学校給食 直営の役割~基準確保、災害対応
宇治市は、2012年8月の豪雨災害をうけ、委託の拡大を中止。直営6校を維持することとした。
「住民と自治」によれば、民間業者に委託したおにぎりが衛生状態が悪く食中毒を発生、翌日、学校調理員が衛生管理、栄養に配慮し330色の弁当を調理して届けたとのこと。
以下は、9月に開催された教育委員会での「今後の宇治市学校給食調理業務について」の議事録。
委託でのコスト削減効果を認めつつ、直営校について①長年の経験、専門性を生かした献立、衛生管理、除去食づくりなどの給食調理業務の基準を示す ②災害対応。給食室の大型機器を扱う専門的な知識・技術の確保、をあげ「水準を維持した上で運営の合理化を継続する」には、直営と委託の併存が不可欠としている。
ほとんどを委託にした自治体では、民間業者の立場が強くなり、委託料の引き上げ、品数の削減などの問題が起きている。防災の役割も踏まえて直営を維持する。1つの見識である。
【宇治市教育委員会臨時会会議録 平成24年9月6日(水)】
高知市は、小学校給食調理の民間委託(栄養士のいる規模の大きいところのすべて)を進めている。中学校の給食実施率(生徒比)は16%と極めて遅れており、実施を求める声に、市長も「教育委員会は内部で課題整理している」としながら「センター化の道しかない」と述べている。
未実施は13校で5500食分。4ヶ所ほどのセンターを考えているようだが、南海地震による津波と長期浸水被害も視野に入れ、適切な配置と直営の役割の確保など、多面的な検討が必要である。
【宇治市教育委員会臨時会会議録 平成24年9月6日(水)】(1) 文教福祉常任委員会について(平成24年9月3日)
①今後の宇治市学校給食調理業務について宇治市学校給食については、平成11年に宇治市学校給食調理方式見直し懇話会の答申を受け、学校給食調理民間委託の実施方針を策定し、平成12年度より順次民間委託を進めてきた。平成19年には第2次学校給食調理民間委託の実施方針を策定し、その中で“平成24年度に総括し以後の方針を決める”としている。
現在の委託の状況は、直営校6校委託校14校で、市調理職員数は委託前の81人から現在は24人となり、13年間で57人の減員となった。委託開始前の単年度あたりの学校給食運営費は全体経費12億2,297万円であったものが、平成22年度は9億6,127万4千円となり、委託による財政効果は平成24年度の単年度で約3億円(見込み)の効果があり、今後も14校の委託を維持することで同額の効果が見込まれる。この財政効果を活用し、ランチルームの整備や磁器食器の導入を実施し給食環境の整備を行ってきた。直営校の役割としては、長年の経験に基づく専門知識を生かした豊かな献立の作成、調理技術の向上、安全衛生マニュアルの改善を行い今後も引き続き本市としての学校給食調理業務の基準を示すこと、食物アレルギーを有する児童に対しアレルゲン混入を避けるための直営校の調理技術・衛生管理能力に基づく除去食調理の基準づくり等である。
また、東日本大震災を経て、学校給食室や家庭科室は避難場所の炊き出しに利用できるよう整備する必要があると提言され、給食室に備えられている大型機器を扱うには専門である市調理職員の知識・技術が必要である。これらのことや市調理職員の定年退職予定年次から、当面の間、新規委託校を増やすことは困難である。本市の学校給食業務の水準を維持した上で運営の合理化を継続するには、長年の継続的な経験からの給食調理における専門知識・技術を持つ直営校と、企業間競争の中、高い調理技術や能力を獲得している民間委託校との併存は不可欠であり、市調理職員の定年退職予定年次等を踏まえ、平成32年度までの間、給食実施校20校について直営校6校・委託校14校の体制を維持することとする。
平成24年7月31日の文教福祉常任委員会で以上の内容の報告をした。
[質 疑]
[委 員] 全校民間委託をすべきとの意見もあると思うが、例えば災害対応のこと
を考えるとそれは不可能ではないのか。[事務局] 契約書に災害時には炊き出し対応をするという仕様にすれば可能だが、
そうなれば委託料が高くなることが想定できる。__
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