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「資本論」を基礎に貧困・格差を考える(メモ) 

 関野秀明・下関市立大准教授、「『資本論』を基礎に貧困・格差を考える」「経済」2014.5よりメモというか最新のデータが整理して出されており、ありがたい。
 
より深い理論的内容についてか、以下の備忘録参照
【「貧困の蓄積」と半失業・非正規労働 備忘録2010/10】
 ~「なぜ資本主義は貧困を広げたか」(唐鎌直義・元専修大学教授)、「非正規労働は『自己責任』なのか ――「資本論」の産業予備軍論に立ち返り考える」(関野秀明・下関市立大学准教授)の2論文のメモ
【貧困問題と「失業する権利」 都留民子・県立広島大学教授 備忘録2011/5】
【どうしたら貧困はなくせるか ~ 貧困研究と「資本論」 唐鎌直義・元専修大学教授 備忘録】

 以下、備忘録

◇相対的過剰人口論から考える

①正規雇用者と非正規雇用者の推移 

・96年   正規3800万人、非正規1043万人(非正規比率21.5%)
・13年7-9期 正規3300万人、非正規1900万人(非正規比率36.75%)  

②労働者人口における完全失業者、半失業の実人員、率・割合

・完全失業者 95年210万人、3.2% →12年285万人、4.3%
・半失業者  95年296万人 →12年392万人
 (現在就業中でも転職、追加就労を望んで実際に求職活動している不安定就労層)
・完全+半失業者 7.6% → 10.3%

③労働者の平均給与(1年勤続者・年収)と給与分布の推移

・平均給与 97年467万円→ 12年408万円
 (国税庁・民間給与実態調査)
・年収200万円以下の労働者1090万人、23.9%、年収200~300万円以下  1870万人、17.1%   
 300万円以下の全体 41%

~①②に見られる「相対的過剰人口(産業予備軍)」の増加が、労働者全体に貧困を拡大

④所得(年収)階層別・週60時間以上働く労働者数・比率の推移

 週60時間以上→ 月80時間以上の残業。厚労省の「過労死危機ライン」

・97年との比較で、12年は、すべての所得階層で、割合増加
・所得700万円以上 実数はわずかに減少
・所得400-699万円 実数はほぼ同じ(微増)
・所得200万円台、300万円台 60数万人の大幅増

☆マルクスの指摘どおりの事態
「低い『労働の価格』」が生活費を賄うために「みじめな平均賃金だけでも確保するために」「労働時間の延長への誘引」になる
「労働者階級の就業部分の過度労働は、彼らの予備軍隊列を膨張させるが、その逆に、この予備軍隊列がその競争によって就業者に加える圧迫の増加は、就業者に過度労働と資本の命令への服従を強制する」
(メモ者 ブラック企業が横行する経済的基礎)

◇ 現代日本の格差 「資本の蓄積に照応する貧困の蓄積」論から考える
「相対的過剰人口」の拡大を「槓杵」とし、大企業は空前の利潤を獲得し資本蓄積を推進

①資本金10億円以上の大企業における経常利益、資本剰余金、利益剰余金、有形固定資産、現預金、投資向け資産の推移

・経常利益  97年15兆余 → 07年32兆円、リーマンショック後09年18兆円、12年26兆円
・利潤を蓄積した「利益剰余金」 97年78.8兆円 → 142.8兆円
・本業以外の金融取引による利潤の蓄積「資本剰余金」 97年40.4兆円 → 12年96.1兆円
・設備、機械等の「有形固定資産」 97年214兆円 → 12年192.5兆円
・国債、株式など「投資向け資産」 97年79兆円 → 12年209.3兆円
・現金預金 46.3兆円 (ほぼ一定の水準で推移)

②大企業の資本蓄積は誰のためにすすめられたか

 97年の値を「1」とした12年度の推移
・経常利益1.72 利益剰余金1.81 資本剰余金2.38 株主配当金3.48
・売上げ高0.97 従業員給与0.92 法人税1.09 

☆売上げが伸びていないが、給与を削減、税金もあまり払わず、株主配当と内部留保を拡大
 「相対的過剰人口」は「蓄積の範囲と活力に絶えず均衡」するよう「生産」される

③「フルタイムで働いても食べていけない労働者の推移」

  2つの部分から構成する
・「20-24歳で年収200万円以下」「25-34歳で250万円以下」「35-44歳で300万円以下」の正社員
 ~「周辺的正社員」 97年420.1万人(同年齢層の正社員比17.7%) → 12年447.7万人(22.4%)
・「フルタイム型非正規社員」 97年122.3万人(非正規比10.6%) → 12年528.9万人(27.5%)
・計 1千万人近い「フルタイムで働いても食べていけない労働者」が存在。労働者条件引下げの錘

☆マルクス「相対的過剰人口または産業予備軍を蓄積の範囲と活力とに絶えず均衡させる法則は、…労働者を資本に縛りつける。この法則は、資本の蓄積に照応する貧困の蓄積を条件づける。したがって、一方の極における富の蓄積は、同時に、その対極における、…貧困、労働苦、奴隷状態、無知、野蛮化、および道徳的堕落の蓄積である」
→ 貧困は能力なき故の「自己責任」ではなく、能力が有るが故の搾取という社会メカニズムが原因

◇現代日本の停滞 資本主義蓄積の歴史的傾向論から考える
・資本蓄積を最優先にし、労働者を使い捨てる市場原理主義は、国民経済の深刻な行き詰まり、停滞を招く

①年間実質賃金推移の国際比較  97年を「1」として12年の値

 欧米先進諸国 33-68%アップ   日本だけ12%ダウン

② 先進国の名目GDPの推移   97年を「1」として11年の値

欧米先進諸国 59-90%アップ   日本だけ10%ダウン

~ 同じ資本主義の国でも、最も労働者の貧困化を進め、資本蓄積のテコとした日本経済が最も深刻な停滞に
(メモ者 財政危機の深刻化も…長期債務残高は対GDP比が問題。経済規模が債務残高の伸びを上回り成長すれば、「借金」の比率は、低下する)

☆少数の巨大資本による生産力の巨大化、社会化による「資本独占」が進む一方で、労働者の貧困が増大。/国民経済がもてる生産力が、利潤第一で行われ、すべての人が豊かさを享受できることを妨げる「桎梏」に

【「桎梏」を緩和する方策】

①賃上げ

・12年 国内全産業の売上げ高1375兆円
・5%の賃上げに必要な資金8.5兆円 
(内部留保からみて極めて少額だが、) 価格に転嫁しても売上高の0.62%
~ 100万円の自動車が100万6200円/ これが競争力の喪失、大企業の経営危機になるはずがない
(メモ者 むしろ内需が拡大し、経済と企業の活性化につながる)

②社会保障の充実

・失業給付の受給率 日本23%、英55%、仏80%、独94% 
 (日本は給付期間が3-6ヶ月と極端に短い)
・生活保護(生活扶助)の利用率 日本1.6%、英9.27%、仏5.7%、独9.7%

~ どんな労働条件でも生きるために就労する「低失業率、高貧困率」の社会の要因
(メモ者 欧州労働運動「社会保障は労働者のもの」、仏労働運動「失業する権利」~労働力の「急迫販売」の阻止 / チャールズ・ブース「労働市場の組織化」)

◇同等の権利の闘争~力関係が決する マルクス

・労働力の商品化~ 資本家の「買った商品を自由に消費する権利」と労働者の「商品は価値どおりに売る権利」という権利対権利の二律背反は資本と賃労働の力関係が決する

・「相対的過剰人口の法則」を利用した労働者階級の分断~ 避けられない運命でなく「労働組合などによって就業者と失業者の間の計画的協力を組織」することで、この法則の「純粋な作用を撹乱する」ことができる。

・貧困、閉塞の打開、自己責任論からの解放を法則的に考える力が「資本論」の経済学にある

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