「原発は社会的負担が大きい」 高知県知事
四国電力の13年度3四半期の決算をもとに質問…値上げなしなら赤字320億円だが、発電ゼロの原発固定費は12年度574億円。原発コストなしなら値上げ無しで黒字だった。今期の固定費はいくらと把握しているか、問うた。
知事は「原発が停止していた平成24年度のコストが574億円であることに照らすと、同程度の負担がかかり、多額の費用になると考えます」とあっさり認めた。
さらに「これに加えて、万が一の事故がおこった場合の対応や、将来にわたって使用済核燃料を管理していく費用など原発に伴う社会的負担は大きいといえます」と述べた。
そして「だからこそ…原発の依存度を徐々に徐々に引き下げていく必要があると申し上げている」とのべたのだか、「社会的負担が大きい」との関連をみれば、原発ゼロに向けてい行く方向性を示したものと言える。
上記の質問は、知事が“原発なしに安価な電力供給ができない”と、政権と齟齬をきたさない発言をしていることを理詰めしたものだが・・・・ そのあと、こう答弁している。
「原発コストがなければ、値上げなしでも黒字だったとの指摘ではありますが、現に原発がある以上、減価償却費や停止した原発を安全に管理するための維持費用は避けてとおれません。
この現実は現実として受け入れざるを得ませんので、このままの状態が続けば、原発の維持コストに加え、電力不足分を補うための燃料費が増加することで、電力会社の経営を圧迫し、現実的に利用可能な料金による電力供給が困難になるおそれがある」
現に、原発停止による燃料増を含めても、原発コストがなければ黒字なので、原発固執による多額の原発コストが、今後の値上げの要因ということ。
つまり「安価な電力の供給」というのは、廃炉したら財務指標が悪化するので原発に固執する電力会社の経営問題だということ。
財務指標が一気に悪化しない廃炉スキームを、金融機関、原発メーカーなど原発利益共同体の責任を明確にしてつくれば「大きな社会的負担」は軽減できる。その点は、依然に県議会で指摘している。
さらに燃料費増について、エネルギー経済研究所の永富悠氏の指摘を示し、部長に質問した。
答弁では
・政府は、燃料費増3.6兆円と言っている。
・財務省の貿易統計では、2010年と2013年の比較で、天然ガスの量で25%増、額で100%、3.5兆円の増、原油等は量の変化はなく、額で51%、約4.8兆円の増など、総額で58%、約10兆円の増加。
・2012年と2013年の比較では、量的には余り変化なく、金額的に14%、3.3兆円の伸び
・天然ガスは、原発事故以降、相当に輸入量が増え、需給の逼迫を反映して急激に値上がりしており、3.5兆円という輸入額の急増は原発停止によるもの、と答弁した。
→ 何があきらかになったか。
①政府の試算(2012年度は3.1兆円)について、自民党の河野太郎衆院議員が「経産省の嘘」という記事をホームページに書いている。
これは2008年から2010年度の原発の平均電力量2592億kWhを火力発電で代替したと仮定した数字で、実際は火力発電の焚き増しは1827億kWhに過ぎず、価格高騰、円安の影響を除けば、焚き増しのための燃料費の増加は1.4兆円から1.6兆円だと自然エネルギー財団の試算を紹介し、批判している。
②財務省の資料 量の増加は、天然ガスの25%のみで,試算すると8700億円〔3.5兆円*0.25〕
あとは価格高騰、円安効果。
③2013年度 3.3兆円増はアベノミクスの「成果」
④天然ガスの価格上昇は、40年も前にカタールと結んだ契約に基づいて原油価格の上昇に連動しているからであり、需給とは関係ない。むしろシェールガス革命などにより供給が増え価格は低下している。
事実は明確なのに、答弁の最後は苦しまぎれのこじ付けでしかない。
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