IPCC報告書 石炭「高コスト」、原発「障壁とリスク」
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第3作業部会の新たな報告書。低炭素エネルギーを50年までに3〜4倍に増やすことが必要があると指摘。
原発、石炭発電を「重要なベースロード電源」と位置づけ、輸出にも前のめりな安倍政権だが、報告は、石炭発電は、高排出の固定により、「非常に高いコストを伴う可能性がある」と否定的であり、原発も安全規制や核のごみ、市民の反対などを「各種の障壁とリスクがある」と慎重な扱い。
政府のエネルギー基本計画は、世界の流れと逆行している(自然エネルギーの普及を妨害する各種の仕掛けの存在とともに・・・・)。
【温室効果ガス:日本の政策にも変革迫る IPCC報告書 毎日4/14】
【温室効果ガス:日本の政策にも変革迫る IPCC報告書 毎日4/14】◇原発…「障壁とリスク」、石炭…「非常に高いコスト」
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第3作業部会の新たな報告書は、日本の電力・エネルギー政策にも抜本的な変革を迫る内容だ。
政府は11日にエネルギー基本計画を定めたばかり。二酸化炭素(CO2)排出の多い石炭火力発電を原発と並んで「重要なベースロード電源」と位置付ける一方、再生可能エネルギーは「2030年に20%」とした原発事故前の目標より「さらに上回る水準を目指す」との控えめな記述にとどめた。これに対し、報告書の示す道筋は明らかに異なる。世界全体で50年までに再生エネなど低炭素電源の比率を現状の30%から80%以上に伸ばす必要があると指摘。これには原発も含むが、報告書は安全規制や核のごみ、市民の反対などを列挙し「各種の障壁とリスクがある」と慎重だ。
石炭火力についても、ここ10年間の排出急増の一因に挙げた上、一度建設されると高排出が固定化されてしまい「非常に高いコストを伴う可能性がある」と否定的だ。
政府は高効率の石炭火力を新興国、途上国へ輸出することに躍起だが、高効率といっても天然ガス火力の約2倍のCO2を出す。このままでは世界の温暖化政策に逆行するとの非難を浴びかねない。【阿部周一】
◇IPCC第3作業部会報告書のポイント
・今世紀末の温室効果ガス濃度が450ppmならば、産業革命後の気温上昇を2度未満に抑えられる可能性が高い
・実現には温室効果ガス排出量を2050年までに10年比40〜70%削減し、今世紀末までにほぼゼロかそれ以下にする必要がある
・再生可能エネルギーや原発などの低炭素エネルギーを50年までに3〜4倍に増やすことが必要。ただし原発にはリスクがある
・対策に伴う経済消費の伸び率の鈍化は1年あたり0.04〜0.14ポイントにとどまる
・2030年までの対策が遅れれば余計に費用がかかる
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