静岡知事 プルサーマル「白紙」~核燃サイクルの破綻が背景
前知事が同意した中部電力浜岡原発のプルサーマル計画について「白紙」と明言した。きわめて当然の判断。
プルサーマルは、制御棒の効きが悪くなるなど安全性の問題、MOX燃料は高コストで経済性が低い、使用済みMOX燃料は放射線が強く発熱量も多く、処理は一段と困難になる。死の灰の量が多く、過酷事故がおこった場合の被害も格段に大きい。
そもそも核燃料サイクルが破綻する中、増え続けるプルトニウムをとにかく使用する「実績」づくりと、六ヶ所村に運び込んだ使用済み核燃料を置きつづけるためのもの(核燃サイクルを中止すると、青森県から移送元の立地県が引き取らなくてはならない。すでに各原発内のプールは満杯に近く、再稼動が不可能となる)。
さて、伊方原発の再稼動申請もプルサーマル運転の3号機。愛媛県知事はどうするのか。
【静岡知事、プルサーマル「白紙」 核燃サイクルの先行き懸念 共同4/3】
【計画破綻認め脱原発を プルサーマル白紙 琉球新報社説4/4】
【なぜ核燃料サイクルはできないのか 河野太郎2014/3/28】
【静岡知事、プルサーマル「白紙」 核燃サイクルの先行き懸念 共同4/3】中部電力浜岡原発がある静岡県の川勝平太知事は2日までに共同通信のインタビューに応じ、使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムをウランとの混合酸化物(MOX)燃料にして原発で使うプルサーマル計画は「白紙だ」と明言し、過去に県が同意した浜岡4号機での実施計画は容認できないと表明した。
知事は福島の原発事故以来、プルサーマル導入を見直す考えを示してきたが、前知事が了承した計画の白紙化に言及したのは初めて。プルサーマル計画を原発事故前に受け入れていた他の自治体の判断にも今後、影響を与える可能性がある。
【計画破綻認め脱原発を プルサーマル白紙 琉球新報社説4/4】川勝平太静岡県知事が、前知事が同意した中部電力浜岡原発のプルサーマル計画について「白紙」と明言した。
川勝知事発言の背景には、再処理を軸とした核燃料サイクルの行き詰まりがある。一度国策を受け入れた自治体が計画を容認しない方針に転じた意義は大きい。
政府は、核燃料サイクルは実現可能という「神話」が崩れたことを認め、脱原発へ政策転換すべきだ。
プルサーマルは、使用した核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜた燃料(MOX燃料)を、再び原発で利用する方法だ。高速増殖炉もんじゅの実用化のめどが立たないため、つなぎの策としてプルサーマル推進を閣議決定した。
しかし、既存の原発はMOX燃料を前提に設計されていないため、制御棒の効きが悪くなるなど安全性への懸念がある。
MOX燃料は高コストだ。ウラン燃料の最大10倍という試算もあるという。再処理をすればするほど採算が取れなくなる。ドイツでは膨大なコストがかかるため再処理工場の建設を中止した。
さらに使用済みMOX燃料の行き先が決まっていない。使用済みMOX燃料は放出される放射線が強く発熱量も多いため、青森県六ケ所村で試運転中の再処理工場で処理できない。
核燃料サイクル実現へ「夢の原子炉」と期待されたもんじゅは、ナトリウム漏れやトラブルが多発して20年近く動いていない。昨年は1万4千点に上る機器の点検漏れが発覚した。1兆円以上の国費を投じながら実用化のめどは立たず、維持管理に年間200億円近くの予算が使われ続けている。
消費税を8%に上げて国民に負担を強いる一方で、破綻している計画に国費をつぎ込む政策は全く理解できない。
福島第1原発事故以来、欧州ではエネルギー政策の見直しが進む。しかし安倍政権は逆だ。策定中のエネルギー基本計画案に「再処理やプルサーマルなどを推進する」と明記した。原発を「重要なベースロード電源」に位置づけ、再稼働に前向きだ。
原発依存をやめ核燃サイクルから撤退することこそ「決められる政治」ではないか。「原子力ムラ」を解体し電力の自由化を進め、再生可能エネルギーを積極導入する政策を打ち出すべきだ。
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