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「子どもの命」軽視の安易な資格~准保育士新設撤回を

 「准保育士」~養成課程で二年以上学ぶ必要がある国家資格の保育士と違い、子育てや孫の世話の経験があれば、専業主婦でも簡単に取得できる民間資格。
 保育士不足解消というが、不足の原因は、その責任、専門性の大きさに比べて処遇の低さにある~ 本末転倒とはこのこと。
資格、基準のあるなしで、どれだけ死亡事故発生率に差があるか。「子どもの命」軽視もはなはだしい。というか、人間を浪費する資本の魂をあらわにしたものである。
【「安易な資格 子ども危険に」  准保育士新設撤回を 保護者ら反対の意見書 東京4/9】

【保育・死亡事故発生率 認可と認可外で45倍の差2014/2】

【「安易な資格 子ども危険に」  准保育士新設撤回を 保護者ら反対の意見書 東京4/9】

 「准保育士」という新しい資格を、政府の産業競争力会議が提案している。通常は養成課程で二年以上学ぶ必要がある国家資格の保育士と違い、子育てや孫の世話の経験があれば、専業主婦でも簡単に取得できる民間資格にする。認可保育所などの保育士不足解消が目的というが、幼い子どもを持つ保護者らは八日、「保育を軽く考えている。質の低下を招く」として、撤回を求める要望書を会議や厚生労働省などへ提出した。

 提出したのは「保育園を考える親の会」(東京都豊島区、普光院亜紀代表)。認可保育所へ入れない待機児童問題で活動する都内や埼玉県の九グループも賛同した。同会員で、無資格者に預けた長女を亡くした大阪府岸和田市の藤井真希さん(34)の意見書も提出した。
 准保育士の提案は、国の成長戦略を話し合う産業競争力会議の民間議員の意見として長谷川閑史・武田薬品工業社長がまとめた提言「成長戦略としての女性の活躍推進について」に盛り込まれ、先月十九日の同会議と経済財政諮問会議の合同会議に提出された。
 待機児童問題は保育士不足が大きな要因とし、解決方法として、民間の認証制度で准保育士資格をつくり「育児経験の豊かな主婦の力を保育の現場で活用」するとした。主婦層の就業機会が拡大し、保育所の質の向上も図れるとしている。
 保育所での子どもの死亡事故は、無資格者のいる認可外で多い。簡単に取得できる准保育士は、認可でも働ける資格と想定されている。現在は全員が保育士の認可保育所で、准保育士が働くようになると、専門性のある保育士に仕事や責任が集中し、負担が重くなって子どもに目が行き届かなくなるのでは。保護者らは、そう懸念する。
 また、保育士不足の原因は、仕事の大変さや責任の重さに見合わない低い待遇にあるとし、准保育士が代替として働けば「賃金水準はさらに下がり、ますます保育士確保は難しくなる」と訴えた。
 さいたま市の認可外保育所で一歳の長女を亡くした阿部一美さんは「安心して預けられる場がないと仕事は続けられない。子どもの目線で考えて」と語った。

◆育児経験を過信 繰り返される提案

 国家資格である保育士の不足を、子育て経験者の「准保育士」で補おうとする提案は、今回が初めてではない。意見書を提出した藤井真希さんは、わが子を失い、その後預けた保育者とやりとりした経験から「育児経験と保育の能力は全く別なものであると痛切に感じている」と訴える。

 藤井さんは二〇一〇年十一月、自分の通院のため、生後五カ月だった長女さつきちゃんを、大阪府八尾市の事業で紹介された女性に預けた。保育士資格はなかったが「育児経験のある先輩お母さんなら、子どもを安全に預かってくれるだろうと信じてしまった」。
 預けたのは、わずか一時間。元気だったさつきちゃんは、その間に心肺停止になり、救急搬送された。心臓は蘇生したが、脳死状態となり、意識が戻らないまま昨年十月、三歳で亡くなった。
 女性は、さつきちゃんをうつぶせ寝にしていた。死亡との因果関係は裁判で係争中だ。女性は講習を受けていたはずだが、うつぶせ寝が赤ちゃんにとって危険なことは「知らなかった」と藤井さんに話したという。「女性は、子育て経験を過信していたようだった。保育士の勉強量と、短期間の講習とでは全然違う。子どもを亡くして、一時的な預かりでさえ専門知識が必要だと痛感した。長時間、子どもを預かる保育所ではなおさら大切。資格は重視するべきだ」

 准保育士の提案は〇七年、政府の規制改革会議でもあった。やはり保育士不足を理由に、子育て経験者が三カ月程度の衛生に関する講習を受ければよいとし、「子どもを育てるのと学歴は関係ない」「団塊の世代は育児経験を持っている。年を取ると、子どもはかわいいもの」などと考え方を説明していた。

 政府直属の会議から繰り返される、同じような提案。普光院代表は「子育てを自分でやったことがないからでは。保育は子どもを抱っこして楽しそうで、子育て経験があればちょうどいい仕事のようにみえるのだろう」と指摘する。
 そして、保育士の仕事について「子どもの安全に対して知識や経験でアンテナを立てるのも仕事だが、教育も担っている。増加する児童虐待への対応、孤立した子育て家庭の支援など、ますます現場は大変になっているのに、その辺も分かっていない」と話した。 


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