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廃炉の現場~「常識」通用しない過酷さ、困難な要員確保 

 河北新報の特集「廃炉の現場」。原発作業の「常識」が通用しない過酷さ、高線量、低賃金がもたらす要員不足…  再稼動や輸出など言っている場合ではない。全力をかたむけて廃炉作業にとりくむ必要がある、とあらためて思い知らされるレポ。
消費税増税の環境づくりとしての公共事業の積み増し、東京オリンピック誘致が、さらに作業員確保を困難にしている。

「安全神話」を振りまき、過酷事故をもたらした第一次安倍政権(過酷事故はおこらないとの答弁書を閣議決定)、財界、電力会社が、なんら反省していないし、責任もとっていない。
 
 一方、 大量の点検漏れから運転禁止状態にあるもんじゅ。その後、「検査完了」と報告したが、規制庁の検査で、新たに未点検機器が発覚した。高速増殖炉計画は廃止するしかない。

【神話の果てに 第12部・廃炉の現場(上)過酷な作業/高線量状態が日常化 河北新報4/9】
【神話の果てに 第12部・廃炉の現場(中)困難な要員確保/「中抜き」横行、低賃金 河北新報4/10】
【神話の果てに 第12部・廃炉の現場(下)家族の憂慮/夫の招集「赤紙」想起 河北新報4/11】

【第12部・廃炉の現場(上)過酷な作業/高線量状態が日常化 河北新報4/9】

◎ 体の異変、よぎる被ばく

<「常識」通用せず>
 右脳への血流が止まっていた。病名は内頸(けい)動脈閉鎖症。脳を写した画像は半分が真っ暗だった。
 東京電力福島第1原発で事故処理作業に当たっていた関東地方在住の男性は今、労災を申請するかどうか迷っている。
 焦点になるのは、原発作業による被ばくと発症との因果関係。診察した医師からは「常識的にはあいまいだ、としか言えない」と説明されたが、男性は納得できないでいる。
 「体の異常は原発作業が原因としか考えられない。確信は持てないけれども」
 事故処理作業に関わる前に撮った脳のコンピューター断層撮影(CT)は正常だった。それなのに、「普通だったら生きていられない」と医師から言われるほどの症状に陥った。
 他の原発でも働いた経験がある男性にとって、福島第1原発の現場は驚きの連続だった。原発作業の「常識」が通用しない過酷さだった。

<測定機が「窒息」>
 働き始めたのは、メルトダウン(炉心溶融)から数カ月後の2011年暮れ。それから約1年半勤務した。
 仕事は他の作業員の被ばく線量検査。雨の日には、作業員の雨具をはさみで切って脱がせた。放射性物質を含んだ水滴が何度も飛び散ってきた。
 口元や股間付近を被ばくしている人が多かった。作業の合間、マスクを外してたばこを吸ったり、防護服を脱いで屋外で用を足したりしたためだという。
 計ろうとしたら、測定機が「窒息」したこともある。線量が高すぎて一瞬で壊れることを指す業界用語。周囲の人まで危険にさらされる。
 「作業員の個人線量計も壊れていた。一体どれぐらいの線量だったのか分からない」と男性は思い起こす。
 作業初日は原発構内で昼食を取らなかった。休憩室の空間線量は毎時0.1ミリシーベルト近く。「通常なら飲食は絶対禁止の線量のはず」と考えたからだ。
 2日目からは休憩室で飲食した。「周りの人が当たり前のように弁当を食べていた。食べない方がおかしいと思うようになり、感覚がまひした」
 1年半働いて積算線量は約25ミリシーベルト。今は構内での飲食を後悔し、内部被ばくも疑っている。

<「命削っている」>
 厚生労働省によると、統計を取り始めた1976年から、原発作業員が被ばくによる労災を認められたのは全部で13件=表1=。その中で被ばく線量が最も低いのは、白血病を発症した人の5.2ミリシーベルトだった。
 福島第1原発では事故からことし1月まで、計3万2034人が作業に当たった=表2=。平均被ばく線量は12.58ミリシーベルトで、最高は原発事故後に中央操作室にいた作業員の678.8ミリシーベルト。
 半数の1万5363人は労災認定の可能性がある5ミリシーベルトを超えている。これまで8件の申請があったが、まだ認められたケースはない。
 男性が言い切る。
 「みんな命を削って作業している。誰もが体に異変が出れば福島での作業を疑う。近い将来、本当に放射線が原因の死者が出てもおかしくない」
        ◇
 福島第1原発事故から3年。作業員は被ばくの不安におののきながら、過去に経験のない事故処理に携わってきた。廃炉の完了まで少なくとも30~40年かかる。放射能という見えない恐怖の中で、膨大な作業と緊張を強いられる現場を追った。(原子力問題取材班)

【第12部・廃炉の現場(中)困難な要員確保/「中抜き」横行、低賃金 河北新報4/10】

<延べ1800万人必要>
 「これでまた作業員の確保が難しくなる」
 東京電力福島第1原発で事故処理作業に当たる福島県双葉郡の下請け業者の男性は、一気に暗い気持ちになった。
 東京都が2020年の五輪開催地に決まった13年9月のこと。喜びに沸く周囲とは対照的に、五輪景気で作業員が東京に吸い寄せられる事態を心配した。
 男性は公共職業安定所やインターネットによる求人、知人のつてなど、あらゆる手段で作業員を集めている。そうしないと到底足りない。
 福島第1原発で必要な人員は1日3000~4000人に上る。廃炉の完了は早くとも30~40年後。仮に平均1日2000人、1年300日で30年だとすると、延べ1800万人の計算になる。
 被ばくを伴う難しい作業なのに、これほど膨大な数の作業員を確保しなければならない。

<6次の下請けも>
 作業員集めは既にかなり困難になっている。最大のネックが、厚生労働省が定める作業員の被ばく限度だ。
 1年で最大50ミリシーベルト、5年で計100ミリシーベルトが上限と決められている。5年間継続して働くとすれば、年平均20ミリシーベルト以下に抑えなければならない。
 下請けの男性は「今までの付き合いで仕事を受けているが、給料が低く継続雇用の保証もない。(被ばくによる)健康不安もある。そんな職場で普通、働きたいとは思わない」と語る。
 複数の作業員によると、福島第1原発の日当は6000円~1万5000円程度らしい。2次、3次と下請けが重なるにつれて中抜きされる額が増え、大きな差につながっている。
 福島第1原発の現場では、3次どころか6次下請けもざらだという。
 さらに福島第1原発で働けば、累積の線量が1年もたたず限度に近づく可能性がある。「そうなると他の原発でも働けなくなって、収入は伸びない。熟練作業員ほど福島を避ける」と現場監督の経験者が打ち明ける。

<日当の逆転現象>
 原発構内の事故処理より、被ばく量が少ない周辺市町村での放射性物質除去の方が日当が高いという「逆転現象」も起きている。作業経験のある男性(東京都)は、除染に仕事を変えたら日当が1万1000円から1万5700円に増えた。
 作業員の数を確保しようとするあまり、質の低下もささやかれている。「ナットの締め方すら分からなかったり、簡単な漢字が読めなかったりする人もいる」と現場を知る関係者は指摘する。
 東電は13年12月以降発注の工事を対象に1日の人件費を1万円増やした。だが、上乗せ分が末端作業員まで届く保証はない。
 下請けに入っている男性は、引き上げの効果を疑問視する。多重下請けという構造的な問題が手付かずのためだ。東電の対策について、東京五輪に絡めて言い表した。
 「お・も・て・だ・け」

【神話の果てに 第12部・廃炉の現場(下)家族の憂慮/夫の招集「赤紙」想起 河北新報4/11】

<人身売買のよう>
 「まるで人身売買でもしているような気持ちになった」。車を発進させ、ルームミラーに目をやると、社員の家族がいつまでも見送っていた。
 福島第1原発の事故処理作業に携わる東北エンタープライズ(いわき市)の名嘉幸照会長(72)は事故直後、福島市や須賀川市に避難した社員を車で送迎した。
 作業現場は福島第1原発の構内。待ち合わせ場所になぜか、社員が来ていないこともあった。
 後で聞くと、夫を自宅から車に乗せてきた妻が、わざと別の場所に連れて行ったことを知った。
 「家族に一体、どんな言葉を掛ければいいのか」。名嘉会長は悩むしかなかった。
 事故直後に現場に入った同社の男性(44)は被ばく線量が限度を超え、今はいわき市内で連絡調整を担当する。
 男性は「原発に行くのが恐ろしいと思ったこともあった。でも、古里は見捨てられないから」と言う。

<半数が福島出身>
 福島第1原発の事故処理作業には1日約3000人が携わる。通常、半分近くを福島県出身者が占め、多い時は7割近くに達する。全て男性だ。
 「家族への赤紙(召集令状)を受け取る戦時中の女性の気持ちが分かった気がした」。福島県富岡町から郡山市に避難する女性(53)は、夫が原発構内の事故処理に関わった。
 夫は2011年4月、会社から呼び出しを受け、福島第1原発に向かった。月に1度、自宅に戻る度に頬がこけ、痩せていった。
 約3カ月で積算被ばく線量はかなり高くなり、現場を離れた。
 夫は「自分の体に何かあったら(放射線管理)手帳を持って、しかるべき機関に相談に行け」と言った。仕事内容や線量は「びっくりするから」と教えてくれない。
 80代の父親は「俺たちが造った原発で、おまえたちに迷惑を掛けて申し訳ない」と言って除染作業に参加した。

<再び作業の依頼>
 夫が原発の仕事を辞めて2年ほどたった昨年夏、以前勤めた会社から再び第1原発で働くよう依頼が来た。女性は必死で止めた。「二度と後悔したくなかったから」
 女性は今、原発再稼働に反対する運動に時折参加する。
 脱原発の世論を盛り上げたいという気持ちもあるが、むしろ、原発再稼働を期待する全国の立地自治体の住民に声を届けたいと思っている。
 「事故が起きたら、地元の住民は家を追われた上に、収束作業も担うことになる。原発に依存する限り、自分の代で事故が起きなくても、子や孫が被害を受ける危険性は決してなくならない」


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