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集団的自衛権。それは外国のために戦争をすること。日弁連リーフ

「私たちは、法律家団体として、立憲主義を堅持する立場から、閣議決定により政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認することに反対します」との日弁連のリーフ。以下のようなQ&A方式で各界の方が説明しています。
■集団的自衛権って私たちとなにか関係あるの?
 谷口 真由美さん 大阪国際大学准教授(国際人権法)全日本おばちゃん党代表代行
■集団的自衛権の行使は憲法で認められているの?
 青井 未帆さん 学習院大学教授(憲法)
■集団的自衛権を使えるようになると、自衛隊はなにをするようになるの?
 半田 滋さん 東京新聞論説兼編集委員(防衛省担当)
■日本の国際貢献はやりやすくなるの?
 谷山 博史さん 日本国際ボランティアセンターJVC代表理事
■日本が集団的自衛権を使えるようになると、平和になるの?
 丹羽 宇一郎さん 前中国大使 早稲田大学特命教授
■集団的自衛権が使えないと日本が守れないの?アメリカから求められているの?
 柳澤 協二さん 元内閣官房副長官補(安全保障担当)
■グローバル時代の日本の経済のためには集団的自衛権が使えた方がいいの?
 浜 矩子さん 同志社大学大学院教授(経済学)
■ そもそも、憲法で認められていないのに、閣議決定で認めることができるの?
 阪田 雅裕さん 元内閣法制局長官・弁護士
【集団的自衛権。それは外国のために戦争をすること。日弁連のリーフ】

【集団的自衛権。それは外国のために戦争をすること。日弁連のリーフ】

集団的自衛権。
って聞いたこと、ありますか?

「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」というのが政府の説明です。

つまり、これを認めると、日本が攻撃されていなくても、外国のために戦争ができることになります。
今まで、憲法9条の下では、その行使は許されないとされてきました。
ところが、閣議決定で集団的自衛権の行使を認めようとする動きがあります。
でも、そんなに簡単に時の政府の判断だけで認めてしまっていいのでしょうか?
これを認めると日本の平和や安全保障はどう変わるのでしょうか?

各界の方々にうかがいました。


■集団的自衛権って私たちとなにか関係あるの?

集団的自衛権。この単語、漢字ばかりだし、難しそうだし、よく意味がわからないけど、自衛隊の話だろうし、私には関係ないわ、なんて思っていませんか?
これをきっかけに、政府が戦争の準備をはじめるとしたら?
おたくのお子さんが、兄弟姉妹が、恋人が、友が実際に戦争に行くことになるかもしれないとしたら?
ホラー映画みたいですね。
ひたひたと近づく危機に気づいた時には遅すぎた、なんてことにならないよう、政府が何をしようとしているのか、多少難しくても逃げずに、まずはきちんと知ることから始めましょう!
大人の責任として。

谷口 真由美さん
大阪国際大学准教授(国際人権法)
全日本おばちゃん党代表代行


■集団的自衛権の行使は憲法で認められているの?

自衛隊は憲法の禁ずる「戦力」ではなく「自衛のための必要最小限度の実力」なのだというこれまでの説明からは、「他国の防衛」のための集団的自衛権は認められません。
日本国憲法は「陸海空軍その他の戦力」を持たないとしています。
それに「自衛隊」という言葉も、憲法のどこにも書いてありません。
憲法をそのまま読めば、「軍事力によらない平和」が追求されているようにしか読めないのです。
つまり、自衛隊を合憲とする理屈それ自体が「離れ技」でした。
「独立国である以上は当然に日本も自衛権を持っていて、その自衛権を行使するために必要最小限度の実力は憲法で否定されていない」という理屈が合憲性を支える「つっかえ棒」なのです。
そして自衛権を発動する要件の一つに、「わが国に対する急迫不正な侵害があること」が挙げられてきましたが、集団的自衛権はこれを満たさないので、認められようがありません。
もしこれを行使できるとなったら、実は自衛隊の合憲性を支える「つっかえ棒」も外れてしまうはずです。
そのような理屈の問題を意に介さないというのは、憲法9条から力を奪って、単なる「理想」を謳う規定にしてしまうに等しいことです。

青井 未帆さん
学習院大学教授(憲法)

■集団的自衛権を使えるようになると、自衛隊はなにをするようになるの?

自衛隊は、日本が攻撃を受けたときに限って自衛権を行使する実力組織です。
平和外交や9条に基づく抑制的な専守防衛政策で、十分、日本の安全は保たれてきました。
米英によるイラク戦争に派遣された陸上自衛隊が、1発の銃弾も撃たず武力の行使をせずに、施設復旧や医療指導、給水といった人道復興支援に徹したのは9条の制約があったからです。
しかし、集団的自衛権の行使は、日本の防衛とは関係なく、自衛隊が海外で武力行使することです。
集団的自衛権が行使できるとなれば、アフガニスタン戦争で米軍とともに戦った英軍のように、自衛隊が米軍と一緒に武力行使できることになります。
自衛官が外国人を殺し、殺されるということです。
集団的自衛権行使容認の狙いは、海外の戦争に参加できる国に変えることにあります。
海外における武力行使に道を開き、大国による戦争に日本が加担することになります。
憲法の平和主義と矛盾するものです。

半田 滋さん
東京新聞論説兼編集委員
(防衛省担当)

■日本の国際貢献はやりやすくなるの?

アフガニスタンやカンボジアなどで、NGOとして非軍事的な援助活動にあたった経験からすると、軍隊を持たず武力行使を否定する憲法9条の存在は、日本が国際貢献をする場合に、とても貴重なものです。
集団的自衛権行使を認めて日本の自衛隊が海外で武力を行使できるとしたら、日本は貴重な外交資産を失うことになります。

谷山 博史さん
日本国際ボランティアセンターJVC代表理事

■日本が集団的自衛権を使えるようになると、平和になるの?

日本は戦後69年間、憲法の三本柱の一つである「恒久平和の希求」を基本にしてきました。
今後も、平和憲法を守る唯一の被爆国という立場で非核・非戦を世界に訴え、専守防衛に徹するべきです。
今後も集団的自衛権の行使を時々の政権の憲法解釈で認め、憲法の精神を踏みにじるようなことになれば、先人達の世界平和のための努力は水泡に帰すことになりかねません。
今迄培ってきた世界の信頼と尊敬を失いかねません。
多くの国民の努力なくして平和は維持できるものではないのです。
周辺国との関係で必要なものは東アジア/世界の平和の為の対話の努力が何よりも大切です。
集団的自衛権で、これまでの制約なく日本が戦争に参加しやすくなるとすれば、これからのアジア全体の平和にも大きな影響を与えることになるでしょう。

丹羽 宇一郎さん
前中国大使
早稲田大学特命教授

■集団的自衛権が使えないと日本が守れないの?アメリカから求められているの?

尖閣防衛や北朝鮮のミサイル攻撃は日本有事ですから、いまの憲法枠内の個別的自衛権で守れます。
「日本防衛のための集団的自衛権」は論理矛盾です。
アメリカも、自国にとって重要な日本を守らないわけにはいきません。
アメリカから集団的自衛権を求められたことはありませんし、米軍と自衛隊は、いまある法律で十分に世界有数の連携ができています。
集団的自衛権を声高に言うことは、かえって緊張を高めるだけで、日本の防衛にプラスにはなりません。

柳澤 協二さん
元内閣官房副長官補(安全保障担当)

■グローバル時代の日本の経済のためには集団的自衛権が使えた方がいいの?

 いつの時代でも、いかなる状況の下でも、戦争がやりやすくなることがいいわけがありません。
そもそも、戦争と平和の問題を、経済的損得と結びつけて考えてはいけません。
ここが基本です。
この基本を踏まえた上でいえば、グローバル時代だからこそ、日本経済のために集団的自衛権はご法度です。
なぜなら、グローバル時代は経済的相互依存の時代です。
誰も一人では生きて行けない。
誰もが誰かの力を借りて生きて行く。そういう時代です。
そのような時代になっているというのに、日本が集団的自衛権を使えるようにすれば、どうなるか。
世界に冠たる平和国家が、どうもスタンスを変えたようだ。
そのように思われれば、対日不信が強まって、今まで気持ち良く力を貸してくれていた国々から拒絶されるかもしれません。
集団的自衛権を行使する日本は、グローバル・ジャングルの「優良住人リスト」からはずされてしまうでしょう。
浜 矩子さん
同志社大学大学院教授(経済学)

■そもそも、憲法で認められていないのに、閣議決定で認めることができるの?

集団的自衛権の行使など、わが国(日本)の海外での武力行使は許されない、というのが政府の一貫した憲法9条の解釈でしたが、これを変更した上で自衛隊法やPKO法等を改正しようとする動きがあります。
憲法改正をせずに、時々の政府が恣意的にその解釈を変更することは、
立憲主義に反し、許されません。
集団的自衛権が国連憲章で認められているからといって、
これを行使することは加盟国の義務ではありません。
国民の意思によって国に集団的自衛権を
行使させるかどうかを決めることができます。
憲法9条は、集団的自衛権を行使させないという
国民の意思を表したものです。

阪田 雅裕さん
元内閣法制局長官・弁護士


■私たちは、法律家団体として、立憲主義を堅持する立場から、閣議決定により政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認することに反対します。

憲法前文と第9条が規定している
平和的生存権の保障と恒久平和主義は、憲法の基本原理です。
これまで、政府はこうした基本原理に基づき、
憲法は集団的自衛権の行使を禁止していると表明してきました。
これは、国会における長年の審議の中で積み重ねられ、
歴代内閣で確立されてきた政府見解です。
時の政府が、閣議決定でこの見解を変更(解釈改憲)し、
集団的自衛権の行使を容認することは、
政府を憲法による制約の下に置くとする立憲主義に違反し、
許されるものではありません。
私たちは、政府が閣議決定でその見解を変更することによって、
集団的自衛権の行使を容認することに強く反対します。

村越 進
日本弁護士連合会会長

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