動である。

【日豪EPA 農家の不安顧みぬ合意 北海道新聞・社説4/8】

 安倍晋三首相と来日中のアボット豪首相が会談し、日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)について大筋で合意した。
 焦点だったオーストラリア産牛肉の関税を現在の38・5%から20%前後へ徐々に引き下げる代わりに、日本車への関税も段階的に撤廃されるという。
 しかし、畜産を中心とした国内農業への影響が見通せない上、対策も示されなかった。
 農業大国との初のEPAに対する農家の不安は置き去りにされたと言わざるを得ない。
 牛肉関税引き下げの対象には、加工原料の冷凍肉ばかりでなく、一般に販売される冷蔵肉も含まれている。
 国産乳用種の肉と競合し、とりわけ主産地の北海道が最も影響を受けるだろう。
 肥育農家のみならず、子牛を供給する酪農家の経営も圧迫する恐れがある。
 乳用種が値崩れを起こせば、和牛などにも連鎖的に波及し、飼料の高騰に苦しむ国内畜産業の弱体化につながりかねない。
 日豪EPAが交渉入りする直前、衆参両院の農林水産委員会は決議で、コメ、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目を協定から除外し、交渉期限を定めないことを政府に求めた。
 牛肉の関税引き下げはもとより、アボット氏の来日を事実上の期限とし、合意を急いだことも決議に違反している。
 しかも、この決議は、環太平洋連携協定(TPP)交渉に際し、自民党や衆参農林水産委員会が重要5農産物を「聖域」とする決議のひな型となったものだ。
 オーストラリアは、日本の牛肉市場で米国と激しいシェア争いを繰り広げている。
 一方、米国はTPP交渉で日本の聖域を認めず、関税撤廃を求める姿勢を崩さない。
 甘利明TPP担当相は「(TPPの)日米交渉を加速させないと、米国産牛肉が(オーストラリア産に)劣後する」と述べた。
 今回の関税引き下げを、TPPで米国から譲歩を引き出す手段にする意図は明らかだ。
 これでは、牛肉を含む重要5農産物はもはや聖域ではなく、駆け引きの材料にすぎない。
 政府・与党の信用は損なわれ、国内の農業者は、営農の展望を描けなくなる。
 聖域の約束をなし崩しにほごにするようなやり方は、断じて許されない。


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