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竹富町教科書採択 「是正要求」は不当な政治介入

 教科書無償制度にもとづく、採択地区協議会は、決裂している。そのもとで竹富町の教育委員会は、教科書検定に合格している「東京書籍版」を選び、町は寄付で調達し無償配布した。どこにも法違反はない。
 教科書の決定権は、町教育委員会にある。協議会は無償制度の枠組みである。
協議が決裂しているのに「育鵬社版」を国が無償配布していることのほうが法律違反である。
 そもそも採択地区協議会会長で石垣市教育長の玉津博克氏が「育鵬社版」を押し付けるため、規約に反して教科書調査員を独断で委嘱、その調査員も「育鵬社版」を推薦していない。にもかかわらず協議会は「育鵬社版」を選ぶよう答申した。この不透明な過程については、文科省はダンマリである。
権力による思想統制である。安倍政権のめざす国づくりを象徴している。
【文科相是正要求 道理ゆがめる「恫喝」だ 不当な政治介入を撤回せよ 琉球新報3/15】
【社説[教科書採択問題]是正要求は現場無視だ 沖縄タイムス3/15】
【教科書選定 文科省は「恫喝」やめよ。政治介入は暴挙 琉球新報社説 2013/10】

【文科相是正要求 道理ゆがめる「恫喝」だ 不当な政治介入を撤回せよ 琉球新報3/15】

 八重山教科書問題で下村博文文部科学相が竹富町教育委員会への是正要求を強行した。 手続き上、是正要求の後は違法確認訴訟しかない。下村氏は「法治国家として行使はあり得る」とその可能性もちらつかせる。小さな自治体にとり訴訟費用の負担は重い。訴訟に耐えられないと見越した上での「恫喝(どうかつ)」であろう。
 国が個人の活動を民事訴訟で訴え、表現を萎縮させようとする「スラップ訴訟」にも似た発想だ。特定の政治思想の意向に従わない自治体を、強引に押さえつけ、屈服させようという意図がにじんでいる。道理をゆがめる「恫喝」は、断じて容認できない。

◆不審な経過
 そもそも竹富町教委の行為は正当な教育行政だ。それをあたかも違法であるかのように政府は印象操作している。
 経過を振り返る。石垣・竹富・与那国3市町の教科書を話し合う八重山採択地区協議会会長の玉津博克石垣市教育長は2011年6月、教科書調査員を独断で選任できるよう規約を改正しようとして反対された。役員会で選任することになったが、玉津氏は役員会を開くことなく独断で委嘱した。
 その調査員も、報告書では、保守色の極めて強い育鵬社版の中学・公民の教科書について「文中に沖縄の米軍基地に関する記述がない」などと難点を指摘。複数を推薦した中に育鵬社版は入れていなかった。
 だが同年8月23日の採択地区協議会は、玉津氏の主導で育鵬社版を選ぶよう答申した。しかし竹富町教委は8月27日、選考過程における前述の不審な点を挙げ、育鵬社版でなく東京書籍版を選んだ。
 一方、石垣・与那国2市町教委は育鵬社版を選定。3市町教委は8月31日に採択地区協議会を開き、再協議したが、決裂した。
 9月8日、今度は3市町教育委員全員で協議し、多数決で東京書籍版を選んだ。だが文科省は「全員協議はどこにも規約がない」と、この選定を無効とした。
 規約の有無を言うなら、玉津氏の調査員選任も規約にない手法だった。その点は問わないのか。
 政府は同年11月、「自ら教科書を購入して生徒に無償で給与することは、無償措置法でも禁止されるものではない」との答弁書を閣議決定している。竹富町教委の行為は合法だと閣議で決めたのだ。それが自民党に政権交代した途端、違法になるというのか。

 ◆明らかな不公平
 そもそも無償措置法は協議を経て同一の教科書を採択するよう求めている。前述のように8月31日の再協議は決裂した。協議が整っていない以上、3市町のどちらも無償措置法に適合するとは言い難い。金井利之東大教授は「是正要求を出すなら3市町を対象とすべきで、竹富のみとするのは明らかに不公平だ」と指摘する。
 竹富町教委が配布した教科書はもちろん教科書検定を通っている。下村氏の強硬な態度をみると、あたかも検定を通らない違法な教科書を配布したかのようだ。
 竹富町の教育現場では過去2年、問題は起きていない。仲村守和元県教育長によると、問題行動は皆無で学力は県内トップ級、科目によっては全国一の県をも凌駕(りょうが)する。静穏に教育が行える環境ができているのだ。子どもたちに無用な混乱をもたらしているのはむしろ文科省の方ではないか。
 今回の是正要求は地方教育行政法(地教行法)に基づくものではなく、地方自治法に基づく。
 地教行法適用は「児童生徒の教育を受ける権利が侵害されている」場合に限られる。竹富では検定に通った教科書が無償で配られているのだから、何ら権利は侵害されていない。適用できないから、ハードルの低い地方自治法を使うという発想だ。是正要求自体が目的化している。
 教科書問題の解決より国の権限誇示が動機なのだろう。教育への不当な政治介入は撤回すべきだ。


【社説[教科書採択問題]是正要求は現場無視だ 沖縄タイムス3/15】

 教科書選定にあたって大切なのは地域の自主性と多様性を重んじることである。学校現場では何の混乱も起きていないのに、なぜ国が直接乗り出し、島の教育委員会に対して強硬手段を取るのか。
 「法律に違反しているから」との理由は、事実の半面しか語っていない。国家統制を思わせるような強引な手法は、問題をこじらせるだけである。
 中学公民教科書の採択問題で下村博文文部科学相は14日、竹富町教育委員会に対し、地方自治法に基づく是正要求を出した。ここに至る経過は複雑だが、それを知らなければ竹富町教委だけが「悪者」にされてしまう恐れがある。
 八重山3市町で構成する採択地区協議会は、2012年度からの中学公民教科書に育鵬社版を使うよう関係教育委員会に答申することを11年8月に決めた。
 教科書無償措置法は、同じ採択地区内では同一の教科書を使わなければならないと規定している。竹富町教委は手続きや育鵬社版の内容を問題にし、独自に東京書籍版を採択した。
 「法治国家として違法状態を解消するのは当然のことだ」と下村文科相は強調する。なぜ竹富町教委は独自の教科書採択に踏み切ったのか。
 地方教育行政法は自治体の教科書採択権を認めており、同法に照らして言えば、竹富町の決定に違法性はない。東京書籍版を寄付で調達し、生徒に無償配布したため、現場の混乱も生じていない。
 こうした事実を考慮して民主党政権は、竹富町の判断を黙認し、強硬手段を控えた。
    ■    ■
 これまでの経過からも分かるように、国の対応は一貫していない。それが第一の問題。第二の問題は、二つの法律の矛盾点を是正せず、これまで放置してきたこと。第三の問題は、採択地区協議会の採択をめぐるいきさつに、疑問点が多いことである。
 採択地区協議会会長で石垣市教育長の玉津博克氏は、調査員(教員)による事前の順位付けを廃止し、調査員の推薦がない教科書も対象に加え、無記名投票で選ぶ方式に変えた。その結果、多数決で育鵬社版を選んだのである。育鵬社版採択のために仕組まれた改革だった。
 竹富町は「手順がおかしい」「米軍基地問題の記述が少ない」ことなどを理由に、東京書籍版を選択した。
 事態打開のため、11年9月に3市町の全教育委員による会議を開き、その席では、多数決で東京書籍版が採択されている。この結論に今度は文科省が待ったをかけた。
    ■    ■
 教科書選定作業は、子どもたちをそっちのけにして、政治によってもみくちゃにされてしまった。心配なのは、文科省の強硬措置によって竹富町教委が孤立してしまうことである。
 県教育委員会は、文科省の再三の指示に従わなかった。是正要求という強硬手段は、問題が多いからだ。事態を傍観してはいけない。町教委や学校現場、生徒たちに不利益や不都合が生じることのないよう、県教委は引き続き打開策を模索すべきである。


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